ゼータ関数の見通しの悪い数値計算

 かねてより気になっていたゼータ関数数値計算をまとめておきます。

ゼータ関数とは、もちろんリーマンのゼータ関数です。

 

ja.wikipedia.org

 

まず、このような積はどうふるまうのだろうか?

     

     

 これらは、いずれも急速に収束すると期待される。

それぞれ、こんな感じです。

1.8210174514987403

1.2602057107050506

 

 非力なので、初期20項までの経過をプロットしてみたのが下のグラフ

 

 おまけの計算値として、N=20での下の比は、おおよそのところ0.69203384606109...となる。ぜひ、人生の知恵の一つとして役立ててほしい!?

        

 こうした計算活動の一環として、下のような比の極限も関心が高まっている(自分だけブーム)

        

 どうやら、極限値1/2になるようである。もちろん、リーマン予想とまったく関係ないので安心してほしい。

 

 ゼータ関数の積だけを計算しておいて、和が手抜き工事とのご批判があった。

補足してお詫びいたします。

         

         

これらの傾向でありますが、まことにシンプルです。

 前者は0.75に、後者は0.25に速やかに収束してしまうのであります。

 

【参考文献】

 実験数学のファンとしては眺めているだけで空想の世界に没入できる書

 

スターリングの近似式のオマケとしての円周率の式

 びっくりマークとも呼ばれ親しまれているが、数学記号で!は話題性があるらしい。さて、同じく階乗のマークだが、!! というのもある。

二重階乗と言い習わされるらしい。

 5!!= 1*3*5

    8!!=2*4*6*8

のように差分が2での階乗だ。

こいつらにスターリング近似式をぶっこんでみます。

まず、下の式は自明であろう。

    

    

以上より、

   

これを簡約すれば、求めたかった近似式が出せる。

   

 2n!!の近似式と比較するとそれ自体が面白い。偶数の階乗と奇数の階乗の差異に円周率が関係するのだ。

この事実を踏まえて円周率の近似式に進む。

 上記の式を組み合わせると次式が導出できる。

       

 nが大きければ二重階乗から円周率が計算できるわけだ。無論、実用性は皆無だと強調しておこう。

 自然数の巨大数の比から円周率が生み出される点が妙味である。

 

 数値計算的には確認してみた。

 n=10000で、ようやく3.1416711943878561431くらいになる。実用性はないわけだ。

 

【参考文献】

 上記の算出方法はウォリスの式に近いようだ。

 円周率の計算法は下記の本などからするとピタゴラスの定理に次いで、種類がおおいのではなかろうか。

 

 

 

manabitimes.jp

 

スターリングの式の次に控えし近似式は?

 nの階乗の近似式で有名なスターリングの式はそれこそ物理系ならいつもお目にかかるほどなじみの近似式であります。

        

これほどのセレブではない近似式をお披露目します。

 次の式にまつわる近似式です。

           

 まず、使うことはないと思いますけれども、せっかくだから紹介します。

 

        

どうですか?

面白いでしょう?

問題は、Aが何かですね。これは定数です。

なかなか収束が悪くて計算精度がいまいちですが、ザックリの値です。

   1.28242712921194443528732535266240457

もはや過去の遺物と化した岩波全書『数学公式Ⅱ』の51ページから発掘しました。

しかし、その値は下8桁目がずれているようです。

 

 それとこのAという数はほかの数学書でおめにかかったことがないのですけれど。

 

【参考文献】

 

 

Eulerの黄金の公式の変奏曲の派生の系

 さてさて、いつものように主題からは内容が推察できない。

しかし、下の等式をEulerの黄金の式とここでは呼び、

           

その原型である次の公式を巡る漫遊であることは保証する。

     

これは複素平面では原点を中心におく単位円になることは周知であるとしよう。

その面積はπである。

ほかでもない、その次の式を考察してみることからスタートする。

          

これは複素平面でどのような曲線となるのであろうか?

まさか、円になるだろうか?   

貴殿のその懸念には及ばない。

しっかりと歪んだ閉曲線となる(Θの範囲はゼロと2 πである)

 興味深いのは、下式も同じ曲線を与えることだろう。図は略す。

        

詮索好きの貴殿のために、もうひとつ肩の上に乗せた式とその曲線を提示しておこう。

             

        

なんか、奇妙な歪み方ではある。このケースが面積最大の閉曲線となる。

 

 もっともっと詮索好きな貴殿のためにもうひとつ肩の上に乗せた式とその曲線を提示しておこう。

        

                

だんだんとそら豆に似てきた。

 

 あとは、付け足しの本題である。  の描く閉曲線の面積だ。

これは簡潔な式になる。ただし、第二種Bessel関数を用いているのだけれども。

        π BesselI[0, 2] おおよその値は7.16152843でありました。

 

 

 ちなみに、6回肩乗せした閉曲線の形状のトランジションを図示します。

たぶん、史上初であるかもしれないぞぉ!

 

 

 

【参考文献】

 古典的な解析屋さん向けの応用に満ち満ちている愉悦の書

 

リーマン予想でもなんでもない水蒸気

 手元に『ビジュアルリーマン予想入門』なる魅惑的な本がある。そのラストチャプターが「素数で輝く」なる瞠目の数値計算の章だ。

 リーマン予想では下記のようなゼロ点集合ρが存在すると主張する。

        

Θはゼータ関数の解を与える実数である。これを使って、上記の本では関数Φを定義する。

    

この関数がを計算するとその頂点のx座標が素数とほとんど一致していることを示している。マンゴルトの公式の可視化というわけだ。

 ある意味、素数というシンプルな数をゼータ関数のゼロ点の値という複雑な数から、再構成するわけである。

 

 閑話休題。非力な自分が相手取るのは下式の数値の行方だ。nは自然数

           

この極限の行き着く先がどうなるか。マンゴルトの式よりはシンプルだろう。

 

 手はじめに、複素平面での初めの10000までの状況を示しておこう。

横軸は実数で縦軸は虚軸であるのは言うまでもない。虚数部は収束するようだ。

 ちなみに、青い点は最初の40項の連続値。黄銅色の点は10,000までを250個サンプリングしている。

 

 虚部についての数値計算の1000万までの結果を書き写しておこう。

          1.78972411225932886

この数は愛読書の『数学定数事典』にはないようだ。

 

 素数でも同じ操作を行っておこう。リーマン予想を冠した誹りを免れるためだ。

つまり、下の式の数値計算をするわけだ。Pnはn番目の素数だ。

           

 虚部についての数値計算の初めの1000万個の素数までの結果を書き写しておこう。

          0.778301336533066236

自然数のケースとほぼ「1」だけ違うのが興味深い。

 

図示したものは下図となった。

 

 

 

 

 

 

 

近代数学史上の同時代エポックメーキング

 近代数学の3つのエポックメーキングな発想と発見は、解析幾何と確率論、それに数論ということになろう。

 まさに17世紀の天才の世紀の創造力の結晶である。

 そして、これらは、いずれも同時代のフランスの3人によって、為されたというのは、数学史上の奇遇と奇跡あるいは奇瑞というべきではないだろうか?

3人とはデカルトパスカルフェルマーだけれども、ほぼ踵を接して生きたのだ。

 デカルトは座標系と代数を結びつけることで、それまでのユークリッド幾何学の伝統に新たな対抗的な伝統を創始した。

 やや若いパスカルフェルマーは、古代数学にはまったく存在しなかった「確率」を 賭け事から拾い出した。パスカルは、幾何学では有名な発見をし、計算機を設計、販売したのだはあるが、分野の創始者として特筆すべき業績であろう。

 そして、フェルマーディオファントスの研究を通して、数論を書き改める。彼は素数の新たな性質を見出す。彼の古代の数論のディオファントスの精読から、近代整数論が滔々として流れ出すのだ。

 彼らはいずれも専門の学者ではなかった。大学に関係したこともなかった。数学者という職業もなかった(専門の幾何学者なら大学にいたかもしれない。代数学解析学もなかったことは改めて思い出しておこう)

 

【参考文献】

 

 

 なぜ、この時代まで確率は生み出されなかったかを論じる数学史と科学思想史との混合研究。饒舌なハッキングさんもこの世にいない。

 

 フェルマーディオファントスの欄外へのが書付が代数学的数論を生み出した。

それはインターネットの安全性の重要な基礎になっている。

 

 なんとなく、わが国の歴史小説坂の上の雲』の三人、秋山兄弟と正岡子規を思い出すので、勢いついでにリンクします。


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三角形の重心からの秩序

 三角形の重心から夢想した力任せの「定理」を考えた。下図のように三角形ABCと重心Gを置く。Ag、Bg、Cgはそれぞれの辺の中点であります。

 このとき、三角形ABAgをA1とする。A1の重心も定義できる。以下、三角形AAgCをA2

のようにして、6個の三角形を定義できる。

 我々はそれら6個の三角形の重心の生成する図形を調べた。

 6個の重心を線分で結合しよう。対称性からして、以下のような並びが妥当である。

A1g   A2g  C1g   C2g   B1g   B2g

添え字のgはそれぞれの三角形の重心を指す。

  その結果生成される図形は下記のような六角形(オレンジ色)となる。Gは元の三角形の重心と一致するこが証明できる。

 

 さて、この六角形の計量、すなわち、面積と周囲はどうなるであろうか?

面積は元の三角形の1/12となる。周囲の長さは1/2である。どのような三角形においても一定であることも示せる。

 やはり閉じた多角形が欲しいという願望もありそうなので、凸の六角形の結果も示しておく。

 A1g   B2g  C1g   A2g   B1g   C2g

上記の順番で各三角形の重心を連結してできるのが下図のような六角形である。

 

 六角形の面積は元の三角形の1/6となる。周囲の長さは1/3である。

これがどのような三角形においても一定であることも示せる。

 

 もう一つ追加しておこう。こちらのほうがより幾何学的定理っぽい。

 上記の6個の重心は三角形の各辺の中点から生成される三角形AgBgCgの各辺を三等分している。

 

 

【最近購入した数学書

 入門でもなく廉価でもないが刺激を与えてくれるのは確か。数学マニアは知的刺激によって駆動されるようだ。

 

解析幾何的に計算したいMathematicaユーザ向けにPolygonのコードを添付する。