「成瀬は天下を取りにいく」という作品を認知し読んでから2年強。文芸界隈の席巻にとどまらず、漫画化や地域イベントへと広がっている。 作品の求心力は読んだときに感じられたが、出版社の広告の力の入れ具合に始まり、各書店へ波及したその熱量が本屋大賞へと導く。このネット上だけに収まらなかった一体感とはなんだったのか、それが何故生まれたのかを考えてみたい。 初動の新潮社の動きが他作品とは異なる。デビュー作の帯に何故あれだけの推しコメントを集められたのか。これは完全に出版社サイドがいけると踏んだに違いない。どうやって拡販するのかを練り、様子見はせずに最大風力で発売させている。 この初動がなかったとしてもおそ…