封切り三日目。 席数114の【SCREEN5】の入りは三割ほど。 『片岡鶴太郎』はべらんめぇな父親役が、『秋吉久美子』はきっぷの良い母親役がそれぞれ似合っていた。 そんな両親が、十二歳の頃に死に別れたままの姿で懐かしい浅草の地で暮らしている。 今朝分かれたばかりのような気軽さで「よう!」と声を掛けられてから主人公は足げく二人のもとに通うことに。まるで失われた少年時代を取り戻すかのように。 そこでは離婚した妻子のことも忘れ、昔に戻ったように素直になれた。 しかし日が経つうちに、彼のカラダは衰弱しだし、母親は「やっぱりねぇ。もう死んだ人間と一緒に居るのは不自然なんだよ」と言い、別れの日が訪れる。 …