前回の「公理的確率論の概念まとめ 1. 確率空間と確率変数」に引き続き,今回は分布,期待値,分散について述べる.前提知識としては微積分,集合論,統計学の基本的な知識があればよい. 目次 1. 分布 2. 期待値,分散 3. まとめ 4. 参考文献 を確率空間とする. 1. 分布 コイン投げにおいて,表が出たら1ドルもらえ,裏が出たら1ドル支払うという状況を再び考える.ただし,確率空間として, , を考え,利益を表す確率変数 を, と定めていた.すると,が値をとる確率はであり,, 以外の値をとる確率はと求まる. このように,確率変数がどの値を取りやすいかというのは,確率変数と確率測度から定まる.…