部分積分の学問
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Analysis. アナリシス
「Foundations of Modern Analysis」は、フランス数学界の碩学、ジャン・デュドネ(Jean Dieudonne)が1960年代初めに著した一冊にして、そのタイトルが明に示す通り、また序文にも記されているように、現代解析学の基礎・基盤を読者に提示するものである。 タイトルにある"foundations"を「基本」と捉えると、解析学の「入門書」と見做されるかもしれないが、まったくそうではない。 この点を序文から引いてご紹介しておくと、まず、読者としては大学の数学科を終えた大学院生、もしくは例外的に優秀な学部専門課程の学生が想定され、彼らが研究の道へ踏み出す前に習得しておく…
解析概論の無理数論を読む(その1)の続きです.the-maya-hiker.hatenablog.com解析概論は用語や記法が独特なので,この記事では一般的(と思われる)用語や記法に書き改めることにします. 切断の定義 まずは切断の定義です.数直線をどこか1点で切断して左(小さい方)と右(大きい方)に分けるイメージですね. 定義1 有理数全部の集合を次の条件1, 2に従って空でない2つの部分集合に分けるとき,そのの対を切断といい,で表す. かつ .すなわち を全体集合として, であり である. ならば . また を切断の下組, を上組という. 切断の下組だけで定義する 切断 において と は互…
数学を勉強し直したいとずっと思っていて,代数学の本を少しずつ読み進めているのですが,解析学も少しだけ並行してやっていくことにします.解析学はだいたい実数の定義から始まると思いますが,実数を厳密に定義している解析学の本は高木貞治『定本 解析概論』(isbn:9784000052092)しか持っていません.というわけで,この本の附録I 無理数論を読んでいきます(まず実数を定義したいので1章の前に附録Iを読む).大学1〜2年の内容だと思うので,高校生でも読める内容だと思います.本の記述を全て検証し,行間は全て埋めていくつもりですが間違いも多々あると思います.この記事に間違いを見つけたら是非教えて下さ…
の不定積分を導出してみました。 の不定積分を導出した時↓と同様のやり方です。 wolfram.hatenablog.jp 結果がこちら。 ただし はベル数。 ベル数とは何でしょうか。Wikipediaには以下のように書いてあります。 n個のものを分割(もしくはグループ化)する方法の総数にあたる数である。n番目のベル数を とし、 と定義する。Eric Temple Bell にちなんで名付けられた。 ベル数は と続くそうです。 詳しくはWikipediaを参照していただければ。 さて、次は の不定積分を導出した時と同様に、微分して元の関数となるかどうか確かめるわけですが、それは気が向いたら書こう…
ここの所、つとに、反復適用が大脳皮質にしみついてとれない。今のところ、次のような反復操作に病みつきであります。 xnがどうなるのだろう? つまりは、取るに足らない操作の行く末がどうなるのだろうか? 5回の反復で出現するxの関数の表式を示す。xに関する対称式になることは予想できる。 このグラフはx>0で下図となる。x=1近辺で最小値 969581/272890 となる。 1~5までの反復関数のグラフを示す。いずれもx=1に最小値があるようだが、一般的に証明できるであろうか? このx=1における最小値のシリーズはn→∞で発散するようだ。下記の数列を追っかければいいいが、証明まではできてない。 a[…
以下の関数は、Infinite Power TowerやIterated Exponentialと呼ばれる関数です。日本語での定まった名称はありませんが、ここでは無限反復指数関数と呼ぶことにします。 一見不気味なこの関数ですが、実は の範囲で収束することが知られており、その収束値は です。ただしW(x)はランベルトのW関数( の逆関数)です。 ランベルトのW関数また、 のグラフは以下の通りです。 定積分を求めてみる この関数を収束範囲いっぱいで積分してみましょう。 つまり を求めてみましょう。 以下、 とします。の逆関数を求め、それを利用します。 は、の上に再び が乗っていると考えることが出来…
新装版 解析学概論 作者:健太郎, 矢野,繁, 石原 発売日: 2020/01/29 メディア: 単行本 工学系・高専で必須な水準。論証というより計算。 ボクは『解析概論』と勘違いしていた。 著者の「矢野」は、意訳すると「Vector Fields」だという小ネタをどこかで読んだ覚えがある。
ルベーグ積分入門(新装版) (数学選書) 作者:清三, 伊藤 発売日: 2017/04/06 メディア: 単行本 『解析概論』のルベーグ積分の章より濃い内容です。 「加法族」だとか「測度」だとか、新しい用語が並びますが、主な具体例は『解析概論』の微積分であって、その一般化だと思えば、イメージが湧くと思います。 「無限次元ベクトル空間」は、基底が可算個並んだ上の”波”をイメージすると、量子力学の『波動関数』へ類推できるでしょうか……「一様ノルム」と「有界収束定理」と連想します。 scare9696crow.hatenablog.com
定本 解析概論 作者:高木 貞治 発売日: 2010/09/16 メディア: 単行本(ソフトカバー) 言わずと知れた名著。何度増刷されたか分からない。初版→改訂版→軽装版→定本と重版出来されてきた。 『微分のことは美文でしなさい』と仰ったとかないとか。 『ε-δ論法』に慣れてくると、理学部の学生らしくなる。 『Lebesgue積分』『関数論』の入門もあるので、コストパフォーマンスがいい。 ところで、旧暦から新暦に改正されたのは1873年らしい。さすが、岩波書店。ご飯は岩並? お堅いことで……咀嚼しがいがある。
1.退官(退職)記念祝賀会 大学教授が退官(退職)する時、記念祝賀会が開催されることがあります。 地位の特殊性が反映されるためか、大学教授の退官(退職)記念祝賀会は、学術的な性質を帯びていることが少なくありません。 それでは、シンポジウムに引き続いて行われる退官(退職)記念祝賀会の費用を研究費等の大学経費から支弁することは許されるのでしょうか? 大学教授の労働契約上の地位の特殊性には常々関心を持っていたところ、近時公刊された判例集に、この問題について判示した裁判例が掲載されていました。福岡地判令3.11.19労働判例ジャーナル121-56 国立大学法人九州大学事件です。 2.国立大学法人九州大…
ラグランジュ乗数 束縛条件のもとで最適化を行うための数学(解析学)的な方法である いくつかの変数に対して、いくつかの関数の値を固定するという束縛条件のもとで、別のある1つの関数の極値を求めるという問題を考える. 各束縛条件に対して定数(未定乗数、Lagrange multiplier)を用意し、これらを係数とする線形結合を新しい関数(未定乗数も新たな変数とする)として考えることで、束縛問題を普通の極値問題として解くことができる方法 簡単に 二つの条件を,一つの式で表せて便利だよ 最大事後確率 qiita.com 最尤推定 藤井四段が勝つ確率θを実際に求めることはできないので,この確率が一番それ…
自分の目の前にパソコンがあると、つい触ってしまいたくなってしまいます。ピコです。 このブログもだらだらと続け、なんとこれが200本目の記事となっております。 開設から約一年半かかりました。 見てくれている皆さん、ありがとうございます!! 始めたころは、五人でほぼ毎日投稿をしていたこと(懐かしすぎて涙が出てきた。)を考えると、現在はかなり投稿頻度は落ちてきてしまいましたがこれからも細々と続けていきたいと考えてます。 これからもよろしくお願いします。 さて、たまにはまじめな数学の話。 この前、ぷー太郎君にお呼ばれして、ぷー太郎君発表のゼミに参加して来ました。 やってる内容は、”圏論” まーーったく…
起床後すぐに躁転した。以前は鬱と診断されたが、いまは双極性なのだと思う。基本は鬱で、調子がいい日は躁転するのだが、今日は起きてすぐ何かがおかしい。 来た。来た。来た。風が、嵐が、疾風怒濤の躁転が。昨晩未明、深酒のストライクウィッチーズからその兆候はあった。一期第五話「はやい・おっきい・やわらかい」だ。シャーロット・E・イェーガーが魔導エンジンの傾斜配分をどうこう言っているシーンが、やけに脳みそを揺さぶる。 傾斜配分とは何だろう。加速性能とは何だろう。消費エネルギーに対する0からの加速か。空気抵抗kvとして消費エネルギーの微分方程式が解けるか?そもそも微積分って何だっけ?解ける微分方程式をいくつ…
Unityのシェーダでゼロのゼロ乗は「1、あるいは未定義」だと言うことを実感した話をまとめました。 pow関数の不可解な挙動 ゼロのゼロ乗は1あるいは未定義である どうすればいいのか 参考
現在2022年4月20日6時19分である。(この投稿は、ほぼ3154文字)麻友「早いじゃない」私「今日は、5時40分に、目が覚めた。エラータ頑張ろうと思う。数学基礎概説 (共立数学講座)作者:猛, 大芝共立出版Amazonの、誤植と思われるもの」 114ページ 5行目◯ 等号公理✕ 等号定理 下から3行目◯ (Nfー26)✕ (Nfー30) 下から2行目◯ (Nfー1)✕ (Nfー3) 最下行◯ ✕ 115ページ4行目◯ (Nfー28)✕ (Nfー32)9行目◯ ✕ (XでなくA)10行目◯ ✕ (XでなくA) 11行目◯ ✕ (XでなくA)11行目◯ (Nfー28)✕ (Nfー32)14行目…
0 はじめに 2022年4月10日、私は実用数学技能検定1級、いわゆる、数検1級にチャレンジした。 www.su-gaku.net この点、受験直後の自己採点(あくまで主観)は1次試験が約65%、2次試験が約55%。 一次試験も二次試験もぎりぎり不合格しないという(試験それ自体に対して)最も無残な結果となった。 もちろん、この結果は主観的なものに過ぎず、結果はまだわからない。 しかし、数検1級にチャレンジしたことは事実であるので、試験を受けるまでの一連のことについて備忘のためにブログにメモにしておく。 合格体験談よりも不合格体験談の方が役に立つだろうから。 1 受験の動機について 最初に、数検…
現代和算数学研究アンテナが更新されました■−2022/04/11 08:58:30 ますいしいのブログ http://ameblo.jp/mathisii/2022年 静岡大学・理(数) 数学 第4問 2022年 静岡大学・理(数) 数学 第4問 おはようございます。ますいしいです 今朝も快晴 暖かく気持ちの良い朝です 今日も過ごしやすい一日です それでは、本日もまずは偉人の言葉からです 『あらゆる人間の知識の中で 純粋な解析学は,最も実質的 かつ最も論理的で,五感から 独立したただ一つの分野で あることが知られている.』 (E・ガロア,フランスの数■−2022/04/11 07:21:34 …
はじめまして。uec19bです。 今回は「やれたらやる」を本当にやると信じているピュアな後輩を裏切らないため、工学研究部のブログリレーとして電通大での3年間を振り返る記事を作りました。 ピュア(?)な後輩たち 僕が所属しているのがII類の電子情報学プログラムなので、特にII類のI科に寄った内容になりますが、新入生の進路の参考になったり、他類の人がどんなことをやってるのか覗いてみたりしてもらえれば幸いです。 前日の記事は淵野アタリさんのこちらの記事です。画面がビカビカするので、部屋を明るくしてモニターから十分に離れて見ましょう。 hutinoatari.github.io もくじ もくじ 1年次…
一通り専門科目を履修したので感想等を残す。代数学、幾何学、解析学はどうせみんな取るのでそれ以外をある程度書いた。非線型解析だけは履修していないので申し訳ない。 前期 複素関数論 関数論の続き。とは言えだいぶ難しい。正直言って内容が濃すぎてほとんど覚えていない。Riemann球面を導入して正則関数の位相的な性質に関する理解を深めたり、留数定理の応用として二つの正則関数のある領域内での零点の個数が一致することを示したり、正則関数列の収束先にどのような性質が保存されるかみたりする。あるいは特異性、つまりは極としてこういう点を持つみたいな正則でない点に関する情報、を持ついい感じの関数は存在するのか、み…
ブログ始めたい!!!! 勉強の記事が書きたい!! ついでに稼ぎたい!! 「でもさ、なにしていいのか分かんねーよ」 「あ~誰か1から全部教えてくれないかな?」 「英語の記事は無理ゲー…」←これが理解できる人は上級者。 この悩み、よくわかります。 任せてください、僕(ドジソン)が全部初めから解説します。 これでもか、というぐらい丁寧に勧めていきますので、 是非この記事でブログを始めてもらえたらな、と思います。 ★もちろん、勉強ブログでなくてもOKです(ちゃんと始め方を説明します) ✔ブログの始め方の説明は『ブログを始めてみよう!実際に始めてみる編』からになります。早速ブログを作っていくぜ!という方…
田村愛姫へ TV朝日 バラエティー 「所さんの自然海岸線物語」 ☆出発場所:東京 エビの乱獲には気をつけましょう。 ☆あゝ、痩せてきたなぁ。所ジョージさんのwikiを読んでみたら、大江健三郎さんがおられたので、あゝ、この人脈は覚えがあると思って読んでおりました。20年前のTV画面を席巻していた人物たちが、多く書かれていました。その頃私は、パン工場で、ワッフル生地を練っていたか…。ははは。そのころから人脈が動いていないのかな?とか思って、大江さんをイメージしてみた。光さんは、元気でしょうかね? まぁ、大江さんがノーベル賞を受賞したころは、マスコミと三川の対立は、物凄かったですからね…。故伊丹十三…
tl;dr アルキメデスの公理、デデキントの公理、Weierstrassの公理 など実数の連続性を基礎づける6つの方法は相互に等価で、それらに極限の定義を加えることで、普段我々が触れている 0.999…=1な世界は作られている。それらの前提をある形で否定することで、「0.999…≠1な世界」を得ることができ、例えば、無限小を値として存在させる超準解析の世界が、その一つとして体系立てられている。超準解析の世界でも、これまでの数学の多くの理論を成立させることができ、また新たな理論の開拓を可能にしている。 まず、0.999…=1 だと証明するときは基本的に に帰着させる。 これについて ε-N 論法…
技術評論社から2018年に発売。 発売した当初から僕のTLでは評判が良さそうだった。 しかし、そのときはこのタイトルから 「数学科って集合とかやるんだ〜、ド・モルガンの法則とかかな。位相?ドーナツとマグカップは一緒ですよ、みたいなやつ?」 って感じでスルーしていた。 (私はしがない工学部生だったので応用数学しかやってこなかった。) まさかそれから数年経って自らの意思で意欲的に買って読むとはゆめにも思っていなかった。 しかし、年初から幾つか数学の本を読み進めてきたおかげで、今となって"集合と位相"というテーマが近代数学から現代数学にかけてとてもインパクトをもった学問分野であることは理解したつもり…