店を出ると、神戸の夕暮れは思いのほか早かった。 六甲の山並みに太陽が隠れ、空は深い群青色からオレンジ色のグラデーションに染まっている。 手元に残った2万5,690円。 かつての「俺」を支えてくれたキャラクターグッズたちが、今の「俺」の生活費へと姿を変えた。少しの寂しさはあるが、それ以上に、空になったキャリーワゴンの軽さが、今の自分には心地よかった。 駐車場に停めた年季の入った四駆に乗り込み、俺は市街地の喧騒を背に、北へと車を走らせる。 「さて、仕事に戻るか」 アクセルを踏み込み、つづら折りの坂道を登っていく。 標高が上がるにつれて、窓から入る空気はひんやりと澄んだものに変わる。 街灯がまばらに…