「旅はいい 帰った家はもっといい」 とある盲目のひとが詠んだ川柳だそうだ。 ふむ、うまい。実際帰宅すると、しみじみ思う。 新婚時代住んでいた京都市。まさかまさか、京都という土地に、ガイジンが働くような会社があるとは微塵も思っていなかった。私にとって京都とは、修学旅行で行くところでしかなかったから。 旦那に、 「どうしてアメリカから京都のあの会社に履歴書を送ろうと思ったの?日本人の私でさえ知らない企業だったのに」 と聞くと、彼は「忘れた」と答える。はぁ? ともあれ、日本人の私でさえ全く馴染みのない京都で、住むところをさがし、あわてて引っ越しをし、家具ひとつないところから家をこしらえていった。若か…