薄暗い照明が心地よい、とあるBARのカウンター席。 仕事の疲れを癒やしたくて、私は一人静かにグラスを傾けていた。 いつものようにウイスキーを頼むつもりだったけれど、 ふと目に留まったメニューに「季節のカクテル」の文字。 何かに導かれるように、それを注文してみた。 マスターは寡黙な職人のように、手際よくシェイカーを振る。 カラカラっという音が店内に響き渡る。 グラスに注がれたカクテルは、淡いピンク色に輝き、 まるで夜明けの空のようだった。 添えられたのは、見たこともない小さな花と、瑞々しい赤い果実。 一口飲んで、私は息を呑んだ。 それは、今まで味わったことのない味だった。 口にした瞬間、広がるの…