1947年、東京に生まれる。ノンフィクションライター。デビュー作は自衛隊に勤めるひとびとを取材した「防人のブルース」。従来の講談的な文体を排したドライな文体が、おもに若い読者の支持を集める。とりわけユーラシア大陸を放浪した旅行記『深夜特急』は、いまでも多くのバックパッカーに影響を与え続けている。さまざまなジャンルの作品を手掛けているが、寄せ集め的なコラム集を除けば、スポーツ関係の著作が目立つ。さらに最近では、小説的な手法を取り入れようとしている。 amazon:沢木耕太郎
『殺人者たちの午後』/トニー・パーカー/沢木耕太郎 訳/飛鳥新社/2009年刊 『死刑』/森達也/角川文庫/2013年刊 一度読んだだけでは消化不良で、そのうちまた読もうと思ったものの、棚に挿したまま長いこと開かなかった本がたくさんある。たとえば『殺人者たちの午後』。原題は”Life after Life”、終身刑のことを英語では”life ”と表すらしい。死刑制度が廃止されて久しいイギリスでは殺人に対しては終身の禁固刑しか存在しない、つまりこの本は、人を殺して終身刑を下された受刑者十名へのインタビュー集。一読して処分できなかったのも、その後十年以上頁を開かなかったのも、理由は同じで、読めば何…
人の砂漠:沢木耕太郎著ののレビューです。 ☞読書ポイント 感想・あらすじ 沢木耕太郎プロフィール 合わせておすすめ ☞読書ポイント その昔、大人の世界はどんなことが起きていたのか?人々はどんな生活を営んでいたのか?たとえば、屑を集める人たちは何を見て、何を感じながら日々生きていたのか。細かく細かく焦点を当ててみると、そこには壮大な物語が待っていた。 人の砂漠 (新潮文庫) 感想・あらすじ 本書は1980年に出版された少々古い時代の話になる。と言っても44年前ということで、私が全く知らない時代でもない。自分と同じ時間をどこかで生きていた人々のこと、もちろん知らんふりしてしまうこともできるわけだし…
はい。 まったく、週末に晴れません。 何も撮れていません。サルベージをしてなんとかつないでおきたい。 Regret PENTAX K-3 MarkⅢ レンズ HD DA10-17mm 焦点距離 10mm ISO1600 SS4.1秒 F3.5 アストロトレーサーType2 2023.01.21 高知県にて 夜明け前。星が消えようとする最後の一枚。 Regretは後悔という意味ですが、「心残り」程度の意味合いで使っています。 右側には、さそり座が、左側に見える明るい星は、夏の大三角の一角ベガですね。 1月の撮影ですが、すでに夏の星が昇ってきています。 この時間帯になると刻々と明るさが増し、設定が…
死の1週間前、父は鼻から入れられていたストマックチューブを自分で抜いてしまった。「そんなことをしちゃ、だめじゃない!」 父は静かな口調で「もういいんだよ」。ところが、以外にもストマックチューブを抜いてしまったことが幸いして、口から食事が出来るようになった。そして、驚くほどの勢いで回復していった。少なくとも、回復しているように見えた。 最後の日、朝食にカボチャの煮物を出した。父はテレビを見ながら、その大きなかたまりを箸でつまむと、まさに「パクッ」というようにひとくちで食べてしまった。 あっ、と思った。喉につかえてしまうのではないか。そして父は、それからしばらくして、ふっと死んだ。 もしかしたら、…
はまってしまった(汗) 韓流ドラマではない。 2月9日から配信がはじまった『沈黙の艦隊』。Amazonプライム会員向け独占配信のドラマである。 『沈黙の艦隊』は、かわぐちかいじ氏原作の漫画で、1988年から1996年までの間、「モーニング」で連載されていた。今から35年も前になる。当時、スケールが大きく、予想を遥かに超えたストーリーの展開に、胸躍らせながら読んでいたことを思い出す。ただ細かなストーリー展開などはもう記憶に残っておらず、最後まで読み終えていたのかという記憶も残っていない。しかし、強烈なインパクトを受けたことは強く印象に残っている。 この漫画が映画化されたのが昨年の9月。ぜひとも劇…
今年も終わりですね。早いものです。 今年も印象的な作品を10冊セレクトします。選択した中での読書順なので順位付けはしていません。 ●天路の旅人著者:沢木耕太郎https://oldstylenewtype.hatenablog.com/entry/2023/02/24/115152 ●火を熾す著者:ジャック・ロンドンhttps://oldstylenewtype.hatenablog.com/entry/2023/03/31/150323 ●キーエンス解剖-最強企業のメカニズム著者:西岡杏https://oldstylenewtype.hatenablog.com/entry/2023/04/…
仕事先の知り合いに、これを読んで感想を聞かせてくれ、と手渡された。 西川一三という男のアジア大陸での体験記である。 1943年25歳の時、 内モンゴル張家口大使館の調査員という肩書で、敵地中国にラマ(チベット)僧として潜入、チベット国(当時)で、敗戦を知ったが、そのまま旅をつづけ、1950年32歳の時、インド滞在中に日本人であることが露見し、日本に強制送還されるまでの7年間の記録である。インド以外はすべて徒歩旅行だ。 勤勉な男である。潜入時、既にモンゴル語には習熟していた。というのも蒙古ラマ僧に成り澄ましていたので、流暢に喋られなければ、命にかかわった。ラサへの道中からはチベット語の勉強を始め…
久しぶりにギーを作った。ギーは、生命の科学アーユルヴェーダで万能オイルと云われる、無塩のバターを煮詰め不純物を取り去った純粋な油。インドやネパール、スリランカなどの国で用いられ、食べたり体に塗ったりなどして使う。 以前インドでパンチャカルマという浄化療法を受けた時、食事も徹底管理され、スチームベジやキチュリというインド風お粥にかかっていたのが出会い。ギーをプラスするだけでコクが出て食感も変わり美味しくなる。 インドでは自炊することも多かったので大瓶を買い、2〜3本持ち帰っていた。それほど大好き。日本でも成城石井などで買えるけれど、お値段がねぇ なので手作りしている。 手軽に手に入るよつば乳業の…
以前、私は書く側における「方法への疲労」というものについて考えたことがあった。明確な方法意識を持って書きつづける書き手には、ある時、その方法に対する疲労感とでもいうべきものが生まれ、そこからの脱出を夢見るようになるのではないか、と。しかし、「方法への疲労」は、書く側ばかりでなく、読む側にもあることなのかもしれなかった。少なくともその時の私は、純然たる「ラピエール=コリンズ・スタイル」で書かれた『愛より気高く』を読んで、軽い疲労感のようなものを覚えてしまったのだ。それは必ずしもテーマがエイズだからというのではないように思えた。(沢木耕太郎『夢ノ町本通り』新潮社、2023) おはようございます。通…
皆さん、こんにちは。 週末に息子の初めての運動会が近所の小学校の体育館で行われました。短い距離のかけっこと、物を親子で探す競技がありまして参加してきました。子供って毎日が全力なんですよね、見習わなければと、夜は息子の成長を祝いワインを飲みすぎた夜でした。 【有名であれ無名であれ】興味深い方々へのインタビューを元にしたルポルタージュ 【有名であれ無名であれ】興味深い方々へのインタビューを元にしたルポルタージュ 作品概要 あらすじ おすすめ あわせて読みたい 著名な登山家の実話「凍」 和食器のお店~13-Tableware 沢木耕太郎ノンフィクションII 有名であれ 無名であれ 作者:沢木 耕太郎…
ポーカー・フェース (新潮文庫)作者:沢木 耕太郎新潮社Amazonいまに至るも……プライベートでたしかにいまではたくさん友だちがいるのはわかっていても、それでもぼくはときおり孤独を感じてしまう。たぶんそれはぼくが心のどこかでこの世界に対して疑いを向けてしまい、疑心暗鬼になってしまうからなのだろう。でも、だとしたらそれは理由がぼくの中のそうした猜疑心ゆえのことであって、なにもかもぼくのせいということになる。そうなのだろうか。その昔、ぼくはあの当時クラスメイトだった人たちに自分のトラウマ的な出来事について打ち明けたことがあった。するとある人がこう言った。「深いね。でも、誰だって思い出したくないこ…
私が発達障害の診断を受けたのは、2019年4月のことだった。仕事を休職してしまい、長年の自分の「謎」を解くために、以前から疑っていた自分の鍵穴に、「発達障害の診断」という秘密の鍵を挿しこんだのだった。 そこから私は発達障害支援センター「かがやき」の光岡裕之さんらにつながり、「かがやき」から京都障害者職業センターの安田泰子さんらにつながった。私は診断を受けてから初めて、発達障害に関する書物を読みはじめた。不思議な体験だった。新しく仕入れる他者に関する知識が、私の困りごとを説明していた。(横道誠『みんな水の中』医学書院、2021) こんばんは。横道誠さんの本を読みはじめてからというもの、そこに書か…
図書館で借りた本。 タイトルに惹かれて借りたけど沢木耕太郎作だった! なんか嬉しい! 内容は、子供は縛られず自由に 生きてくれるといいな!と思った。 わるいことがしたい! 作者:沢木 耕太郎 講談社 Amazon
エッセイは、筆者の個人的な経験や考えを自由な形式で綴った文章作品です。日記と異なり、人に読んでもらうことを意識して書き、読み手の心に響く物語を紡ぎます。 1. テーマを見つける 自分のしたい研究の見つけ方 どのようにテーマを決めるのか?20分で読めるシリーズ 作者:Bowing Man,MBビジネス研究班 まんがびと Amazon エッセイの出発点は、テーマ探しです。自身の経験、関心事、社会問題など、心を動かされるものを題材にしましょう。 具体的な質問を考える 何について書きたいのか、具体的な質問を投げかけてみてください。例: 「最近、自分が変わったと思う瞬間はいつだったか?」「私が大切にして…
同じ本を読んで、読むたびに感想が変わるのか?私は、変わると思います。年齢、時間、季節、そして、今の私に当てはめれば、日々の疲労感によっても変わると思います。 個人的に3月以降の繁忙期を経て、4月からも忙しい日々を送っています。 そのようななか、沢木 耕太郎さんの「旅の窓」(幻冬舎文庫)を読んでいます。私がこの本を読むのは2度目、もしかしたら3度目かもしれません。 遅い時間、仕事からの帰り道、「疲れたな~」と感じながら読んでいると、写真と短い文章でつづられる旅の思い出が、私をその時間だけ旅に連れて行ってくれます。以前読んだときには、「旅に出たとしても、ここまでいろいろなことを感じることはできない…
お知り合いになったAさんが重たい本を、(県内ではありますが) 遠いところから電車に乗って、たくさん抱えて持ってきてくださいました。 ほんとうにありがとうございます。 それで早速、まずは一般向けの本を読みました。 『天路の旅人』(沢木耕太郎、新潮社) うわぁ、もしかして私の苦手な歴史小説?おまけに分厚い, と思いきや、文がやさしくすらすら読めました。ノンフィクションです。 戦時中、戦後に密偵として 中国・内モンゴルから蒙古人ラマ僧になりすまし、 インドで逮捕され日本に送還されるまで「旅」をした 西川一三さん。これほどまでに想像を絶する「旅」をした人物がいただろうか。 あの懐かしいドーデの『最後の…
図書館活用。玉袋筋太郎の紹介やイナダシュンスケの言及で興味を持って。 猥雑でカラフルで生々しく、そこはかとなく哀しくて、とても良い。 「おわりに」「三十年後」の雰囲気の変わり方に面食らったものの、あとがきを読んで納得。 山本周五郎が浦安に住んだのは1928~1929年(26歳頃)。精神的にも経済的にも苦しい時期(「山本周五郎の浦安での生活は惨憺たるものであったらしい」)。「青べか物語」が発表されたのが1960~1961年(58歳頃)。 功成り名を遂げた山本周五郎が振り返る青春時代。沢木耕太郎曰く「青春の救済」。サウダーヂ。
おはようございます☀ 綺麗な八重桜に癒やされた今週でした🌸春ですね〜! 今週は3冊です📚 「深夜特急1 香港・マカオ」沢木耕太郎(著) いつか読んでみたいな〜と思っていたのですが、1986年に出たものということで。自分が生まれる前ということに驚きでした。 旅行記はいいですね、新鮮な内容もいいですが、自分の存在や視界、悩みごと気になりごとがちっぽけに思えてきます。 大人になったら学びは「人・本・旅」と出口治明さんが仰っていますが、「本・旅」の効力を感じた気がしました。このときの香港、マカオと、いまの世界は大きく違うだろうな。次作も楽しみです。 深夜特急1―香港・マカオ―(新潮文庫)【増補新版】 …
3月30日午後2時過ぎ、ソウルに到着。道中は沢木耕太郎の『天路の旅人』を読み進めていた。成田空港に向かう特急の窓から、空が白く煙っているのを見ていたが、ソウルは一段と白さが濃い。黄砂のひどい日らしい。まっすぐ会場に向かい、チケットもつつがなく受け取ってから、先に到着していた好きだった女の子と落ち合う。もともと彼女と知り合ったアカウントは、今ではすっかり動かしていないが、当時の相互フォロワーも彼女と一緒にいて、数年ぶりに再会したりもした。 日中は歩いていれば上着がいらないくらいに暖かったが、アイドルたちが前夜からしつこいくらいに「暖かい服装を!」とファンクラブに投稿していただけあって、会場に入っ…
沢木耕太郎の「深夜特急」のドラマを見ていたら香港に行ってみたくなったので、アマゾンでこの可愛らしい表紙の香港ガイド本を買っちゃいました。 (勿論、今のところ海外へ行ける目途はないけれども) いいんです。ひょっとしたら、いつの間にか行けるようになっているかもしれないじゃないですか? とにかく、色んなガイド本の中から「ことりっぷ co-trip 海外版 香港」を購入。 本書はとにかく写真が綺麗で見やすい。女性が好きそうなオシャレ雑貨やスイーツが有名なカフェが盛りだくさんで載っています。 もちろん、観光マップ付きですし、空港から市内への行き方や困った時のイエローページもあってとても便利です。 ちなみ…
ランキング参加中「〇〇依存症」患者のグループ ニ度目の懲役時から薬物依存症と向き合う決心をしました。一度目は理不尽極まる受刑生活の中で反省などできるはずもなく、ただただ時間が過ぎていくのを待ちました。一度目は執行猶予中の再犯というのもあり、執行猶予取消しにより前刑が追加されて長いものに…辛かった。 施設では場所的なことなのか、薬物で受刑している人は少なかった気がします。施設ではいじめや人を陥れるような行為をよく聞いたし見たりもしたし自分もいじめの対象にされたりもした。 テレビや映画でしか見たことのないフィクションの刑務所や受刑者は涙なしには語れない物語もありましたが、リアルに体験してみるとみん…
刑務所では本をよく読みましたが、今でも読書は続いています。1日のスケジュールはだいたい決まっていますが、午前中は本を読むことにしています。何か用事がないかぎりこれは続けています。起床時間は刑務所にいた頃と同じで、朝6時前には起床。最近は年のせいか5時くらいには目が覚めてしまうこともある。 朝食を食べてしばらく休んだらお掃除。これは週に二回、曜日も決めてます。終わったら読書の時間。天気が良い日は部屋が明るいので電気を消しますが、曇り空の時は電気をつけて、もちろんテレビは消して読書をします。 午前中だけ、午後になったら暇な時間があっても本を読むことはありません。読書するのもパワーがいることだと自分…
やはり沢木耕太郎の文書は、水のように体に入ってくる。 西川一三という戦中に密偵として張家口から蒙古・チベットへ、そしてインド・ネパールとわたった8年もの旅についてのノンフィクション大作が本作である。 冒頭、盛岡で美容卸しをしていた西川に会いに行くところから始まる。このパターン、最近読んだなぁと思ったら、『檀』がこのパターンの書き出しでした。 西川の密偵旅行は北京の北にある張家口からスタートする。蒙古へ入り、ゴビ砂漠を超え、ラマ僧になりチベットへ。チベットで修行をする。このあたりが一つのクライマックスだったと思います。 その後ヒマラヤを超えてインドへ。インドとチベットを行き来し、チベットの内偵(…