「本当は、もっと泣きたかったんだよな」 そんなふうに思ったのは、いつぶりだろう。 心がぐしゃぐしゃに潰れそうで、 言葉にならないモヤモヤが喉元まで上がってきて、 誰かにただ「つらいね」って言ってもらえたら、 その瞬間に涙が出たかもしれない。 でも、どこにもそんな場所はなかった。 家に帰れば、「疲れた顔してるよ?」って言われるけど、こっちの気持ちまでは、誰も掘り下げてこない。 職場や学校では、「大丈夫?」って軽く聞かれるけど、本当に話そうとした瞬間に、場の空気が凍るのがわかる。 だから、「うん、大丈夫だよ」って返すのが、癖になった。 本音を出して泣いていい相手が、どこにもいない。 どこにも泣ける…