図書館の奥に眠っていたこの本を、これから読む人はそう多くないでしょう。何人か、せいぜい何十人かもしれません。既に絶版で、ネット検索するも古本はなかなかヒットせず。地元の図書館検索で探し、貸し出し可の1冊を見つけました。 「二人の炭焼、二人の紙漉」(米丘寅吉、桂書房、2007年)は富山県の東端、新潟と長野に接する朝日町、その山あいの集落に妻とともに生きて生涯を終えた米丘寅吉さんの回顧録です。 米丘さんは大正7(1918)年、旧富山県下新川郡南保村の蛭谷(びるだん)に生まれ、戦時中は中国、フィリピン、ベトナムなどで4年余り従軍。戦争を生き抜いて山の集落に生還、結婚しました。以来、夫婦2人で炭を焼き…