仏間に掲げられている、6人のご先祖様の遺影。見守られているというより、どこか厳しい眼差しに感じている。 縁あってこの家に嫁いだ私が、いま、この家を守っている。そして日々の私の行いを、あの方たちはどう見ているのだろうか。他人の視線は気にならない私でも、彼らの目だけは気になる。──なぜだろう。きっと、それは夫を早くに見送ったからだと思う。言葉にはできないが、どこか複雑な感覚が、私の中にずっと残っている。 初代は、東京で材木を扱う「御用商人」をしていたという。普段は、仕事を手伝う妾と暮らし、時折、富士山と海が一望できる本宅へ帰るという暮らしぶりだった。58歳で急逝し、永代経として多額の供養料を納め、…