「幸せって、なんだと思いますか?」 これは、私が介護士として働く老人ホームで、ある入居者様からふと投げかけられた言葉です。 その方は、90歳を超えてなお穏やかに毎日を過ごしておられ、誰に対しても優しく、職員の私たちにとっては「人生の先生」のような存在でもありました。 「今の若い人たちは忙しそうだね。昔はな、もっといろんなことがゆっくりで、それでも楽しかったんだよ」 その方の目は、まるで遠くにある風景を見ているかのように柔らかくて、懐かしさと愛おしさが入り混じった表情でした。 私たちは今、「幸せ」という言葉をどこか遠くに感じながら生きているのかもしれません。 SNSで誰かの華やかな生活を見てはた…