『警察の誕生』(菊池 良生、集英社新書、2010年)を読んだ。日本とヨーロッパの<警察>の歴史をコンパクトにまとめた本だ。 はじめに用語について説明しておくと、日本語の<警察(いわゆるポリス)>は明治以降に生まれた概念(行政組織)で、菊池氏が書いているとおり、それまでの日本で<警察>にあたるものは<奉行所>ということになるだろう。しかし、これまた菊池氏の指摘のとおり、奉行所の機能と警察の機能はかなり異なる。近代の警察は、江戸時代の奉行所が扱っていたかなり広い範囲の行政処置のなかから治安維持等に関する一部の機能だけを抜き出し、その一部の機能を強化したものといえる。 ヨーロッパでは事情はさらに複雑…