萌え絵が好きである。あの爬虫類のような瞳で目が描かれた、フリルのたくさんついているようなきわどい衣裳を身につけさせられた、美少女キャラクターたちのことが、である。それは美術と対照にあるものであり、対照にあるものとして適切に世間一般でもあつかわれているが、いっぽうででは美術にまつわる理窟などというものも、じつに軽薄なそれではなかったか。もちろん、萌え絵の軽薄さとはことなる位相や水準でのことなのであったが、知識を身につけて美術をみる、ということが美術館がよいなどをしてオリジナルをみる機会を多くもっていると、本末顚倒の気がしてならなくなる。それは、こちらが未熟だからであるのだが、いわゆる知識が邪魔を…