社会の中の芸術 第13回 料理美学序説

第13章 料理美学序説

      • インタビュー --- 要約

日本料理 吉兆西洋銀座店長 湯本俊治

1.日本料理の特質について

素材の持つ力をこえることはできないが、その引き出し方に工夫がある。

◎素材の引き出し方

塩梅 塩の使い方 刺身、焼き魚の例でいうと鮎は塩加減で違う物になる。

最適の点は一点しかない。

西洋のバター、ソース → 鰹だし、昆布だし、醤油、塩ということになる。

◎もうひとつが食べる人の健康状態を考慮するということである。

例 冬 --- 醤油 夏 ------ 塩主体

日本の食材は水分が多い。

野菜は炊くことが多い。

2.食材の鮮度で違う料理とすることがある。

魚の新鮮なものは刺身、しまっているものは焼き物や昆布締めとする。

果物は熟度で使い分ける。

3.お客に合わせてあつらいをする。

夏でも空調が効いた部屋では熱々のものを出すことがある。

4.五感をトータルに味わう。

器の取り合わせ、部屋の調度の整えかたもその中に入る。

5.最近は新しいうまみの追求もしている。

例 はまぐりのスープ+α として

乳製品はかつおだしは合わないがそこに味噌を入れると調和するという

不思議さ。

野菜を炊くときに西洋だしを使うなど。

海外旅行や滞在の発達で日本料理にも西洋料理のプラスαが入ってきている。

二、日本料理の技法の伝承のついて何か違うことがあるか。

レシピは昔はなかったが、最近は多店舗展開の必要から味の均一性を保つ必要から

ある程度のマニュアルを作るようになっている。

日本料理は、切る、焼く、炊く、盛り付けと分野が分かれているので、仮に各パート

を2年やったとしても下働きをいれると10年がひとつの修行期間となりこれでも言

われたことがわかるという程度であることから修行期間が長くなる。

−−−− 西洋料理のについて −−−−−

フランスレストラン店長 ジョエル・ロビション さんにインタビュー

料理は芸術ですか?

なまものに火を通すことで文明が始まった。また昔から栄えた国家には美食文化が

必ずある。認識論的にみると、身体を維持する栄養を維持するという日常かくべか

ざる面もあが、演奏会や展覧会と同じ晴れの場の営みもある。

料理の視覚的側面について

料理は見た目も重要。見栄えの悪い料理はだめ。

フランス料理は、器にあまり凝らないようだが・・・・・・。

食器の種類が少ないが。現代では進歩してきている。

見た目よりも味を重視しているのがフランス料理

キャビアジュレ」という料理について

"キャビア"は元はスノップな食べ物

ロシアではサワークリームを付けて食べていた。

キャビアの持つヨード味を生かし、カリフラワーの渋みとクリームの酸味が

必要でそれを合わせるものとしてジュレがある。

絵画とおなじく調和を追求する。

料理ほど五感に訴える芸術はないでしょう。

このジュレは、仔牛の臑からとったゼラチンを使っている。

フランス料理は魚こそ新鮮な素材にはめぐまれていないが他は豊富にある。

これまではソースを重点としてきたが最近は違う。変わってきている。食材そのも

のの味を活かした料理を追求してきている。

以上

13章 テキストの要点

料理は芸術なのか?

筆者の結論は「芸術」である。

なぜか、美術や音楽が芸術である哲学に照らし合わせてみると、「自然の本質の

表現」であるという点を、料理は高度に複雑で洗練された技術を駆使して「自然

の生命的な本質を直接的に表現している」ことで芸術と言える。

これまでそうでなかった理由。

カントの美学哲学に欠陥があったせい。

カントの美学の欠陥とは「料理に由来する快は自然の美とは根本的に異なると

考えてことである。すなわち、料理は個人の趣味に大きく左右されるので美と

しての普遍性を持っていないと考えたことが原因である。

しかしフランスのシャルル・ラロは、芸術体系の中で感覚的快楽性のなかに美食

芸術として滋養の富んだ栄養物として飲み物や料理お菓子を含めて摂取することも

該当するとと立論していた。

アリストテレスも言っていたように世界の本質のミーメンス的表現を芸術とすれば、

料理もその存在が植物と動物の存在の連鎖としてなりたっているので、自然の生命の

本質な表現という芸術なのである。

ただし料理のすべてが芸術なのではなく、「その最も高度なものにおいては、自然の生命本質が最も強く現れた理想的にして典型的な最も存在強度の強いものの本質を、直接的に、しかも最も手の込んだ高度で複雑で洗練された技術を駆使して、最高度に表現する料理が芸術である。」と言える。

芸術である料理の例

フランス料理 ジョエル・ロビションの料理

複雑性をめざす。足し算の料理

日本料理

純粋性をめざす、引き算の料理。

社会と芸術 第12回 食材と静物画

12章 食材と静物


1. 西洋美術における静物

ほんものそっくりに描く技巧が賞賛された。

この発展が「トロンブ・ルイヨ(だまし絵)」となった。

例 「手紙掛け」エドワード・コリア


古代 ポンペイのモザイク画

古代の静物画 「クセニア」と呼ぶ

元々は本人が客人に贈る食料や食材を代わりに絵として贈ったことから

発祥した。

新鮮な食材をそっくり再現し眺めていたいとという欲求から流行した。

ルネッサンス以降の静物

15世紀 フランドルで生まれた静物

描かれた物がキリスト教的な意味を持つ

洗面器、水差し、タオル 聖母の純血、ワイン、パン キリストの象徴

リンゴ 原罪、ザクロ 受難


アトリュビュート

聖母 百合、ペテロ鍵 鍵、パウロ 剣、ジュピター 雷、

ヴィーナス バラやりんご


目にみえるものに人や抽象的な概念を重ねるというのは西洋の独特の思考方法。

東洋は漢字という表意文字があったためなかった。


2.近世の静物

静物画は、事物を画家が思うがままに配置することできるため「構成を追求するの

が容易なため発展した。


(1)オランダの食卓画

カラヴァジョ 「果物籠」から静物画が絵画の主題になることがわかった。

当時のオランダで絵画

フローリス・ファン・デイク チーズのある静物 食卓画

リンゴ 酸味。チーズ 辛み、葡萄 甘み、木の味 苦み。

スルバラン 「静物(ボデゴン)」

ヴィレム・クラ・へーグ 「朝食のてーブル」

この世のむなしさを戒める「ヴァニタス」の意味がこめられている。

死を連想させるもの「メメント・モリ」とも言われた。 モチーフとしては、

頭蓋骨、時計、消えたランプ、楽器、書物など。

宝石、財布、硬貨 消滅する現世の価値

花や果実 短命、生のはかなさ を象徴する。

スネイデルス「静物」、

ステーンウェイク 「静物・虚栄の寓意」

パルステ・レアール「世の栄光の終わり」

「パンとワイングラスのある静物

ヘイエレン「静物

ヴィレム・カルフ「オウム貝のある静物

ビーテル・クラースゾーン「にんしのある静物」貿易による影響。


3.近代の静物

造形実験としての静物

静物画を造形的追求の場とする試み。

セザンヌ「リンゴとオレンジ」

マチス「赤い食卓」

色彩と構成による造形的な実験を追求した。

パプロ・ピカソ キュビズムという実験

三次元を2次元で表す

「食堂」、「ブラック(円卓)」

物がそれ自体で芸術になるという20世紀の静物画を予告するもの

「パピエ・コレ」

3.大衆消費社会の静物

アンディ・ウォーホル 「キャンベル・スープ缶」

大衆消費社会での缶詰やマリリンモンローの肖像など社会に広く流通している

ものが人間の美意識に合致し人気を博す。


絵画は目の前にある事物や事象を写して留めるという欲求から生じた。

よって食物と絵画にはともに、生や現世を肯定しつつ、自然を克服して人の手に

入れられるようにしたものという共通点がある。それゆえ食物は絵画のモチーフと

なりうる。



以上

社会と芸術 第11回 食と西洋美術

第11章 食と西洋美術


最後の晩餐 キリスト教の「聖餐」の思想

「天上の食事」ガタコンペの壁画

レオナルドダビンチの絵が有名 パンはキリストの肉、ワインはキリストの血

、魚はキリストを指す暗号。

よき食事と悪しき食事

よき食事とは

最後の晩餐を思い、主の犠牲と復活に感謝しつつパンとワインだけの食事をする。

悪しき食事

「放蕩息子」やん・ファン・ヘメッセ 「王様の乾杯」ヤコーブ・ヨルダーンス

大食や乱痴気騒ぎの食事をいう。

16世紀から17世紀にかかれたどんちゃんさわぎの絵が書かれた理由。

中世から近世にかけて食糧事情が不安定で粗食とごちそうを交互に食べた歴史があり、

飽食の絵は一種の理想郷を描いた。


2.近代の食事

屋外の食事風景が多く描かれた。市民社会におてい郊外に出かけたり、レストランで

食事をする機会が増えた。

「草上の昼食」 エドゥエール・マネ

「〃」クロード・モネ

「舟遊びの昼食」ルノアール


自然と人間をむすびつける力として食事風景を描いた。

アブサンエドガー・ドガ

「フォリー・ベルジェーネの酒場」マネ

「アルルのレストラン」ゴッホ

都会のレストランや酒場の絵。都会に生きる人間の孤独を表している。


馬鈴薯を食べる人々」ゴッホ

大地の恵みに感謝している農民の姿


食事という行為に神聖な意味を見いだし,

教訓的に主題としてきたが、それぞれの時代の欲求や社会を反映したものと

なっていた。

社会と芸術 第9回 宗教と美術 カトリック改革と美術

第9章 宗教と美術 カトリック改革と美術

美術の歴史 神の姿を写したものを表した。

イコンの聖像 偶像を作ることは禁じられているので聖なる像を通じて神に

祈るために作られた。

一方、仏像は 仏像自身に魂が入っている。

キリストの像の変遷

アケイロポイエトス 人の手を経ず神との接触によって生まれたもの。

1.マンディリオン 聖顔布

ヴァチカン美術館にある

2.スダリウム

3.ケラミオン

4.シンドーネ 聖骸布

この流れからキリスト教は絵画を重視する傾向がある。

その後

イコンを偶像化することが問題視され

イコノクラスム 聖像を破壊する思想がたびたび起こる。

8C ビザンチン令、16c 宗教改革

この結果、鍛えられたキリスト教美術が発達した。

カトリック革命 宗教改革に対抗してカトリック側から起きた改革

美術を布教の大事な道具とする。

トレント会議 信仰に寄与するものを重視する。

秘蹟

聖体、洗礼、堅信、品格、婚姻、告解、錬獄

カトリック美術が求めるもの わかりやすさ、写実性、情動的


イエズス会創始者イグナチオ・デ・ロヨラが著した「霊操」では

キリスト伝を視覚的にイメージすることを推奨し、「場への瞑想」を重視した。

大衆的でわかりやすい美術品で世界を布教していった。


カトリック改革後 ローマがバロック都市としてよみがえった。

理由 聖年 ジュビレオ25年に一度の大巡礼キャンペーンを実施し、建築、

道路水道などのインフラの整備を行った。

1585年 シクストゥス5世の改革

クレメンス8世 芸術家をローマに集めた

ユリウス2世治世化で

ジャンロレンチォ・ベルニーニが

サンピエトロ大聖堂、天蓋、カテドラ・ペトリを造営。

サンピエトロ広場、キリストの教皇庁を完成させた。


聖母像について

カトリックでは聖母像が重視されいている

. なぜか

1.地母信仰があったこと

2.母なるものを求める民衆の心理

エジプトのイシス神、ホルス神の授乳の像。

黒い聖母 フランス ロカマドール


イコンの類型

オディゲトリア型

エレウサ型 ウラジミールの聖母

ニコポイヤ型

エスタ型 荘厳の聖母(シェナ)


サンザッカカーリア聖堂(ヴェネツア)


無原罪の御宿(マドリード)


日本の聖母像

マリア十五玄義図 ,お掛け絵、マリア観音


すぐれた芸術はある種の宗教性がある。

芸術は宗教によって深められる。

社会と芸術 第7回 文学と社会

7.文学と社会


加藤周一との対談」

文学の定義

記録ではなく創造する作品。

優れた文章を書き連ねたもの。


欧米大学の定義 上記の二つ。

中国の定義 詩文、散文、内容ではなく、政策的な定義、碑文、小説ははいって

いない位。よい中国語で書かれたもの。小説はむしろ奇書扱い。


フランス パスカル 哲学的な文、神学など。

英国 キボン ローマ史


小説を中心として文学を考えるのは19世紀から。

著書「日本文学史序説」上下 では、

広く定義した。どういう定義をとったら一番おもしろいかという観点でとらえた。


ヨーロッパの中の言葉は、インド系からきて、ラテン語が学術言語として使われてきた。

日本語は中国語から入ってきて、漢文の読み下し文は、中国語を巧みに翻訳して取り入れてきた。 漢文式の翻訳は欧米では適用できない。

漢文を入れて、膨大な思想が入ってきた。

まず仏教は宗教的なものより倫理思想として入ってきた。 神仏習合、国家鎮護、現世利益、儒教は、現世的なもの、

仏教の世俗化、

仏教哲学の流れ 包括を解体して日本では局部的な取り入れをした。

朱子学 政治、医学、実用部分のを使う。


明治以降の西洋文化の受け入れはどうだったか。

ギリシャ・ローマのバックボーン、キリスト教背景を取り入れながら、技術的なものだけを取り入れた。

蘭学は医学、天文学などの取り入れだけ。

明治時代はヨーロッパ的拡張主義のまっただ中、

西洋技術を学び、工業力を付ける。富国強兵の道。

キリスト教の布教は50万から100万で変わっていない。

文学はとなると難しい。キリスト教の背景なしでは語られない。

社会と芸術 第6回 職人技と社会美

6.職人技と社会美


職人技の美とはなにか

職人技の美的特性

1.職人技の「歴史特性」

伝統の技

2.「徒弟制」による職人技の拾得

暗黙知という特質

3.「社会美」としての職人技特性

集団の協力

有田焼の例

佐賀県有田町 今右衛門窯

歴史と変遷

有田焼の歴史 1592年 朝鮮出兵かの帰還で始まり、1616年白磁鉱を発見した

伊万里焼きとして製造、鍋島藩が色鍋島を幕府に献上した。

藩の御用赤絵師として続く。 その後、本窯の移行しつつ、色鍋島への

復興をした。

13代 色杖薄墨珠樹文鉢 吹き墨技法という新技法を編み出した。

製品の行程はVTR

職人技の成立と継承

手仕事の成立

仲間(ギルド)の成立

近代における職人技とは

ベテランから若手まで続き伝統を受け継いできている。

分業体制の中で行程のスペシャリスト。 わき役と主役の意識。

例 水拭きの技 水の含ませ具合の感、

窯炊き 炎を見る経験、

形は見本を見せるのではなくめざす方向を示す、

細工人 先輩の技を盗み試行錯誤、

線は筆ではなく、絵の具で描く

精神的なもののくみ取りがいかにできるか?

新しい物をつくっていく、時代にもとめられたものを挑戦して作ってきた。

「墨はじき」という技法

江戸時代の使われ方 背景の地模様

見に見えないところに手をかけている。 大切さを感じている。

この技法を現代にどう活かしていくかということも考えている。

感動する心を大切に。


白化粧も同様に、積み重ねと何かの融合。


職人技本能の特徴

伝染混交 contamination

よいものが残る

怠惰な好奇心 idle curiosity

迂回して、無益かもが活かす

共通資産 common stock

集団の力


職人技と社会

売れなければならない。

販売

東京店 南青山

お客様は情報が欲しい 全国への交通利便性 お客様が全国から来れる場所

発想の違い

お客様の求めの声を有田に伝える

プロがプロを見る発想と違い

東京はあっさりとしたものの要求

関西はもう少し手をいれたものを

男性は、名詞置き、マウスパット

ペン皿、紙押さえなどの需要

技術のよさを知ってもらう工夫。

重さ、料理がはいって丁度良い。

手にとった重さ

配色

職人と一緒になって作り上げていく。

社会との協力関係で成立する。

職人の技ができあがりとして伝わることが大切である。

社会と芸術 第5回 芸術価値と経済価値

5.芸術価値と経済価値


東京交響楽団の例で

なぜ芸術家はまずしいのか?

採算があう芸術家は少ない・・・

勉強と研鑽費用を合わせると利益はなかなか出ない。

経済と芸術のバランスをどうとるか?

ミューザ川崎 東響の本拠地

成り立ち

1946 東宝交響楽団として 設立 戦後間もない頃であったが盛況であった

演奏家の入部についての

うまいソリストイコールよい楽団員ではない。 全体の調和、風土に合うか

風土 特徴

新しい、挑戦的、初演曲が多い。

音楽監督 ユペール・スダーン 2004年就任

マーラー交響曲第8番

芸術性を高めるための努力

楽団の運営

生産するものは音楽だけ、需要が少ない

クラッシック音楽ファンは少ない。

160本のうち50本は自らやりたいもの

残りは、興業的に成り立つものを取り組む。企業協賛、依頼を受けた

コンサートなど収入構造

71%は演奏収入で、民間支援11%、文化庁補助金7%、地方自治助成金

演奏会収入比率はもう少し少ない60%程度が一番よい。

支出構造、人件費楽団員93名 53%、事業費45%を占めている。

メンバーの給与は普通の会社と比べて高いものではない。

これまでの研鑽費用を考えると高いものではない。

東京交響楽団

収入構造 23楽団の平均

演奏収入 71% 58%

民間支援 11% 8%

文化庁基金 7% 7%

地方公共団体 0% 17%

助成団体 1% 6%

その他 10% 4%

採算性がよい


支出構造 2007年度

自主公演 23%

依頼公演 22%

楽団人件費 34%

管理費 20%

その他 1%


総支出が演奏収入を上回っている赤字体質

労働集約的サービス産業。

原因 供給過剰説 需要過小説

コスト病仮説 米経済学者ボウモルとボーエンが提唱した説

自動車生産と芸術生産の比較事例

「人間の発明の才によって自動車の生産二必要な労働を現象させる方法が考案されてきたが、シューベルトの四重奏曲を45分間演奏するに必要な人間の労働を、合計3時間の延労働時間以下にまで減少させることに成功したものはだれもいない。」

演奏活動の生産性をあげることはなかなかできない。

赤字体質からの脱却方法

需要を増やすという方法もあるか民間、自治体からの支援を増やすという

方法がある。

民間支援 企業メセナ

スカイラークGからの大きな支援 メセナ大賞

よい演奏をしてお客様に喜んでもらうことで報いる。

川崎市との契約、新潟市との準フランチャイズ契約。

企業側の声 NEC

CSR 企業の社会貢献活動

メリット 地域への貢献でアピール イメージアップ

まとめ

ギャップがあるが、このギャップをどう考えるか、芸術活動をどう考えるのかを

問われている。

社会と芸術 第4回 地域文化と固有性

4.地域文化と固有性


山梨県甲州市勝沼町 鳥居寺地区

特徴

気候 南西の斜面、日当たりよく温度差が大きい

土壌 粘土質

甲州種 ワイン用和食に合う

標高の高い場所が適している。


発酵が進むと辛口となる。

ワイン醸造の歴史

明治10年 甲州葡萄は1300年前から作られてきた。

フランスでワイン作りを学んで来て生産を開始した。

昭和16年協同組合で、自家用として消費していた。

株式会社 山梨ワイン オーナー制度

勝沼が世界とネットワークを作っている

ワインには地域性が強くででくる。

地域の固有性

素材の固有性 哲学者 アラン

ミケランジェロは、人の語るところによると彫像を構想する際には、必ず運び込まれた大理石の塊ほ目の前に置いて考えを進めたとという。偶然に目の前にあるいくつかのロ面が何かを暗示することによって、ほんとうの方法が見つかったのだ。そして、おそらくかれは、ごつごつした塊の持つ、自分にしか見えない形をまず彫刻するのだ。こうして、大理石の中からモデルが生まれてくる。モデルとは作品そのものなのだ。


テロワールとはなにか

その場らしさ J.グッド

土地の自然条件

地理条件、物理条件など

土地の人的条件

歴史性、技術性など


勝沼醸造叙所

場所別に収穫し醸造し比較している。

勝沼町全体のブレンド

勝沼地区のみ

二坂地区のみ

葡萄そのものの違いが表れてくる。

なぜ葡萄が違うかいうと場所によって違うということがわかってきた。

場所文化のお酒。

テロワール ぶどう・ワインの固有の環境条件

風、水、人の要素が含まれている。

ぶどうの丘

若い人達がワイン醸造に参入してきている


固有性の可能性

独立可能性

独立した固有の価値を提示できるか

改良可能性

内在的な発展を独自に行う力を持っているか


日本のワイン文化を支えて発展するに大切な土地である。

和食に合わせたワイン文化、日本酒文化を発展できたらよいと考える。

社会と芸術 第3回広告美術と共通感覚

3.広告美術と共通感覚


1.共通感覚とは何か

杉浦非水「三越呉服店美人画ポスター」1914

共通感覚とは何か

皆が同じ感覚を持つ

資生堂での広告の例

1872年創業 日本女性の社会進出ともかかわっている

西洋調剤薬局として発足 練り歯磨きが最初の商品 鷹のイメージ図

オイデルミン 福原新造 初代のアートディレクター アールディコ風の図柄

新聞広告が主

CIを始める。 エクイティ 一瞬も一生も美しく

美意識変遷

意匠部を立ち上げ インハウスデザイン の良さ。らしさ、美意識の継承ができる。

マニュアルなき統一。先輩から後輩へ暗黙知で伝承されていく。

新人デザイナーが文字を書くだけの研修を受ける。

ひとつの共通感覚がこれによってできる。

柱があり応用がある。

唐草模様の伝統 一人一人の唐草がある。

手で書くことが重要。

なぜ唐草か。 リッチでなければならない。

植物のもつ生命力を表す。

シンメトリーの唐草もよう。アシンメトリーの唐草 躍動感をだす。

唐草を身体の一部として使う。

日に焼けた水着モデルのポスター

1961年イラストレーション

1964 写真の枠

1968 リアルな写真を使う ハワイロケ

1972 アイメーキャップ 「ゆれる、まなざし」

商品の多様化、複雑化する、

個々の欲求に応えていく広告が多くなってきた。

共通感覚がとれなくなってきた時のデザイン

良さのうったえるという点だけにこだわれば良い結果がでるのではないか。

資生堂のフランス進出

セルジュ・ルスンタンス制作のポスター

円イコール資生堂

モデル日本人から外国人にかえる。

最近の話題

コーポレイトメッセージの制作

「一瞬も一生も美しく」

「類型的な美しさ」哲学者 アラン

美しい顔にはなにかふつうのところがある、という考えはそこから出てきたのだ。つまり、類型的な

美しい顔にはなにかふつうのところがある、という考えはそこから出てきたのだ。つまり、類型的な美しさがまずあって、その先に個性的な美しさも認識されるわけで、そのことは、単純で一般的な見取り図があるから、差異が浮かび上がり、差異和を考えことができる、という人間の認識すべてを支配する法則によく合致する。 すぐれた歌手は奇をよそおうことなく聴衆を感動させるが、それと同じで、美しい顔はつねに人間らしい形を保っているのだ。

社会と芸術第2回 芸術文化と卓越性

第2回 芸術文化と卓越性

ネスレジャパンのコーヒーの広告

「違いのわかる男」を強調した広告。

「美しさ」のトリアーデ


鑑賞者 -----------------------制作者


受容過程 創造過程


作品


芸術文化における卓越性

1.制作者の「卓越」 ------------- 創造過程で発揮される技術・技能

2.鑑賞者の「卓越性」 -------------受容過程で見られる感受性・批評性など

3.作品の「卓越性」-----------------作品そのものの優越性・超越性など


コーヒーの例

uccコーヒーアカデミーの講師との対話

コーヒーの味覚について

環境要因 土壌、日照、降雨

品種 アラビカ種、カネフォーラ種

加工工程 生豆に加工する工程

アンウォシュド

セミウォシュド

ウオッシュド

uccでの例

リスクを下げ、品質を守る。

個性を評価するコーヒー 米国の評価法

スペシャルティコーヒー

同じコーヒーでも違う味覚がある。

覚えやすい、特定香味の記憶と表現の共通化

コーヒー鑑定士に聞く

コーヒー輸入の過程

品質の高いコーヒーの確保

信頼できる原産国の供給者

コーヒーの価値がわかることが仕事

品質がわかること。

生産国の鑑定士、輸入国側の鑑定士

コーヒーの価値判断のものさし

生豆の外観

焙煎したときの煎り上がり

風味

外観 見ただけで生産国、年、

風味 焙煎したものをグラスに注ぎお湯を入れて、勢いよく口に含んで出す。

ネガテティブな味がないか評価表に記入。

コーヒー味覚の広がり

後味の継続性。産地の思いがわかる場合もある。


茶店 カフェ・バッハ 店主

基本的な考え方

・システム珈琲学

豆の選別

コーヒーのタイプ分け A〜D

卓越性を出す工夫

ドイツから始めて各国を回った。 精度を高める工夫

方向性の変更 スペシャリティコーヒーへの傾倒 個性の尊重

山谷という立地で日雇い労働者の率直な意見がありがたかった。

弟子の広がり

カフェの存在価値、立地、文化、地域への貢献できる店。

信頼される店。自分が作っていく店。


生産者の卓越性

株式会社 ミ・カフェート

栽培方法まで踏み込んだ生産。

最適収穫期間 3日間

種取り ミューシレージ(粘質)の取り方 機械でやると残るが昔ながらの実を

自然に放置するやり方だときれいにとれる。

乾燥 14日から20日の天日乾燥

脱穀 60日間休ませて脱穀

選別 ハンドピックで手選別

輸送 プラスチック袋で空輸、

保管 18度常温で保管

焙煎、入れ方に偏り過ぎた技術。

農産別であるという認識が重要

焙煎後の保管 ガス圧によるシャンパンボトル保管

農園経営と経験から

サン・セバスティアン農園(グアテマラ)

での生産方法に驚愕した。

品質重視の栽培を100年.


芸術文化の卓越性

ピエール・ブルデュー 社会学

著書「ディスタンクシオン

1.正統的趣味 バッハ平均律クラビア

2.中間的趣味

3.大衆的趣味

などの人々の示す趣味が、等級付けられた学歴水準などと対応している。

卓越の相関関係


△ ----------------- ▲


↑ 卓越 ↑卓越


□ ■

作品 鑑賞者

社会と芸術 第1回 多様性の織物としての芸術

第1回 多様性の織物としての芸術
芸術は社会的な存在である。


例1 絵画 シモール・マルティーニ「受胎告知」

シェナの町ために制作された絵。

大天使ガブリエルが持っている花は普通は白い百合を持っているが

フレンツェ象徴が百合だったので、これを持たせないで、オリーブを持たせた。

背景にはシェナとフレンツェの政治的な対決があった

宗教的な作品に濃密な政治性がある例。

例2 シモーネ・マルティーニ 「マエスタ(荘厳の聖母)」

シェナの市庁舎のノーヴェ評議会の間に飾るための制作した。

エスが持っている文章「この地を治めるものは正義を愛せ」という聖書の

一文が書かれている。 台座の文字は聖母にお願いの文が書かれている。

「・・・私利私欲に走るものがいる・・」「・・・罰を与えましょう・・」

民主主義を守る守護者としての聖母を描いた。きわめて政治的な作品。


例3 ベンヴェヌート・チェリーニ「メドゥーサの首をもつペルセウス

ギリシャ神話の一部の彫刻。フレンツェの「ロッジャ・ディ・ランツィ」に

納められた。君主制に移行したコジモ一世がおいた意味は、民主主義の国家

ではなく専制国家になったことを政治的な脅迫の意味を持った。


このように芸術作品であるが、政治的・社会的な意味を持つ存在である。

作り手も受けても意味をわかっていた。


ディドロ(哲学者)について

ルイ・ミシェル・ヴァン・ロー 「ディドロの肖像」ルーブル美術館

百科全書の作者でもあるが、美術批評家でもある。

ジャン・オノレ・フラゴナール「ティドロの肖像」(ルーブル美術館)

ジャン・アントワーヌ・ウードン

ディドロの胸像」



デイドロの哲学

関係の美学 美は関係である。

A b ------ B A親 B 子供

子供の存在で親の存在が変わり豊かになる。

存在充実の美学 複雑な存在ほど美しい。

豊かな関係をどれほど持ち得るか。

多様生になるほど、美しい。

<一における多の再現>

実在論 古典的な美学 実在の中に美がある。

享受 受け取る側が様々な要素があることを理解


ディドロ「聾唖者書簡」


「詩人の言葉の内には、その言葉の全ての音節を動かし、それらに生命を与える或る精気が、その時(最高度に詩がが詩として優れたものになった時)出現する。この精気とは何か。私は時々、その精気の現在(現に至ること)を感じたことがある。

しかし私がその精気について知っていることの全ては、その精気こそが、諸々の事物か、全く同時に一度に、(言葉で、音で)語られると共に、(視覚的イメージとして)再現される、ということを成すものである、ということであり、またその精気こそが、知性がそれらの諸々の事物を把握すると全く同時に、魂がそれらに動かされて感動し、想像力がそれらを見、耳がそれらょ聞く、ということを成すものである、ということであり、更にまた、その精気こそが、言葉がもはや単に、力強く上品に思想を表明するエネルギッシュに言葉の連なりであるだけでしなくて、その上に更に、その思想を描く、相互に積み重なったイエログリフの織物(織りなす全体)となる、ということを成すものである、といことである。」