妙に記憶に残っていることがある。それは2,3か月前の話。私が一人で繁華街をうろついていた時のこと。建物の上階にあるゲームセンターにでも行こうとエスカレーターに乗り、人の流れに沿って降りようとしたその時、私の視界の端にコロコロと転がる何か小さい物がよぎった。咄嗟に目を向けてみると、それは茶色く、ツヤっとした卵型の球体だった。そう、紛うことなくチョコボールなのである。 小さい頃から何百粒食べたかわからないあの球体を私が見間違えるはずがない。そして、そのチョコボールは上りエスカレーターの吸い込まれ口の、坂になっている部分をずっと行ったり来たりコロコロしているのだ。エスカレーターに乗って我々人間と一緒…