「ソーシャル・ディスタンス」。2020年初頭に始まったコロナ禍の頃、これでもかというくらい耳にした言葉だ。人と集まらない、集まる時は距離を取る。“普通”が何を指すかは難しいが、コロナ禍前と同じような生活ができるようになった今、もはやその言葉は苦い記憶と共に懐かしくも感じる。 『アンソーシャル ディスタンス』/金原ひとみ|距離感にもがく女性たちの物語 アンソーシャル ディスタンス(新潮文庫) 作者:金原ひとみ 新潮社 Amazon 金原ひとみさんの『アンソーシャル ディスタンス』は、女性たちを主人公とした5編の短編集。彼女たちは人との距離感にもがきながら、何かに頼っている。その何かは、ストロング…