本書は、18世紀ドイツの文豪ゲーテが弱冠25歳のときに著した書簡体小説であり、青年ウェルテルが婚約者のいる女性シャルロッテに恋い焦がれ、報われぬ想いの果てに自ら命を絶つまでの心の軌跡を、友人への手紙という形式で描き出した作品である。刊行当時、ヨーロッパ中の若者たちを熱狂させ、主人公を模倣した服装や自殺までもが社会現象になったと伝えられるほど、時代の空気を鋭く捉えた小説であった。 本書を最初に手に取ったのは高校生の時であった。世の中の不条理に耐性がない時期に読んだことに意味があったと思う。理屈では割り切れない感情に振り回され、それでも真正面から傷つき続けるウェルテルの姿は、若さゆえの潔癖さや世界…