🌺【源氏物語619 第20帖 朝顔1】朝顔の斎院は、父君の桃園式部卿の宮の喪のために職をお辞しになり、叔母の女五の宮と同居しておいでになる。宮のお見舞いに託して源氏は訪問しに行った。 〜斎院は父宮の喪のために職をお辞しになった。 源氏は例のように古い恋も忘れることのできぬ癖で、 始終手紙を送っているのであったが、 斎院御在職時代に迷惑をされた噂の相手である人に、 女王は打ち解けた返事をお書きになることもなかった。 九月になって旧邸の桃園の宮へお移りになったのを聞いて、 そこには御叔母の女五《にょご》の宮が 同居しておいでになったから、 そのお見舞いに託して源氏は訪問して行った。 故院がこの御同…