ヘリオトロープ

(動植物)
へりおとろーぷ

シソ目ムラサキ科の多年草。別名「コウスイソウ」、「ニオイムラサキ」。
ハーブとして、また香水の原料として用いられる。

 女は紙包みを懐へ入れた。その手を吾妻コートから出した時、白いハンケチを持っていた。鼻のところへあてて、三四郎を見ている。ハンケチをかぐ様子でもある。やがて、その手を不意に延ばした。ハンケチが三四郎の顔の前へ来た。鋭い香がぷんとする。
「ヘリオトロープ」と女が静かに言った。三四郎は思わず顔をあとへ引いた。ヘリオトロープの罎。四丁目の夕暮。迷羊(ストレイ・シープ)。迷羊(ストレイ・シープ)。空には高い日が明らかにかかる。


 夏目漱石 『三四郎』 一二

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