2011-12-09 Pan Asia OTO
Do what thou wilt shall be the whole of the Law.
大きなイベントを終え、再び通常の活動へと戻ったOTO Japanですが、関東圏と関西圏では定期的なStudy Groupとイニエーションが随時実施されています。今年になって新たにOTOに参入いただいたメンバーも少しずつ増え続け、二つのロッジともに順調な活動を継続しています。
9月に開催されたJ. Daniel GuntherとGrand Master Frater Shiva Xの連続講義のレポート等が掲載されたニュースレターが下記urlから入手可能になりました。
http://otonewzealand.org.nz/newsletters/PanAsiaPacificOct2011.pdf
OTO Pan Asia Newsletterは、ニュージーランドを含むアジア全域のOTOメンバー専用のニュースレターです。より正確に云うとOTOのチャプター・ワーク(第五位階)をニュージーランド & アジア圏で担っているSAKURA Chapterの機関誌ということになります。これまで非公開でしたが、OTO New Zealandのサイトで3月版と10月版のみ公開しています。英語版のみですが、ご関心のある方はダウンロードしてみて下さい。
Love is the law, love under will.
2011-09-11 J. Daniel Gunther & Frater Shiva連続講義終了
Do what thou wilt shall be the whole of the Law.
このBlogで継続的に情報をお知らせしてきたイベント、J. Daniel Gunther/ Frater Shivaのシリーズ講義は盛況の内に無事終了いたしました。このイベントは多くの方々の協力の下に企画・準備・運営されてきました。当日、このイベントに参加された皆様は、世界最高峰の達人が、この時期にわざわざ極東の地まで足を運んで我々のために為した偉業について理解されていることと思います。このイベントは、日本のOTOにとって正に歴史的なイベントでした。イベントの規模はさておき、その内容は驚嘆の連続でした。
このイベントの為に海外から足を運んでいただいた兄弟・姉妹にまずは感謝を。特にオーストラリア・グランド・ロッジの参画抜きにこのイベントは成立しなかったと思います。最初にガンサーの来日を示唆し、また企画のきっかけを作っていただいた兄弟Shivaの情熱によってOTO Japanは変革の時を迎えることができました。心から感謝いたします。また未熟な日本代表(FSR)である私を支えてくれたOTO Japanのオフィサー達、そして兄弟・姉妹達に感謝いたします。勿論、OTOに共感いただき、今回のイベントに参加いただいた友人の皆様にも大感謝です。自分の無力さを痛感するとともに周囲に支えられ、このイベントを乗り切れたことを誇りに思います。
A.’.A.’.とOTOの断絶の歴史は複雑であり、恐らくそれは50年程度の歴史考察を必要とします。クロウリーの死後、両団の後継者と見做されたカール・ヨハンネス・ゲルマーは熱心なセレマイトでしたが、彼は自分の後継者を指名する責務を怠ったといえるかも知れません。ご存じの通り、OTOは第9位階の参入者であったグラディー・マクマートリーによって1970年代末から世界中に拡大していきました。彼は、どちらかというとゲルマーとは疎遠だった人物です。A.’.A.’.はゲルマーの弟子であったマルセロ・モッタによってその命脈を保ちました。そしてグラディーとモッタはクロウリーの著作権とOTOの正当性を巡って激しく対立し、合衆国において法廷闘争へと突入します。グラディーのOTOは正当な唯一のOTOとして勝利しましたが、逆に彼が主張したA.’.A.’.は、貧弱な小グループでしかありませんでした。モッタのSOTOは、衰退の一途を辿り、しかしA.’.A.’.については水面下でその機能を十分に果たしていたと思われます。A.’.A.’.とOTOは、双方が相互関連して作用するという重要な機能を長らく失うことになります。1990年代になって、あからさまには語られることはないものの同盟関係が修復されるまでは。今回のイベントは正にA.’.A.’.とOTOのコラボレーションによって実現されたものです。そして、これは両団の名前を冠した世界で初の共同イベントだったと云えると思います。ここにおいて、私達は一つの重大な歴史の一幕を垣間見たことになります。どうかこの意味を忘れないでください。
一日目の講義は、オーストラリア・グランド・ロッジのグランド・マスターである兄弟Shivaによる深遠な考察から幕が開きました。彼は、A.’.A.’.とOTOの相補性を強調しながら、類まれなる「OTO論」を展開したのです。それは彼が定義した13項目からなるリストに結実しています。このリストを知ることは、当日参加した皆さんに与えられた特権です。それについて熟考すれば、本来のクロウリーの意図が浮き上がってくる筈です。この社会的科学的啓明団の働きと狙いは何か? ということです。兄弟Shivaは、その理解を補足する為に1919年に出版された『春秋分点 第三巻一号』、所謂『青の春秋分点』の存在に光を当てます。何故なら、そこには1915頃のクロウリーの計画と意図が、生々しく刻まれているからです。そしてその表紙の秘密についても。クロウリーの『青の春秋分点』が、物議を醸すものであったことは、私も認識しています。ただし、兄弟Shivaの講義は、クロウリーの計画の真義を探究するための最高のイントロダクションでした。彼の講義に参加した多くの人達にとっても同様の変化が生じていると私は確信しています。
彼の二つ目の講義は、これまであまり考察されることがなかったOTOのイニシエーションの過程を分析心理学と発達論に基づいて明確化するというものでした。この作業には、当然ながら曖昧さと複雑さが付きまといます。兄弟Shivaは、自身の意見を述べるとともに、個々のイニシエートが咀嚼し、独自に解釈するための有益な材料を提供してくれたと云えます。私達は、その題材を慎重に扱い、また宇宙大の曼荼羅を描くための、または個性化のための独自のPathを視界に捉える必要があります。このPathは「永久」へと繋がっています。またそのためにOTO Japanも大いに努力し、邁進しなければなりません。彼は、これまで公に語られることのなかった様々な思考の材料を残していってくれました。
この日の夜、東京に本拠を置くOTOのニヒル・ロッジの主催で「グノーシスのミサ」が執り行われました。この美しいミサは、正にこの日を締めくくるのに相応しいものでした。またこの日のミサは、国内で行われたミサの中で、もっとも多くの参列者を集めて行われました。多数のご参加ありがとうございました。
二日目と三日目の講義は、勿論ダニエル・ガンサーを講師としてお招きしてのものです。2日間で6本の講義。そこにはA.’.A.’.に35年間献身してきた薔薇十字団の達人の生々しい声がありました。人々の中にあって名前を持たない教団、それがA.’.A.’.です。その位階制度やカリキュラムは、クロウリー自身の手によって公開されています。それでも、これまで語られたことのない秘密がどれほど存在することか! ダニエルの講義は、正に驚きの連続でした。彼の著作_Initiation in the Aeon of the Child_よりも、かなり噛み砕いた会話調で講義を進めていただいたことも大きな効果を齎しました。「スフィンクスの諸力」については、彼の著作にも記述があります。また私達はクロウリーの『アレフの書』を読むことによって混乱に陥った同教義を順序立てて、系統的に学ぶことができました。その概念はA.’.A.’.に於ける発達論であり、技法であり、また統合論でもあり得ます。彼が提示するA.’.A.’.のイニシエーションの過程、「大いなる回帰の径」の順序が、OTOのプロセスと逆になるという考察に私達は驚かされました。この過程を知り、彼が提唱する「逆行論」を分かりやすく知ることが出来たということも当日講義に参加した皆さんの特権です。そう、A.’.A.’.のイニシエーションの過程は、古き神オシリスの死の祝祭から始まるのです。そして私達は「逆立ち」しながら歩むことの奇妙さに心を奪われました。
「子供のアイオン」の救世主論は、ダニエルが提唱する最も刺激的な主張の一つです。ですが、私は、救世主に対する彼の講義の内容をここで紹介しようとは一切思いません。それは、クロウリーにとって、ダニエルにとって、そして私達にとっても霊的に謙虚にならざるを得ない内容だからです。
彼の二つの講義、Self Beyond self 「私を超える自己」とBlood in the Cup of Babalon 「ババロンの杯の血」は連続した講義でThe Angel and the Abyss 「天使と深淵」と題されています。そしてThe Angel and the Abyssはダニエルの次の著作の題名でもあります。ここで私達は、更なる驚嘆に包まれることになります。彼は聖守護天使の問題を、まず歴史的観点から、続いてセレマ的な観点から考察します。それは、いかなる存在なのか? そして誰もが聖守護天使を持っているのか?という重要な疑問へと私達を誘います。彼の答え、そしてその理由を知っている皆さんはどうかそれを秘密にしておいて下さい。あの衝撃と感動は、あの日あの場所にいた人達にしか理解できないと私は考えます。これは私達に託された沈黙の美徳への献身です。
深淵を越える? この現象について、ここまで分かりやすくまた説得力のある説明を為した魔術師が今までいたでしょうか? 全くいなかった、と言わざるを得ません。そしてAngelとAbyssのそれぞれの頭文字はA.A.です。深淵の辺境で警護する光の前哨基地、二つの小径の重要性、そして深淵を越えることによって破壊される何か。。そこには私達を興奮させずにはいられない怒涛の教義が濃縮されていました。
このイベントに参加された全ての皆様に改めて感謝いたします。そして、このイベントによって何かが確実に変化していく筈です。最後にOTO Japanの活動にご関心のある方々は、下記のサイトからコンタクトしてみて下さい。近い将来、またお会いいたしましょう!
http://www.otojapan.org/contact.php
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2011-08-15 いよいよThe Path of the Great Return & The Path in Eternity
Do what thou wilt shall be the whole of the Law.
記念すべきJ. Daniel Gunther/ Frater Shivaのシリーズ講義まで、いよいよ三週間を切りました。
9月4日の日曜日は、青山にて"OTO day"と呼んでもいいくらい濃厚な東方聖堂騎士団に関する二つの講義が、第10位階オーストラリア・グランド・マスター Frater Shivaによって展開されます。
講義1. Aspiring to the Holy Order 「聖なる団に志願して」
講義2. Under the Shadow of the Wings 「両翼の影の下に」
そして、この日の夜、東京に拠点を置くNihil Lodgeによる「グノーシスのミサ」が開催されます。『法の書』の権化ともいえる美しきミサ、そして神との交流、是非お楽しみ下さい。
9月5日月曜日は世界最高峰のThelemic Magician J. Daniel Guntherによる講義があります。
講義1. Mend me this shoe that I may walk 「私が歩けるように靴をつくろっておくれ」
講義2. Right Perspective on Initiation 「イニシエーションについての正しき視座」
講義3. Self Beyond self 「私を超える自己」
ここでは「スフィンクスの諸力」、そしてスフィンクスの第5の力の解説と「蛇に巻かれし心臓の書」に登場する「靴」が意味するものが明かされます。そして、A∴A∴のイニシエーションの展望、聖守護天使に関しての卓越した講義が用意されています。この日は世界各地から集まったセレマイト達が汐留の会場に集まることになります。また夜には講師と参加者の交流を深める晩餐会が用意されています。
9月6日火曜日はガンサーの二日目の講義です。
講義4. Blood in the Cup of Babalon 「ババロンの杯の血」
講義5. The Doctrine of the Messiah in the New Aeon 「新アイオンにおける救世主の教義」
講義6. No Name Among Men 「名もなき者たち」
最後の日は深淵越えの秘密と、ガンサーが世界中のセレマイトを驚嘆させた新アイオンのメシアの教義、そして世界初公開となる最後の講義の計3本が予定されています。
Frater Shivaは今回が5会目の来日となります。そして初来日を果たすGuntherは、初の英語圏外での連続講義に挑みます。日本語の翻訳も入りますので、皆さん是非この機会をお見逃しなく!
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2011-05-14 The Path of the Great Return & The Path in Eternity
Do what thou wilt shall be the whole of the Law.
Guntherの提示する「子供のアイオン」の魔術について解説中ですが、今回のイベント『The Path of the Great Return & The Path in Eternity, The A∴A∴ & the O.T.O.』の情報提供メーリング・リストができましたのでお知らせいたします。メーリング・リストへの登録は簡単です。下記のメール・アドレスにメールを送り、リストへの参加をリクエストして下さい。
enquiriesアットマークotojapan.org
(アットマークは@に変換して送付して下さい)
イベントのスケジュール等について、オーストラリアのグランド・ロッジのイベント告知コーナーを参照下さい。
http://www.otoaustralia.org.au/events.html
日本在住の方々の参加費は三日通しが33,000 円となっております。一日のみの参加費は13,000円、二日間の参加費は26,000円となります。参加費に関しては、高めの設定ですが、海外からの二名の講師召還に加え、場所代や諸経費を鑑みて決定しております。ご容赦の程をお願いいたします。Guntherの来日は、今回が初めてですが、次回の来日は全く予定されていません。この機会をお見逃しなく!
既に海外からの参加希望が続々と届いています。この歴史的なイベントへ参加をご希望される皆さんは、是非メーリング・リストにご登録ください。
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2011-05-07 Initiation in the AEon of the Child 6
Do what thou wilt shall be the whole of the Law.
“わが書のこれら全ての古き文字は正しい。しかしTzaddiは星にあらず。
これもまた秘密である。わが預言者はそれを賢者らに啓示するであろう。” 『法の書』第一章 57節
Guntherの_Initiation in the Aeon of the Child_の第五章「Christeos Luciftias」は、第八章「Wormwood」と並んでもっとも難解な章になっています。それ故に、その内容の全体像を掴むためには、特に二つの要素について解説を加えなければなりません。一つは「ツァダイは星にあらず」の検証、そしてもう一つはGuntherが<新アイオンの救世主>と定義したマジスターV.V.V.V.V.の教義です。このうち後者の理論はGuntherの著述の中で、もっとも刺激的で、また謎に満ちたものになっています。
「Christeos Luciftias」はアレイタスー・クロウリーの5=6小達人の魔法名ですが、その名前の中に「キリスト」と「ルシファー」の二つの名前を見出すことができることは興味深いことです。クロウリーが魔術の基礎、そしてカバラの基礎を学んだ「黄金の夜明け」団は、西洋魔術の理論と実践の骨子ともなる魔術的カバラ、そしてその万物照応の手法を幅広く定着させてことは皆さんご存知のことと思います。22枚のタロットの大アルカナには、それぞれ元素記号、惑星と黄道12宮のサインが整然と対応しています。この配列そのものは勿論「黄金の夜明け」団のカバラ的綜合の成果の一つです。さて、大アルカナに占星術のサインを一つずつ対応させていく過程において、カードの性質と黄道12宮のサインがうまく折り合わず、「剛毅」と「正義」の二枚のカードはその順番を入れ替えられています。つまり本来の大アルカナの並びの順番が、そのままでは「生命の樹」に対応する22枚の絵札として整然と収まらなかった為、その8番目と11番目の大アルカナが相互置換されているのです。詳しくは専門の研究書に譲るとして、クロウリーが受け取った『法の書』の教義に従えば、更にもう一組、「ツァダイ」が対応する大アルカナ「星」がいずれかの大アルカナと置換される必要があるということになります。クロウリーは紆余曲折の末、結果的に「ツァダイ」を「星」の大アルカナから分離し、四番目の大アルカナである「皇帝」に帰属させることにしました。つまり、「ツァダイ」は「皇帝」に、そして「ツァダイ」が本来対応していた「星」には「皇帝」の対応物「へー」が対応することになったのです。
・「皇帝」札番号 IV ツァダイ
・「星」 札番号XVII ヘー
クロウリーは晩年の作品である「トートの書」には黄道12宮の二か所が捻じれる図形、所謂「12宮のダブルループ図」によって、全体としてはシンメトリカルな二か所の置換が発生すると説明していました。しかし、Guntherはその点には一切触れず、独自の観点から「ツァダイは星にあらず」の解析を進めていくことになります。Guntherの手法は明快です。「ツァダイ」とは「釣針」を意味し、また古きアイオンを表象する「魚」の概念を想起させます。「ツァダイ」=「釣針」は、<God as a Fisherman>「釣り人」イエス・キリストの道具であり、初期のキリスト教徒が用いた隠れシンボルである<イクトゥス>の意味は「魚」です。イクトゥスは、ΙΗΣΟΥΣ ΧΡΙΣΤΟΣ ΘΕΟΥ ΥΙΟΣ ΣΩΤΗΡの頭文字ですが、これらの言葉は順に「ジーザス・クライスト、神の御子、救世主」を意味しています。またキリストの弟子(使徒)達の内、シモン、ヤコブ、ヨハネの職業はガラリア湖の漁師でした。更に「皇帝」に対応する白羊宮のサインは、やはり同じ意味で古き父のアイオンを想起させます。「子羊」は迷える者の代名詞であり、主イエス・キリストは神の羊飼いということになります。またキリスト自身が「世の罪を取り除く神の小羊」と呼ばれることもあり、更には「ヨハネの黙示録」の中では、”「屠られたような」「七つの目と七つの角」を持つ小羊の姿”としてのキリストが登場します。Guntherは、救世主を「魚」や「羊」に同一視する概念は西洋精神史の中ではアーキタイプとして古くから機能し、また無意識的に、それらは同一のものとして分類されていることを指摘します。つまり<「父のアイオン」= 救世主 = 子羊 = 魚、>として「皇帝」と「ツァダイ」は深く結びつくのです。「皇帝」は明らかに父性による秩序の維持と硫黄に代表される峻厳さを誇示しています。旧来の対応では、この大アルカナに女性的な「ヘー」が対応していたわけですが、クロウリーのこの訂正により、その矛盾は解決されたといえます。「古き父のアイオンの救世主」は、こうしてネツァクとイェソドを繋ぐ小径として、「ツァダイ」と<完成された硫黄>が帰属されることになりました。
さて「ヘー」は、ヌイトが描かれた壮麗な「星」の大アルカナに結び付けられました。そして、この「ヘー」には新しいアイオンの救世主の星である八条光星が帰属させられることになったのです。Guntherは、この8本の線からなる「星」を<救世主の星>として定義し、また更にそれを「揮発物の凝固」あるいは「凝固した水銀」と呼んだのです。この錬金術用語は『霊視と幻聴』に登場します。では「凝固した水銀」とは、何なのでしょう? Guntherの書き方が決定打に欠けるため、読者は多少戸惑ってしまいます。「凝固した水銀」とは、<第五元素>である宇宙の「精髄」(Quintessence)の形成であり、その「精髄」は聖なる婚礼(Hieros Gamos)、即ち達人と彼の聖守護天使の結合により生起します。またそれは新アイオンのイニシエーションの最高の境地を表し、クロウリーの体系の中では「砂漠たる深淵に咲く花」として譬えられるものです。また希薄で不安定な気体としての「意志」が完全に<凝固し定着する>事象を表し、それは「大作業」の完成を表しています。そこには、「古き父のアイオンの救世主」とは対照的な、「新しい子供のアイオンの救世主」が君臨することになります。Guntherは、このアイオンの救世主の名を5文字のアルファベット「V.V.V.V.V.」として紹介しています。
V.V.V.V.V.と聞く大抵の方は、クロウリーが「神殿のマスター」の位階、即ち8=3マジスター・テンプリの位階で宣言した魔法名「Vi Veri Vuniversum Vivus Vici 」(真理の力によりて、我は生ある内に宇宙を征服せん)を想起することと思います。つまり、クロウリーの魔術的人格の内の一つ、あるいは単にクロウリーの異名として捉えてしまうかもしれません。しかし、Guntherは、V.V.V.V.V.は個としてのアレイスター・クロウリーとは全く独立する形で存在しており、クロウリーは天才であったかもしれないが、マジスターV.V.V.V.V.の書記にしか過ぎなかったと断言しています。V.V.V.V.V.は単にイニシャルで知られているのみで、クロウリーの他の重要な魔術作業、『霊視と幻聴』の中では、”Via Vita Veritas Victoria Virtus”(径、生命、真実、勝利、美徳)、あるいは”Vir Vis Virus Virtus Viridis”(人、力、毒、大胆、緑)と呼ばれることもあります。A∴A∴の『第33の書』では、”彼らの首領は、彼自身としての言葉の光 V.V.V.V.V.であり、光という聖油で清められたる人類の唯一の教師にして、径、真実、そして生命である”と表現されています。またクロウリーに数々の「聖なる書物」を授けた人物であり、実質的なA∴A∴の指導者がこのV.V.V.V.V.です。
V.V.V.V.V. = 救世主の星である八条光星 = 「凝固した水銀」は、『霊視と幻聴』の6番目のアエティールの叫び<MAZ>の幻視では「生命の樹」の第11番目の径<アレフ>から光とともに「ヘー」=「星」の小径に下ってきた、とされています。「神との対面」とも呼ばれる<アレフの径>ですが、A∴A∴のA級刊行物である『第10の書 / 光の門』の中では、V.V.V.V.V.は、アドナイのメッセンジャーであり、<小さく暗い球形>(マルクト、または地球)へ送られたアドナイの光の光線であることが明らかにされています。また『第813の書 アラリタの書』では、アドナイの<奉仕者>であり、アドナイの<栄光の反射>と呼ばれています。V.V.V.V.V.は、A∴A∴のA級刊行物を、書記であるアレイスター・クロウリーに伝える為、クロウリーをサマディーの状態に引き上げた後に、自動筆記(クロウリーの肉体)を通して、それらの知識を伝えたと云われています。クロウリーは、この点から『セレマの聖なる書物』の作者は、明らかに自分ではないと断言しています。このようにして、5700語以上ある全7章からなるA級刊行物『第7の書』は、わずか3時間でクロウリーによって自動筆記されました。達人と彼の聖守護天使との関係を全5章に渡って美しく謳いあげられた『第65の書』は、『第7の書』の筆記の直後に開始されています。クロウリーの創作のエネルギーとは別の所で、これらの『セレマの聖なる書物』は書かれたとクロウリーは断言せざるをえなかったのです。
V.V.V.V.V.という名前は13種類ある全ての『セレマの聖なる書物』に13回登場してきます。13という数字はクロウリーの『777の書』によれば、”愛による統一の結果”を表します。ヘブル語では「愛」を表すAHBHと「統一」を表すAChadのゲマトリア数値は、共に「13」です。V.V.V.V.V.は「統一」たる<アレフ>より光とともに降下し、「コクマー」と「ティファレト」を連結する小径<へー>にて「凝固した水銀」として、その八条光星を輝かせるのです。
「救世主の星」(The Star of the Messiah)に関してGuntherは、8つのVから形成されるもう一つの星の形態を紹介しています。Guntherによると、8つのVとは『第7の書』第四章に登場する” Vervum Vervum Vitriol and V.V.V.V.V.”によって形成されるといいます。Verbumは「言葉」であり、Vitriol(錬金術の硫酸)は『霊視と幻聴』の第24番目のアエティールの叫び<NIA>の中では”Vir introit tumulum regis, invenit oleum lucis”(人をして王の墓に入りしとき、彼は光の聖油を見つけたり)と表現されています。V.V.V.V.V.とはまた秘儀参入の授与者である新アイオンのハイエロファントの名前なのです。8つのVは、アドナイの奉仕者としての「言葉」と「秘儀」を示唆しています。そして、この救世主は深淵の守護者でもあります。「ツァダイは星にあらず」の教義は、「古き父のアイオンの救世主」=<ツァダイ>と「新しい子供のアイオンの救世主」=<ヘー>の二人の異なる救世主の教義として確立したことになります。
よく誤解されていることですが、A∴A∴には<Lineage>(血統)という概念は存在していません。A∴A∴のどの系統が正しく、また他の系統はそれより劣っているなどという論争は馬鹿げています。何故ならA∴A∴には、唯一V.V.V.V.V.を祖とする霊的な<Chain>(鎖)のみが存在しているからです。その意味では、A∴A∴とは<一つ>であり、現代の達人たちはV.V.V.V.V.との繋がりにおいてのみ正統なA∴A∴に連なっていると云えます。A∴A∴とは、実在する魔術結社であり、Guntherは間違いなくその最も卓越した指導者であると云えます。
Love is the law, love under will.




