抗がん剤に関して注目すべき動きがあったため、まず抗がん剤の歴史から整理してみたいと思います。 ヘンリエッタ・ラックスと「不死の細胞」 1950年代、アメリカでは黒人に対する人種差別が根強く残っていました。アメリカのメリーランド州で唯一、黒人貧困層の患者を受け入れていた病院がジョンズ・ホプキンス大学病院です。 1951年2月8日、ヘンリエッタ・ラックスという31歳の黒人女性がこの病院を訪れました。医師は彼女の子宮から腫瘍を発見し、検査のためにサンプルを採取しました。その腫瘍は悪性腫瘍と判明し、彼女は子宮頸がんと診断され、わずか3か月後に亡くなりました。 しかし、このとき採取されたがん細胞に異変が…