一 実際は、今「書いている」とは言い難い。 画面を見て、キーを叩いている。ローマ字を入力して、変換を待っている。それは書くことではなく、タイプライティングだ。 気持ちは書いているつもりでいる。だが手が、ペンを持っていない。 二 書くと、気持ちが筆跡に出る。 自分が思っているより鮮明に出る。筆圧に出る。字の傾きに出る。ある文字だけが、妙に力んでいたりする。書き終えてから、それに気づく。 それが発見だ。そして少し、恥ずかしい。 自分の内側が、自分の知らないかたちで紙の上に残る。それを後から眺めると、なるほどこういう気分だったのか、と思う。文意とは別のところに、自分がいる。 三 パソコンはローマ字を…