幼いころ、家のお風呂は薪で沸かしていた。母はときどき、鉈を手に薪を割っていた。 先日、そんなことをふと思い出した。 母の姿を見て育った私は、キャンプ場での薪割りが、とても懐かしい光景に思えた。 これまで一度も薪を割ったことはなかったけれど、不思議とできるような気がした。 「やってみたい」 そう言って薪割りを手伝わせてもらった。 手斧を片手に持ち、ケガをしないよう慎重に薪へ刃を当てる。食い込んだところで思い切り振り下ろすと、 パカッ。 乾いた気持ちのいい音を立てて、薪が二つに割れた。 その瞬間、思わず笑みがこぼれた。 節に当たって思うように割れないこともある。けれど、それさえ面白い。 何も考えず…