正徳3年10月19日。この夜、秋元但馬守を上使として大隅守様(徳川継友)へ家督相続の内意がある。このためこの夜より市買へ入られる。この夜、大隅守様衆は残らず御目見仰せ付けられる。酒宴は数刻にも及び、その上公の衆・近衆まで代わる代わる呼び寄せ、酒を下される。壱岐守(竹腰正武)・駿河守(大道寺直秀)も呼び寄せられ、酒を下される。2人が興ざめし、退かれた後で山寺善左衛門を呼んでこう言われた。愁嘆の時にこのように酒や宴はいかがなものか、その上また先ほど我らに下された酒はどういうわけなのか。瑞祥院様(徳川吉通正室)がこれを聞かれて疑われたらどうするのか。先ほど善左衛門様は使いに行かれていなかったが、今後…