一条真也です。たった一字に深い意味を秘めている文字は、世界でも漢字だけです。そこには、人のこころを豊かにする言霊が宿っています。その意味を知れば、さらに、こころは豊かになるでしょう。今回の「こころの一字」は、「弁」です。 西欧社会では一貫してリーダーには弁論の才能が求められました。古代ローマには、キケロとカエサルという演説の名手が2人いたことで知られます。2人は文章も一流でしたが、演説も一流でした。カエサルの名言は、「賽は投げられた」「来た、見た、勝った」など後世にも伝えられているものが多いですが、知識人受けするキケロの演説とは違って、カエサルの話は誰が聴いても強烈な印象を受けたといいます。 …