三春町図書館閲覧席 あまり人前で話したい話柄ではないのであったが、いわゆるルーツ探しというのをしていた頃に、私は現在の私の研究対象である鬼生田貞雄を、知ったのである。 およそ役所以外になにもない田舎町までディーゼル車を走らせ、出向いて行って、戸籍謄本を明治時代まで遡れるまで遡って取り、蛇だらけのあぜ道を歩いては、メモを取ろうとした木陰では見たこともない蜂の大群に襲来をされながら、先祖を代々、遡った。 三春町にある金剛力士像や、白馬像といったものを手がけた伊東光雲なる大工が、私の先祖に当たることを、そうして知っていき、その作業のひと段落ついたころに、三春町の図書館の郷土資料の棚を、ソファに腰掛け…