腕時計には思い出がある。高校生の時にデザインに憧れて親にねだったセイコーのデジタル。勤務二十五年の会社からの記念贈答品であるセイコー。死んだ叔父の葬儀返礼品のシチズン。ヨーロッパでの七年間の勤務を終え帰国の際に記念にとパリのラファイエットへ。そこで買った憧れのスイス時計は自動巻のティソ。出張帰りの香港で三度迷って買ったスケルトンの自動巻セイコー。父親の遺品のシチズン。海外出張用にと家内が買った世界時計機能の付いた電波時計のシチズン。そして登山用のカシオ。どれも現役で、腕に巻くとそれを手にした時の気持ちを思い出す。嬉しかったり哀しかったり。時を刻む道具だからさもありなんだろう。そんな腕時計もこれ…