摂津の国境《くにざかい》までは船で、 それからは馬に乗って乳母は明石へ着いた。 入道は非常に喜んでこの一行を受け取った。 感激して京のほうを拝んだほどである。 そしていよいよ姫君は尊いものに思われた。 おそろしいほどたいせつなものに思われた。 乳母が小さい姫君の美しい顔を見て、 聡明《そうめい》な源氏が将来を思って 大事にするのであると言ったことは もっともなことであると思った。 来る途中で心細いように、 恐ろしいように思った旅の苦痛なども これによって忘れてしまうことができた。 非常にかわいく思って乳母は幼い姫君を扱った。 🌸🎼優しい呼吸で(Breath,tenderly) 蒲鉾さちこ🌸 少…