1880年生まれ、1977年没。岐阜県出身。画家。 東京美術学校(現在の東京芸術大学)を首席で卒業するも、職業的な画家にはならず、筏流しなどの職業に就く。画家として本格的に活躍し始めるのは50代になってからだが、その後も寡作であった。1967年には「来客が増えると困る」という理由で文化勲章を辞退、「現代の仙人」と呼ばれた。動植物を単純ながらも味わい深い筆致で描いた作品に特徴がある。
熊谷守一美術館の外壁に彫られてある、逞しい蟻たちのうちの二匹だ。右の一匹は恥かしながら、ウェブ上での私のアイコンたる一朴蟻である。 「文化庁からお電話。なんでも文化勲章をくださるとかで、受取るかとお訊ねだけど、出てみる?」 「いや、いらない……」 熊谷守一と夫人との、有名な会話だ。美術館は画伯ご夫妻のお住い跡地に建っている。そこ豊島区千早の地に、ご夫妻は長年住まわれた。 往来からの眼を遮るように鬱蒼と繁茂した樹木と草ぐさに護られた、平屋の日本家屋だった。晩年の画伯はほとんど外出することもなく、庭にしゃがみこんだり縁側に寝転んだりしながら、猫と戯れ、小動物や草木を観察して過した。花ばなや小鳥たち…
★熊谷守一 画壇の仙人展 札幌三越、2023年11月7日(火)-11月13日(月) (WEBサイト→) www.mitsukoshi.mistore.jp 熊谷守一(1880年-1977年)は岐阜県恵那郡(現在の中津川市)生まれ。1900年東京美術学校(現在の東京藝術大学)西洋画科に入学。1909年、文部省美術展覧会にて『蝋燭』が褒状を受けました。1967年には文化勲章を辞退し、世俗から離れて、終日自宅の庭の草花や花を眺め、97歳まで描き続けました。その姿は「画壇の仙人」「超俗の人」とも呼ばれました。 モリカズの作品は、その生活(人生)そのままに、自由で、伸びやかです。その作風は「モリカズ様式…
”仙人と呼ばれた画家「熊谷守一」”が副題の通り彼の晩年の姿を追った写真の数々。 中には『土門拳』と膝を突き合わせている場面を捉えたものや、『熊谷』が作者を撮った写真もあり。 添えられたキャプションは彼自身の言葉の抜粋も、うっすらと記憶にあるなと思ったら『沖田修一』による映画〔モリのいる場所(2018年)〕を(WOWOWではあるものの)見ていたからなのね。 会場内には写真家も来場されており、客の一人が当該映画のことを声高に話し掛けていたが、声がデカすぎて、五月蠅いことこの上なし。 会期は~~6月2日(金)まで。
熊谷守一(1880 - 1977) 積上げる、志す、完成に向けて努力する、という方向以外にも、老境の澄みかたはありうるんじゃないか。熊谷守一はさような夢を抱かせてくれる画家だ。 付知(つけち:現中津川市、近年まで恵那郡)の生家では三男坊だった。姉妹もあった。父は不在がちだった。岐阜へ出て製糸工場を営んでいたのだ。岐阜の家は旅館を買い取った広い家で、お妾さん二人とその子どもたちが暮していた。つまり異母兄弟姉妹がいく人もあった。のちに父は岐阜に市政が敷かれると、初代の市長に就任した。 岐阜の家では片方のお妾が権力を握っていて、子どもらにお母さんと呼ばせていた。幼い画伯も付知から岐阜へ呼び寄せられ、…
ことあるごとに思い出す。熊谷守一さんの作品は言葉によらない俳句であると思う。わたしは既に、熊谷守一さんについてのまとまった感想ブログを書いていたと思っていたのだが、過去記事検索してみると、まだ手付かずだった。 熊谷守一さんと高野素十さんとを並べて論ずることも、まだできない。 そこで今回は、熊谷守一さんの語録のなかから、「俳句」に通ずるところを抜き出しておこうと考えた。それは、部分のようで全体であり、一瞬のようで永遠であり、単純化のようで純粋化である。 「俳句」に通ずるとは、つまり全ての芸術に通ずるということだ。芸術とは詩であり神の姿を垣間見ることに他ならない。(神とは一神教の神という存在ではな…
谷川徹三『芸術の運命』(岩波書店、1964)より切取らせていただきました。 今では行届いた写真集がある。『別冊太陽』『芸術新潮』ほかで、写真と解説満載の特集号も出ている。 学生の分際で円空仏について知る機会は、ほとんどなかった。谷川徹三『芸術の運命』との出逢いは、熊谷守一と坂本繁二郎に近づくきっかけを得た点で巨きかったが、円空を知ったことはもっと巨きかった。元禄年間に入寂した天台の僧である。西鶴・芭蕉の時代だ。旅先で当地の材に仏像や神像を彫り、長逗留することなく次の地へと発ってゆく暮しを続けた。 鉈彫り(なたぼり)という昔から民間にあった粗彫りの技法で、あっという間に彫りあげてしまう。桜材から…
熊谷守一美術館、往来に面した外装画。 往って帰ってきただけでは散歩にもならない。それほど近所に、熊谷守一美術館がある。一九八五年開館だそうだが、私は記憶していない。気が付いたら開館していた。会社員時代、つまり我が生涯でもっとも目まぐるしかった時期に当っていて、美術界の情報に疎かったのだろう。 熊谷ご夫妻が住んでおられたお宅の跡地が、画伯没後に美術館となり、やはり画家でいらっしゃる次女の榧さんが館長となり、今日まで続いてきた。 二階は企画展示室だが、一階には熊谷守一作品の常設展示室があり、喫茶スペースもある。いつ立寄らせていただいても気持の好い、小美術館である。 悪ガキ時代は、いつもというほどで…
熊谷守一 版画展 アトリエオランジェ初掲載の ヤマダ美術さんの企画展。 今回は熊谷守一 版画展のご案内です。 2022年9月3日から9月30日まで YAMADA BIJUTSU 愛知県名古屋市中区栄3-35-18 2階 ℡052-228-2430 xn--cckkci4eve7kf8f.com 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、多くの美術館・博物館等の 臨時休館やイベントの休止、展覧会の中止や開催時期の変更、および 入館方法などが変更になっています。 状況が日々変動しているため、各施設の公式HPなどで最新の情報を ご確認ください。 ミンネ、オンラインショップ開設しました🐘#アトリエオランジ…
★熊谷守一 画壇の仙人展 札幌三越、2021年11月30日(火)ー12月6日(日) (WEBサイト→) www.mitsukoshi.mistore.jp 熊谷守一は、1880年(明治12年)岐阜県恵那郡生まれ。1900年東京藝術学校(現在の東京藝術大学)を卒業。1967年には文化勲章を受けるもこれを辞退し、それ以後も世俗から離れ、一日中自宅の庭の草花や虫を眺め、97歳まで制作をつづけた「画壇の仙人」「超俗の人」でもありました。その人生は作品と同様、まさに自由であり、のびやかであったと言えるでしょう。熊谷守一の作風は「モリカズ様式」とも呼ばれ、単純な形態と色彩によって構成され、いまもって多くの…
文化の日 熊谷守一・香月泰男展 文化の日に皆様に作品をお楽しみ頂けましたら幸いです。 熊谷先生の油彩画6作品・墨彩画1作品 香月先生の油彩画8作品・パステル画1作品 を展覧予定です。 2021年10月7日から11月7日まで 柳ケ瀬画廊 岐阜県岐阜市柳ケ瀬通3-21 ☎058-262-3481 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、多くの美術館・博物館等の 臨時休館やイベントの休止、展覧会の中止や開催時期の変更、および 入館方法などが変更になっています。 状況が日々変動しているため、各施設の公式HPなどで最新の情報を ご確認ください。 ミンネ、オンラインショップ開設しました🐘#アトリエオランジェ…
以上、TBS日曜劇場「アトムの童 第8・最終9話」(2022.12.04、12.11:大内舞子、岡本伸吾)より きょう12月2日は、山崎努(やまざき つとむ)さんの誕生日です。1936年生まれの87歳になりました。おめでとうございます。千葉県松戸市出身。松戸小学校、柏第一中学校、東京都立上野高等学校卒業。俳優座養成所第8期生。1959年4月に文学座研究員となり、その後に劇団雲に参加、木冬社を経て、現在は遊人社所属。 山崎努さんの映画最近作は、 2018.01.27『祈りの幕が下りる時』(2018:福澤克雄)、 2018.05.19『モリのいる場所』(2018:沖田修一)、 2018.08.24…
【池袋モンパルナスの誕生】 原田「絵描きたちがフランスに留学して研鑽しながら仲間意識も高めて、帰ってから1930年協会をつくる。その面々がパリで学んできたのはフォービズム。ひとつの表現主義で、ナイフを油絵に叩きつけてキャンバスに吐き出すという描き方なんですね。それを1930年協会が掲げて、フォービズムが日本中で大流行し始めるきっかけをつくりました。寺田政明さんもそこに入っていました」
⭕️ 今日の朝日新聞より。 この言葉を、芸術は芸術から生まれる、人間は人間から生まれる、と解釈しています。 ⭕️ 妙高山に雪が降り、燕温泉で5cmの積雪があったとのこと。 朝7:30の室温は15.8度。靴下着用、上着を一枚増やすなど冬の生活が始まりました。 ⭕️ Ends of Painting Art in the 1960s and 1970s オーストラリアで出版された本の表題です。 買っても読めないので買いません。が、この表題を解釈することはできます。 人間は今という1日を生きて、眠って死んで翌朝命を吹き返す存在と言えます。人間が絵画を生成させます。人間が生きていることと絵画が生成する…
10/11 絵画、とりわけ油絵を見たときに、そこにはベトベトとした(していた)かたまりが着いた、立板があるわけだが、ときにそこに広がる風景や人物を見出せたり、むしろそのかたまりが意識されたり、それとは無関係にその立板の圧迫感を感じたりする。 また、何かが感じられたとして、必ずしも望ましい形で感じ取られるわけではない。 岡崎乾二郎『抽象の力』を読んだ。最初の本論が結構面白かったが、内容は大方忘れた。抽象絵画が、思考の在り方を探るものとして、同時多発的に現れたことを、遠く西洋から離れた日本の画家を主にして、論じていた。 本論は全体の1/4程度で、残りは熊谷守一や建築家の白井晟一などを取り上げ、その…
⚫︎『空の青さを知る人よ』をU-NEXTで観た。なんとなく観たのだけど素晴らしかった。途中から、ほとんどずっと半泣きみたい感じだった。岡田麿里+長井龍雪+田中将賀の作品は、「あのはな」がどうしても受け入れ難いので避けてきたが、これは素晴らしかった。 日本のアニメの枠組みではどうしても少年少女が中心とならざるを得ず、少年少女を中心に置いて、かつ、大人の事情を描こうとすると、どうしても過去に重きを置いたノスタルジーモードに染まってしまって、ぼくにはそれが受け入れ難いのだが、この作品では、少女を中心としつつ、同時に、過去ではなくあくまで「大人の現在」に方に軸を置いて描こうとするために、時空構造に捩れ…
東京メトロ有楽町線と副都心線が乗り入れている要町駅の1~6番出入口周辺やホームの風景写真と出口案内の情報をお送りする。 要町駅は千川駅と池袋駅の間に位置する。 ※有楽町線の駅一覧はこちら ※副都心線の駅一覧はこちら 要町駅周辺はそんなに栄えていないが、池袋までは徒歩でも20分くらいで行ける距離にあるので利便性は高いと思う。 道路の交通量は多そうなので、空気の排気ガス量が少し気になるが。 ※使用カメラ:HUAWEI NOVA 5T ※記事の最終更新日: 2023年10月15日 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 要町駅の地図 路線…
本の買取強化中です。JR小倉駅北口「小倉の古本屋」古書城田 JR小倉駅北口(新幹線口)の古本屋、古書城田です。北九州市内をはじめ福岡県内&近県、本の出張買取、本の遺品整理を行なっています。大量歓迎です。査定無料、出張費無料です。どうぞご相談くださいませ。 (買取専門)093-551-3009 メール:shirota@mx71.tiki.ne.jp 古物商許可証 [第32483号/福岡県公安委員会] 全国古書籍商連盟北九州古書組合所属 店舗はJR小倉駅北口、徒歩1分の場所にございます。ファミリーマート小倉駅北口店さんのすぐ裏手となります。ご来倉の折は、どうぞお気軽にお立ち寄りくださいませ。 〒8…
展覧会『すずきしほ個展「午後3時の植物園」』を鑑賞しての備忘録SAN-AI GALLERY +contemporary artにて、2023年8月6日~12日。 植物や動物などをシンプルな線で親しみのあるイメージに変換するとともに、描面の多様な表現の差異を試みるべく、キャンヴァスや紙に描いた絵画の他、描画と刺繍によるクッション作品、モビールも併せて提示する、すずきしほの作品展。 クッション作品《お気に入りの芝生》(430mm×340mm)に見られる黄色いダイヤ型の星、五彩饅頭の断面のような虹、バランのような植物などのモティーフは、クッション作品《星の角砂糖》や《虹色の角砂糖》などとして会場に鏤…
2014年6月号掲載 毎日新聞地方部編集委員/藤原章生(当時) 作家の赤瀬川原平さん(77)の文体がここ数年ちょっと変わった。彼の持ち味は、誰もが見過ごしているような当たり前のことをとらえるときの独特な感性、日常の言葉一つとっても普通の人が気づかない受け止め方、かといって異常とまではいかない、ほどよい変(へん)さ、ほどよい偏りというか傾きで何事もとらえ、自分自身がその「変さ」によく気づいていない、つまり、わざとらしさや受けを狙ったところのない、自分の感性に正直に言葉をつづるところにある。 ここ数年の文章を読んで、「お、そぎ落とされた」と感じた。俳句や歌の世界ではないが、より言葉の核心というか、…
【雑記】TV感想23年7月分 【YOUは何しに日本へ?】2023/07/01視聴 共感が持てたのはスシローの人達ですね。 本店ではなく本社に行ってしまってもいいもの見れたとポジティブで記念撮影して。 回転寿司店だけどそれに囚われないで好きなものを気の向くままに食べるという。 私はこういう事をすると母親の逆鱗に触れて怒鳴られるという英才教育を受けたから、母亡き今からでもこういう生き方を実践して行きたいと思う所です。 でも、何か不摂生して4日も寝込んだのですから、程々がいいでしょう。 チュウニズムに夢中なYOUの話も面白かったですね。エアチュウニズムで状態したというのは単なる趣味という味方の範疇に…
1.没後40年展覧会カタログ『熊谷守一 生きるよろこび』2017年 日本経済新聞社 油彩200点、日本画8点、書7点、彫刻3点、スケッチ47点、資料類13点 art.nikkei-ps.co.jp 2.柳ケ瀬画廊創業100周年記念出版『柳ケ瀬画廊の百年 熊谷芸術と資料』2021年 求龍堂 油彩243点、日本画・オイルパステル画・鉛筆画57点、書37点 www.kyuryudo.co.jp 赤くて細い輪郭線と単一の色彩で塗りつぶされる平坦な面の組み合わせで構成される「モリカズ様式」といわれる独特な作風に収斂していくことになるのが1953年、守一73歳(数え74歳)の時で、その後24年間の制作期間…
ジョルジュ・ルオーの全絵画の目録。掲載作品数全2568点。装飾美術学校に通っていた1885年の10代の素描から、1956年85歳での油彩作品までを、時代ごとテーマごとに分けて網羅した大型本。全二冊、総ページ数670ページ。売価88000円。柳宗玄『ルオー キリスト聖画集』が売価39000円。 これら豪華な造りの本が日本で刊行されているということからも、ジョルジュ・ルオーの人気の高さがうかがえる。 ルオーの絵の何が日本の鑑賞者を惹きつけるのか、サラッと言い当てることは私には無理なのだけれど、作品の単純さと幻想性と筆触の魔術的な佇まいが、絵画の知識を必要としなくとも鑑賞可能にしているところが大きい…