あんこ旅の醍醐味の一つは、全国的にはあまり知られていない隠れた名店を探すこと。 今回ご紹介したいのは、川越や佐原と並んで、小江戸とも蔵の街とも呼ばれる栃木市で出会ったあんドーナツである。 巴波川(うずまがわ)沿いを何軒か訪ねてから、期待半分ほどで古くから地元客に愛されているという和菓子屋さんへと足を運んだ。 中心部からは少し離れている。 創業が明治9年(1877年)。驚きの歴史。 あまりに質素で、あまりにシンプルな、昭和の香りが色濃く残る店構え。 余分なものがない。 ガラス戸に水ようかんや麩まんじゅうなど生菓子類の品書きがレトロに張られているだけ。赤い郵便ポストが沁みる。 「御菓子司 金桝屋(…