日曜日、 母方の祖父は鶏肉が食べられなかった。 「この人のためだけに別メニューを作らないといけないのよーめんどくさわー」 と、祖父がまだ生きていた頃は笑いながら愚痴を溢していた。うちは途中からシングルマザー家庭になったこともあって、時間があれば祖父母がよく手伝いに来てくれた。 僕は祖母が作る鶏のから揚げが大好きで、 「おばあちゃんが来る=てんこ盛りの鶏のから揚げが食べられる」と脳内変換されていたことを今でも覚えている。もちろん、祖父は別メニューで、だいたいの場合でアジフライが多かった。 家族の料理を作る人にとって、個別に別のメニューを準備することほど面倒くさいものはない。母に代わって料理を作っ…