訓読 >>> 4293あしひきの山行きしかば山人(やまびと)の我れに得(え)しめし山づとぞこれ 4294あしひきの山に行きけむ山人(やまびと)の心も知らず山人や誰(たれ) 要旨 >>> 〈4293〉人里離れた山を歩いていたら、その山に住む山人が私にくれた山のお土産なのです、これは。 〈4294〉わざわざ、人里離れた山まで行かれたという山人のお気持ちもはかりかねます。お会いになった山人とは、いったい誰のことなのでしょう。 鑑賞 >>> 4293は、元正太上天皇が山村に行幸した時、上皇がお供の親王や臣下たちに「この歌に返歌を作って奏上しなさい」と仰せられながら詠んだ御歌。「あしひきの」は「山」の枕…