東風吹かば匂ひ おこせよ梅の花 あるじなしとて 春を忘るな 菅原道真 (拾遺和歌集 雑春 1006) 東風吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ (大鏡) 菅原道真と飛梅伝説 「飛梅伝説」とは、「梅の木が都より飛来し、その地に根づいた」とする物語で、その代表例として、福岡県の太宰府天満宮にある「飛梅」が広く知られています。 太宰府に左遷され、九州へと旅立つ折、道真は屋敷の梅を仰ぎ見て、一首を詠じました。 「東風(こち)」とは春風のこと。この風に乗せて、梅の香を太宰府へと届けてほしい——そう願い詠んだ一首です。 梅の木は道真を慕い、一夜のうちに都より太宰府へ飛来したと伝えられます。この…