『新装版 わたしが・棄てた・女』遠藤周作 講談社文庫 新装版 わたしが・棄てた・女 (講談社文庫) 作者:遠藤周作 講談社 Amazon 遠藤周作の小説はたまに読んでいる。何気なく読み始めてみて、いつもの重厚な感じよりはちょっと軽いと言うと語弊があるが、日常にふっと入っている感覚で読めるものだった。それでも戦後の昭和の話ではあるが。自分はその空気感を親の世代を通じて知っているような気になっている。 ストーリー展開も重要なので、一切あらすじには触れない。 読んだ人が共感してもらえたらと思うのだが、ここに出てくる人間は本当にどこにでもいる人間で、とりわけ悪人とか善人ではない。小説ではどっちかに寄せ…