わたしが住職になったばかりの頃、ある日、突然海外から電話がかかってきました。相手はアイルランドの国営テレビ。かつて都内の禅寺で共に修行したアイルランド人の尼僧について、インタビューをしたいという依頼でした。 彼女と出会ったのは、わたしがその禅寺で修行を始めて二年目のことでした。言葉や文化の壁を超えて、わたしたちはすぐに心を通わせるようになり、やがて結婚の約束を交わすまでになりました。 しかし、彼女が母国で結婚の報告をするため、一時帰国の途中に立ち寄ったタイで、不運にもバス事故に遭い、わずか26歳の若さでこの世を去ってしまいました。 その後、彼女が日本滞在中に綴っていた日記がアメリカで書籍として…