漱石プロジェクトに大層時間がかかって しまい、ようやく次は谷崎プロジェクト である。谷崎は細雪しか読んだことがな く主要なものを読んでみようと思う。 最初は「痴人の愛」、増村保造監督、小 沢昭一、大楠道代の1967年の映画を見て おり(小沢昭一の怪優さを覚えている) その倒錯ないしは純愛さを記憶している が、本を読むにははじめて。 ラストに、馬鹿々々しいと思う人は笑っ て下さい、と谷崎は書いている。確かに 読んでいる途中あほらしいと思いながら 読み終えて、さてと思うと、人間の滑稽 さとか西洋願望の果てとかその意図もわ かる。たんなる変態小説ではない(あた りまえなんだろうけど)。 痴人の愛 (…