中国の六朝時代に、桃花源記という散文を書いた人。 その散文に描かれていた場所、つまり「桃源郷」は秦末の戦火を避けるための人々が逃げ込んだ村みたいなところ。 外部からは(一応)遮断されているが、男女老少が仲良く暮らせるところとして描写され、中国や日本でよく知られている。
彼は「採菊東籬下」という句を書いた詩人としても有名である(隠遁生活の悠々自適さを歌ったもの)。
歳月不待 今回は歳月不待(さいげつふたい)です。 時は人を待ってはくれない、という言葉です。 こういう言葉は本当に聞きたくない、「知ってるよ!」と言い返したい。 この言葉は陶淵明(とうえんめい)の「雑詩」の其の一にあります。 人生はいつどうなるか判らない、今日という日は二度と来ない、思い切り楽しみ、学びましょう、というような詩です。 何それ!けっこう共感できるわ。 そうそう、時は流れて戻ってこない、とか、判ってるっちゅーの! でも、楽しく使おうね!ってつけるだけで、いい文章になるね! それは良かったです。 出典は陶淵明(とうえんめい)の「雑詩」でした。
書名 歌集 むらどり 沙羅叢書第13篇 著者 伊藤宏見 発行日 平成15年12月1日 発行所 短歌研究社 定価 本体2500円+税 むらどりののびちぢみして投げし網二た組空をかすめてゆけり 晩秋の空だが、陶淵明の「園林空しく自ら凋む」の空の景色。
ファーマータナカの今日の漢詩「歳月不待人(歳月人を待たず)」。 陶淵明いい、隠逸反俗と共に酒のイメージが欠かせない。酒を歌った中国の詩人としては、李太白と並んで双璧を成す。 昔Time is money.Time flies.Time and tide wait for no man.等を習ったと思うが、同じ意味のようで実はそれぞれ違うようだ。 「歳月不待人」も一般的には、「時間は直ぐに過ぎてしまうものだから、勉学に励め」的に使われることが多いが、よく引用されるのは「雑詩」其一十二句の最後の四句で、本当はその前の二句に注目すべき、ココ大事。 得歡當作樂 (歓を得ては当に楽しみを作すべし)斗酒聚…
「中国の詩人――その詩と生涯」(集英社)の第三巻は、東晋から南朝の宋にかけて生きた謝霊運(しゃ・れいうん)を取り上げている。 二十歳ほど先輩に陶淵明がおり、生きた時代は大きく重なっている。 lifeintateshina.hatenablog.com 個人的なことを言えば、この詩人の名は、南朝梁の昭明太子によって編纂された「文選(もんぜん)」に数多く収録されていることをあって知ってはいたが、正直なところ、その作品で特に強い印象を覚えたものは記憶にない。 その生涯に関してもまったく無知だったので、今般、期待をもって本書を繙いたのだが…… 目次に掲げられた「謝霊運文学へのあぷろうち」という項目を目…
集英社が1982年から翌年にかけて出版した「中国の詩人――その詩と生涯」は、副題が示す通り、詩そのものに焦点を当てるより、詩文を大きな拠り所としてその作者の生涯・人物像を明らかにすることに主眼を置いた選集と言えよう。 全12巻には、李白・杜甫をはじめとする唐の詩人を中心に据えてはいるものの、紀元前戦国時代に生きた楚の屈原から、唐に続く宋代の蘇東坡・陸游まで、広い時代から、特色ある人生を送った優れた文筆家を取り上げている。 そんな「中国の詩人」第2巻の主人公は陶淵明(とうえんめい、365年-427年)。 陶淵明に冠される「隠逸詩人」「田園詩人」といった修飾語は、何度か官職に就きはしたものの、職務…
私の頭に埋蔵?している中国文学や中国哲学の知識の根っこはどこにあるのか…。 自問してみると、予備校時代の漢文の先生に到達します。 東北大学教養部で教鞭を執り名誉教授になった後、仙台にある文理予備校で校長自ら漢文の授業を受け持たれていました。 毎回迫力ある授業を展開し、その内容に強く惹きつけられたことを覚えています。 そこから私は、漢文学や中国の思想に関心を持ち、様々な書籍に目を通すようになりました。 しかし、どんなにたくさんの書を読んでも、私の口から出てくる知識のルーツは、やっぱり佐川修先生にたどり着くようです。 そんなことを考えながら書棚を整理していると、30年以上前に書かれた佐川先生の文章…
あるミニシアターがこの日本を抱き合わせで公開していたので観てきた。 『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』はジャズ・ミュージシャンであり、自らを土星人と呼ぶサン・ラーの思想が映像化された作品。公開は1974年。 ミュージカルであり、SFであり、特撮であり、様々な要素がまじっているため物語の要約が難しいが、大枠は土星人であるサン・ラーがエジプトの太陽神さながらの衣装を見にまとい、地球の欲望を擬人化した人物と対決しつつも、地球上の黒人を救うべく自らの惑星への移住を提案する、という展開(だと思う)。あと大体のノリはNHKでやっていた岡本太郎作品の特撮パロディ『タローマン』を彷彿とさせる。安めの…
松居直:児童文学者 松居:言葉って目に見えないものです。活字になってるから見えるように錯覚するだけなんですが、言葉は目に見えない。 ところが 言葉を聞いていると、目に見える世界ができるわけです。昔話はそうです、昔話は冊子はなかったんです、語られただけです、でも聞いてると、桃太郎の世界が見えてくるわけですね。言葉ってのは目に見えないのに、ちゃんと見える世界を作っていくわけです。 そして、言葉が見える世界を作らなければ、子どもたちは入っていけないんです。だから、目に見えるように書くっていうのは、これは児童文学の鉄則なんですよ。しかも、人間にとって大切なものってのは大体目に見えないんですよね。幸せも…
表題の「ユートピア」とは「どこにも無い」という意味のトマス・モア(1478‐1535)の造語である.モアが描き出したこの理想国は自由と規律をかねそなえた共和国で,国民は人間の自然な姿を愛し「戦争でえられた名誉ほど不名誉なものはない」と考えている.社会思想史の第一級の古典であるだけでなく,読みものとしても十分に面白い――. 理想的な世界の展望は,これまで様々な姿をとって模索がなされてきた.哲人政治から民主主義,自由主義社会と理想社会のビジョンが意欲的な展開をみせてきたけれども,その時々において,理想社会の実現が極めて厳格に条件づけられ,そのことがしばしば有害な幻想と糾弾されることにもなってきた.…
年間行事のお花見会は、今年3月25日(土)10時からの開始を11時からに変更して桜山中央公園で開催予定にしていました。 最近の天気予報は気象観測の精度向上でまず外れることがなくなっていますが、どういう訳かこのお花見会の1週間前頃から毎日の天気予報がコロコロ変わり当日の雨を心配させるようになりました。3年間続けてコロナで中止していたことと、「支部創立30周年記念お花見会」の位置づけにもしたかったので25日の好天を願うばかりでした。3月17日には小川さんから会場近くの道路の桜並木の開花情報も写真で送られてきていました。しかし28日(火)に延期いたしますとの連絡をせざるを得ないこととなりました。28…
桃の花はいい。梅と桜の間で、存在感としては影が薄いが文字通り桃色・ピンクの花、真っ直ぐ伸びた枝にもっちり花がついて、派手さではダントツ。桃の前では梅も桜も霞んでしまう。 それが詩歌の世界になると、もっぱら梅と桜。桃の影が薄いのは、派手で目立ちすぎて、伝統的な日本的情緒の世界には馴染まないからではないか。規格外の美というか、陶淵明が空想のユートピアを桃源郷と名付けたのも、さらに桃源郷の隠語が性的な快楽のことなのも、桃の花のイメージ喚起力からきている。 庭の花桃が満開のとき、ヒヨドリが蜜を吸いにやってくる。花桃の枝にヒヨドリがとまる図を見るのは、一年を通し、この時期だけ。ちょっとした稀覯だ。 ヒヨ…
花に暮ぬ我すむ京に帰去来(かえりなん) 蕪村。桜を眺めてあっという間に日が暮れてしまった。そろそろ京の我が家に帰るとしよう。蕪村は陶淵明の詩「帰去来辞」の「帰去来」をそのまま使ってお道化てみせた。が、「帰去来辞」とはこのような詩である。「帰去来兮(かへりなんいざ) 請(こ)う交りを息(や)め以て游(ゆ)を絶たん 世と我と相違えるに 復(ま)た言(ここ)に駕(が)して焉(なに)をか求めん 親戚の情話を悦び 琴と書とを楽しみて以て憂ひを消さん 農人余(われ)に告ぐるに春の及ぶを以て将(まさ)に西疇(せいちゅう)に事有らんとすと 或は巾車(きんしゃ)に命じ 或は孤舟に棹さす 既に窈窕(ようちょう)と…
実は上海滞在中の村松梢風を訪ねてきた人物もいるのである。それは『近代出版史探索Ⅲ』545の田中貢太郎で、しかも村松は「Y子」とともに彼を迎えたことを『魔都』で書いている。 私とY子 がそんな生活を始めて四五日経つた処へ、私の親友の田中貢太郎が日本から到着した。其の日は珍しく小雨が降つてゐた。私は貢太郎が乗つて来る長崎丸を迎へに匯山碼頭へ行つた。船は定刻より少し遅れて一時頃に着いた。甲板へ出て陸を見てゐる一等船客の群れの中に背広の上へカーキー色のスプリングコートを着てペチヤンコの茶の中折帽を眼深に冠つてゐる真ん円つこい丈の低い貢太郎の姿を発見して私がハンカチを振りゝゝしてゐると、余程経つてから彼…
長野県北安曇郡池田町の山の中に咲く山桜がとても綺麗です。陸郷の山桜と呼ばれ、「桜仙峡」「夢農場」の2つの鑑賞スポットがあります。 桜仙郷 桜仙峡は、山の高台にあるお花見スポット。見事な山桜が咲き誇るこの場所は、中国・陶淵明の「桃花源記」に書かれた桃の花が咲き乱れる「桃源郷」にちなみ、「桜仙峡」と命名されました。 数千本〜1万本ともいわれる山桜は、鳥が桜の実をついばみ増えていったのだそう。 夢農場 夢農場は、桜仙峡のふもとあたりに位置します。4月には桜と菜の花が満開に、6月〜7月にはラベンダー畑が満開になります。私がいちばん好きな桜スポットです。 山桜の彩りが息をのむほど綺麗なんです。 桜の見頃…
名言の真実 小学館 Amazon 本書には出てこないが、「鳴かぬなら 殺してしまえ ほととぎす」には、加藤清正版「 鳴け聞こう わが領分の ほととぎす」もあるが、松浦静山の随筆「甲子夜話」からの引用であり、そもそも当人たちは詠んでいない。 「予の辞書に不可能の文字はない」も出てこないが、ナポレオンが副官のルマロワ将軍にあてた手紙"Ce n'est pas possible, m'écrivez-vous: cela n'est pas français.(「それは不可能です」と君は私に書いてよこした。しかし、そんなことばはフランス語にはない)"が、日本では、この「フランス語」が「予の辞書」に変…
開巻有益 今回は開巻有益(かいかんゆうえき)です。 読書と言うものは非常に有益だということです。 そりゃそうだよね、にわとりさんは漫画が好き。「開巻」はどういう意味? 書物を開くこと、又は本の初めの部分です。 この言葉は陶淵明の詩の中に「開巻有得」と言う言葉がありますが、「開巻有益(かいかんゆうえき)」は、唐の太宗の言葉です。 出典は宋の王闢之「縄水燕談録」でした。
こんにちは、日河 翔です。 昨日は朝からぼたん雪の舞う、冷え込んだ一日でした。 梅の花も次第に満開に近づいており、春の足音は日毎に大きくなっていますね。 先月を振り返ると、ツイッターでは元日に今年の抱負を書き込んでいました。 ・1分1秒を大切に使う。・『桃花幻想記』を書き上げる。・舞は初心に帰って癖を正し、地道に努力する。 こう書いておきながら、『桃花幻想記』を延期しようとしております・・・。 作品に登場する寺社の名称を、全て架空の名にするか悩み始めたため、創作の順番を入れ替えることにしたのです。 『桃花幻想記』は原題を『幻桃幽』(げんとうゆう)といい、後に『桃花幻記』に改めましたが、陶淵明の…
お正月。ことしの読書計画を練る。主題はお酒。まずは吉行淳之介編『酔っぱらい読本』全七巻という格好のアンソロジーがあり、酒にまつわる魅力的な小説やエッセイや落語や古今東西の詩がずっしりと詰まっている。最終巻の奥付は昭和五十四年十一月二十八日で、当時買い揃えたがしばらくして売り払ってしまい、昨年古書店で再度購入した。 刊行されたころわたしはいまほどお酒を愛していなかったから簡単に手放した。いまはお酒も『酔っぱらい読本』も愛おしい。お酒を口にしない人はともかく、酒と料理とは密接な関係にある。酒が料理への関心を高める。お酒の本とともに料理についての本も読むことになるだろう。できればブリア=サヴァラン『…
昨日はとにかく暖かだった。それなのにタイツをはいていたせいか、体調がおかしくなった。夕食の鶏鍋の材料を買いに行き、帰宅して仕込みをはじめ、鍋を作り終わった直後から、食欲がなくなった。眠くなりそのまま寝てしまった。理由はわからないが、とにかく食べる気がしなくなり、眠たくなっただけである。10時間以上寝て起きた今朝は、体調はよくなった。一瞬コロナかと思ったが、そんな症状は聞いた事が無い。慢性的な睡眠不足なのか? 睡眠時間は5時間から6時間なのでそれほど多くないが、かといって少なすぎるわけでもない。食欲ももどり、朝食にご飯抜きで鶏鍋を食べた。というわけで、編集後記のほうは今日になった次第である。 こ…
【今日のおすすめ絵本】(対象…中学年から大人まで) 『桃源郷ものがたり』 文・松居直 絵・蔡皋 福音館書店 (あらすじ) 昔々、中国に、晋という国があった頃のお話です。 晋の国の武陵というところに、一人の貧しい漁師が住んでいました。 漁師は、毎日川で魚を獲る仕事をして、細々と暮らしを立てていました。 ある日、漁師は夜明けに舟を出し、うんとたくさんの魚を獲ろうと、今まで行ったことのないほど川上へのぼってゆきました。 ふと気がつくと一度も来たことのない山奥にきていました。 ここは一体どこなのでしょう。 そこには普通の木は一本もなく、漁師がこれまでに見たこともない見事な桃の林が、川の両岸にどこまでも…
河出書房新社、中央公論新社、平凡社、筑摩書房、KADOKAWA、スクエニ、芳文社、新潮社、コミックアウル。新潮社の漫画やライトノベル、小説、教養などのセール。 [漫画]【スクエニ冬祭り2022→2023】 2月新刊発売記念キャンペーン 第1弾 最大50%OFF 2月27日 まで [漫画]芳文社 「大家さんは思春期!」水瀬るるう作品ほか まんがタイムコミックス新刊キャンペーン 最大60%OFF、その他 2月20日 まで [漫画]「応天の門」宝塚歌劇舞台化! 最高・最強バディフェア 50%OFF 2月16日 まで [漫画]コミックアウル 新作ピックUP 最大50%OFF 2月15日 まで ライトノ…