有吉佐和子『非色』:色褪せない人種差別の構造と、フィクションが持つ力 有吉佐和子さんの『非色』を読みました。第二次世界大戦の占領下で日本に駐留していたアメリカ軍人と結婚した女性(戦争花嫁)・笑子を通して、当時のアメリカ社会における人種差別の構造を鋭く描いた作品です。 1964年に発表されたものとは思えないほど全く古びておらず、そして残念なことに、アメリカに限らず現在も世界中で起こっている人種差別の根深い構造を描き出した名作だと感じました。 環境が人を変える——東京とニューヨークの対比 本作を読んでまず印象に残るのは、東京編とニューヨーク編において、同じブラックのトム(夫)が「全く違う人物」とし…