あの社長が──突然の知らせだった。従業員にも知らされず、荼毘に付されたと聞いた。 良い意味で“Aggressive”。そんな言葉がぴったりな女性社長だった。何かあると、まるで嵐のように突然やってきて、立て板に水のごとく話し、慌ただしく去っていった。 60歳から始めた水墨画。毎年干支の絵を描いて届けてくれた。絵心のある夫はいつもそれを見ながら批評し、年々腕を上げていく彼女を「すごいな」と感心していた。最後のお別れは叶わなかったけれど──それもまた、彼女らしい気がしている。 共に全盛期を過ごした“人”や“会社”が、次第に終焉を迎えていく。後継に託し、事業を承継する者もいれば、廃業という道を選ぶ者も…