駐車場がやたらと広いコンビニ、さほど大きくない家電量販店、固くシャッターを下ろした店、営業しているのか判然としない食堂。道沿いの景色がありふれた地方の風景に変わっても、そのまま北へ進めば、やがて道は湯浅へと繋がる。 車を止めようと「まちなみの駅 湯浅」に滑り込むと、すでに数台の先客があった。平日だというのに、この町に惹かれる同志はやはりいるらしい。 車を降り、歩きはじめた瞬間、肌に触れる空気がふっと密度を増した。 鎌倉時代に伝来したとされる金山寺味噌。その製造過程で副産物として生まれたのが湯浅の醤油だ。19世紀初頭には、この狭い町に100軒近い醤油屋が軒を連ねていたとも言われる。 北町通りを中…