訓読 >>> はだすすき尾花(をばな)逆葺(さかふ)き黒木もち造れる室(むろ)は万代(よろづよ)までに 要旨 >>> はだすすきや尾花を逆さにして屋根を葺き、黒木で造った新室(にいむろ)は、万代の後まで栄えることであろう。 鑑賞 >>> 左注に「聞くところによると、太上天皇(元正(げんしょう)天皇:太上天皇は上皇のこと)が左大臣長屋王の佐保の邸宅におでましになり、宴を催されたときの御歌だという」とあります。「はだすすき」はまだ穂が出ていない薄(すすき)のことで、「尾花」の枕詞。「尾花」は、穂を出した薄。「逆葺き」とあるのは、ふつう薄で屋根を葺くには根に近いほうを下に向けるのを、反対に穂のほうを…