有名ホテルとブランド提携したスープ缶詰の詰合せをご恵贈くださったのは、義叔母だ。むろん私の暮しにあっては不相応と申せるくらいの高級品で、到来物ででもなければ、私の口に入るはずもない品物だ。年に一度のぜいたくをさせていただける。 叔父が今年他界した。母の末の弟だ。ご一家への年賀状はご遠慮することとなる。系図を描いてみると、父方母方含めて目上の親戚はもはや義叔母ただ一人となってしまった。どうかいつまでも、お元気でいてほしいものだ。 叔父は原子物理学者だった。義叔母とも研究者同士として知合ったはずで、つまりは学者ご夫妻だ。日本の学会と寸法が合わなかったのか、新婚夫婦として渡米してから、アメリカ国内の…