煙を上げ、力強い汽笛を鳴らしながら、緑豊かな渓谷を走り抜ける蒸気機関車(SL)。そのノスタルジックな光景を、今も日常として体験できる場所が静岡県にあります。日本でいち早くSLの動態保存を始め、「きかんしゃトーマス号」の運行でも知られる、まさに「SLの聖地」、大井川鐵道株式会社です。しかし、多くのファンに愛されるこの鉄道は今、大きな試練に直面しています。第43期決算では、1.7億円もの当期純損失を計上。その背景には、2022年9月の台風15号による甚大な被災という、厳しい現実がありました。決算書に刻まれた赤字の裏にある苦闘と、それでも揺るがない同社の底力に迫ります。 20250331_43_大井…