🌸魔性の女の出現【源氏物語 45 第4帖 夕顔11】 「私がどんなにあなたを愛しているかしれないのに、 私を愛さないで、こんな平凡な人をつれていらっしって 愛撫《あいぶ》なさるのはあまりにひどい。恨めしい方」 と言って横にいる女に手をかけて起こそうとする。 こんな光景を見た。 苦しい襲われた気持ちになって すぐ起きると、 その時に灯《ひ》が消えた。 不気味なので、太刀《たち》を引き抜いて枕もとに置いて、 それから右近を起こした。 右近も恐ろしくてならぬというふうで近くへ出て来た。 「渡殿《わたどの》にいる宿直《とのい》の人を起こして、 蝋燭《ろうそく》をつけて来るように言うがいい」 「どうして…