脚本家。1939年生まれ。初期の鈴木清順の脚本を手がけ、にっかつロマンポルノで「花と蛇」や「生贄夫人」、さらに復活・鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」や「陽炎座」や、「セーラー服と機関銃」などの脚本を担当。
早稲田大学卒。大学時代のシナリオ研究会で大和屋竺と知り合う。日活入社後に、鈴木清順を中心とする脚本家グループ『具流八郎』を大和屋竺、木村威夫、曾根中生、岡田裕、山口清一郎、榛谷泰明とともに結成。 のち、曽根中生、神代辰巳、大和屋竺、小沼勝監督らとにっかつロマンポルノの全盛期をつくる。
封切り三日目。 席数131の【SCREEN3】の入りは五割ほど。 文士の三角関係は枚挙にいとまなし。 〔あちらにいる鬼(2022年)〕は『井上光晴』と妻、『瀬戸内寂聴』の長年の関係を映画化したもの。 『谷崎潤一郎』は、妻を『佐藤春夫』に「譲渡」する契約を結んだ「小田原事件」を起こしたことでも知られている。 このあたりは自分の記憶の範囲内。 しかし、本作で描かれている三人の関係については寡聞にして知らなかった。 『中原中也』と『小林秀雄』が昵懇だったことは仄聞していても。 『中原』が放蕩なのは周知も、『小林』もなかなかの無頼。 共に酒癖も相当に悪かったようで、それも本作で描かれた二人の仲の裏側に…
一条真也です。東京に来ています。21日は理事長を務める一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団の経営会議に参加しましたが、この日は映画の新作公開ラッシュでもありました。朝一番で日本映画「ゆきてかへらぬ」をTOHOシネマズ日比谷のスペシャルシートで観ました。11番シアターは高齢の観客で満席でしたが、映画そのものは面白かったです。 ヤフーの「解説」には、こう書かれています。「詩人・中原中也と文芸評論家・小林秀雄ら実在の男女3人の物語を描くドラマ。『雪に願うこと』などの根岸吉太郎がメガホンを取り、同監督と『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』で組んだ田中陽造が脚本を担当。才能あふれる二人の男の間で揺れ動く女…
【監督たちの想い出 (2)】 鈴木清順監督と田中陽造脚本のコンビはテレビ『恐怖劇場アンバランス』(1969)の「木乃伊の恋」、映画『ツィゴイネルワイゼン』(1980)、『陽炎座』(1981)、『夢二』(1991)などを送り出した。
【『雪の断章』について (2)】 榎戸「東宝で参考試写をしようとなって、成瀬(成瀬巳喜男)の『乱れる』(1964)を見ました。ひとつの家で禁断の恋という話です。
金持ちの家でつらい思いをしていたみなし子の少女は、あるとき優しいふたりの男性(榎木孝明、世良公則)に引き取られた。10年後、成長した彼女(斉藤由貴)は殺人事件に巻き込まれる。
【相米慎二監督の想い出 (2)】 田中陽造氏は、自身が参画していない相米作品もご覧になっている。 田中「田畑智子が子役のときに出た『お引越し』(1993)のとき、相米が「見てくれましたか!?」って元気に来て、ああ見たよって言ったら「ちゃんとカット割りしてあるでしょ。できるんですよ、おれだって!」って(笑)。 「おれって猿みたい」って言うから、ああ柱登れって言ったら、禿げてるのに柱を登り始めた。ぼくと会ってるときだけはひょうきんでしたね。
【『セーラー服と機関銃』(2)】 組員のひとり(上田敏也)に「おふくろのにおいがする」と言われた主人公(薬師丸ひろ子)は、彼を抱きしめる。 田中「星泉は意識しないけど女であり、持っていた母性がばっと出ちゃう。
女子高生(薬師丸ひろ子)が弱小暴力団の組長になって活躍する映画『セーラー服と機関銃』(1981)は、この年の配給収入1位の大ヒット作。普通の娯楽映画かと思って何気なく見ると面食らうような趣向(長回し、渡瀬恒彦と風祭ゆきの濡れ場、ライティング、大胆な省略、生と死の考察…)が『セーラー服』にはあふれていて、批評家の樋口尚文氏はヒット作にして「アートフィルム」と評する(『シネアスト 相米慎二』〈キネマ旬報社〉)。
松嶋菜々子さんはあまり出てこなくて真田(真田広之)さんは既に死んでいるから(『リング2』〈1999〉の)登場人物は背景で何が起きているのか知らない。お客さんが既に知っていることを、登場人物が探っていく。ビデオを見て死んだって言っても、登場人物は信じない(笑)。そこでなるだけ説明に手間がかからないように、中谷(中谷美紀)さんも陽一(大高力也)くんも霊感体質にして気配だけで気づいちゃう(笑)。そういう手を使って1作目(『リング』〈1998〉)の世界観を共有していく。