背景: 著者は1941年生まれ、その世代の多くがその後企業戦士として高度成長を支え、一部は60年と70年の安保改定に異議申立てで戦った所謂「安中派世代」に属する。 1965年、東大建築学科卒業間際にそのどちらでもない立場でヨーロッパに飛び出し、建築家としての自立を探る1年半の旅行を振り返った記録である。 昔の若者の海外旅行記 この本の最初の冒頭は「君へ 君は外国を見たことはありますか。・・・」とある。対象が今の若者にあると読める。 統計を調べると著者が渡航した1965年は「海外旅行自由化」が始まったばかりで、20才代の海外渡航は年10万人台であり、70年代で100~300万、1,990年~現在…