改憲4党 主張に違い - 東京新聞(2016年7月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201607/CK2016071102000288.html
http://megalodon.jp/2016-0711-2107-00/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201607/CK2016071102000288.html

四党首の十日夜の発言では、改憲論議を急ぎたい安倍晋三首相(自民党総裁)の姿勢が目立ち、四党の主張の違いが浮き彫りになった。

(放送芸能) きょう参院選 ザ・ニュースペーパー 開票結果=新作コント - 東京新聞(2016年7月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016071002000195.html
http://megalodon.jp/2016-0711-2106-23/www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016071002000195.html

混迷する時代を背景に、政治や社会にビシッと切り込む風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」が大人気だ。毎年夏と年末の定期公演はほぼ満席。十二日に開幕する今年の公演も前売り券は完売し、稽古も大詰めだ。ただ十日投開票の参院選の結果次第ではネタやオチを大幅に書き換えなければならず、団員や演出家は選挙の行方にピリピリ。リーダー渡部又兵衛さん(66)は「そうなんです。参院選で一票を投じれば、われわれのネタ作りに間接参加できます」と笑う。(立尾良二)


.......

創設以来、グループを率いてきた渡部さんに聞く。

−人気の秘密はどこにあるのでしょうか。
社会が劇場化して、思ってもいなかったことが次々に起きている。面白いネタがありすぎる時代だ。本来はネタをどう料理するかが勝負どころだが、今は素材そのものが面白すぎる。例えば、号泣する兵庫県議なんか、それをやるだけでおかしい。ニュースの谷間がないくらい事件が続いているからではないか。

−政治家ネタが大きな特徴ですね。
一九八八年、竹下政権からずっと政治家ネタをやっているが、その時の首相が主人公になる。お客の入りで首相の人気度も分かる。森(喜朗)さんの時が最も客が少なかった。今は自民党と野党の差がつきすぎて一党独裁のようだ。

−政治風刺で心掛けていることはありますか。
与党にも野党にもくみしない。どちらにも偏らない。庶民の目線、揺れ動く庶民の気持ちを大事にしている。だから与野党のどちらからも研修会などに招かれて公演するし、安倍(首相)さんや岡田(民進党代表)さんらが定期公演に来てくれる。志位(共産党委員長)さんの前で「何でも反対」と皮肉ったら、本人から「何でも反対ではありませんよ」と感想をいただいた。政治家から「俺のまねをもっとして」と頼まれる。われわれは批判するだけではない。愛がないと批判はできない。

参院選都知事選と選挙が続きます。
十八歳選挙権も、舛添(前都知事)さんのみみっちい政治資金問題もネタにする。投票率が上がらないのは、本当のことを新聞が書かないからでは。団員たちはネタの仕込みに興味を持って新聞、テレビ、ラジオ、ネット等あらゆるメディアを利用するが、最終的に読むのは新聞。そこに自分の意見を入れてネタにする。だから、新聞は事実だけを淡々と書いてほしい。

ザ・ニュースペーパー 1988年、昭和天皇の闘病による歌舞音曲の自粛ムードで仕事のなくなった三つのグループが集結し創設。政治から芸能、スポーツニュースまで幅広く風刺する。特に歴代総理の形態模写に定評。団員の出入りがあり現在は9人。東京での定期公演のほか、地方にも年間150回ほど巡回する。文化放送吉田照美 飛べ!サルバドール」のコーナーの金曜レギュラー。

参院選 改憲勢力3分の2 「白紙委任」ではない - 東京新聞(2016年7月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016071102000189.html
http://megalodon.jp/2016-0711-2105-27/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016071102000189.html

参院選は自民、公明両党が改選過半数を確保し、改憲勢力も三分の二以上に達した。安倍政権は「信任」された形だが、有権者は「白紙委任」したわけではない。
安倍晋三首相にとっては、政権運営にいっそう自信を深める選挙結果に違いない。自民、公明両党の与党議席は、首相が勝敗ラインに設定した改選過半数の六十一議席を上回った。二〇一二年に自民党総裁に返り咲いた首相は、国政選挙に四連勝したことになる。

◆景気回復は「道半ば」
民進、共産、社民、生活の野党四党は改選一人区で候補者を一本化して臨んだが、「自民一強」を崩すには至らなかった。
自公両党に「改憲勢力」とされるおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党、無所属の「改憲派」を加えた議席は非改選を合わせて三分の二を超え、憲法改正の発議が可能な政治状況になった。戦後日本政治の分水嶺(ぶんすいれい)である。
参院選は首相が来年四月に予定されていた消費税率10%への引き上げを二年半先送りし、成長重視の経済政策「アベノミクス」の加速か後退かを最大争点に掲げた。
安倍政権発足後三年半が経過しても、景気回復が道半ばであることは政権側も認めている。
野党側は、アベノミクスが個人や企業、地域間の経済格差を拡大し、個人消費低迷の要因になったと指摘したが、有権者アベノミクスの成否の判断は時期尚早だと考えたのだろう。
野党側の批判はもっともだが、説得力があり、実現性を感じられる対案を求める有権者の胸に響かなかったことは、率直に認めざるを得ないのではないか。
一八年十二月までには必ず衆院選がある。野党は次の国政選挙に備えて党内や政党間で議論を重ね、安倍政権に代わり得る政策を練り上げる必要がある。

◆意図的に争点化回避
とはいえ、有権者は安倍政権に白紙委任状を与えたわけではないことも確認しておく必要がある。特に注視すべきは憲法改正だ。
安倍首相は憲法改正を政治目標に掲げ、一八年九月までの自民党総裁の「在任中に成し遂げたい」と公言してきた。参院選公示直前には「与党の総裁として、次の国会から憲法審査会をぜひ動かしていきたい」とも語った。
与党はすでに衆院で三分の二以上の議席を確保しており、参院選の結果を受けて首相は在任中の改正を実現するため、改憲発議に向けた議論の加速に意欲を示した。
しかし、自民党参院選公約で憲法改正に触れてはいるものの、首相は「選挙で争点とすることは必ずしも必要はない」と争点化を意図的に避け、街頭演説で改正に触れることはなかった。公明党は争点にならないとして、公約では憲法について掲げてさえいない。
改正手続きが明記されている以上、現行憲法は改正が許されない「不磨の大典」ではないが、改正しなければ国民の平穏な暮らしが著しく脅かされる恐れがあり、改正を求める声が国民から澎湃(ほうはい)と湧き上がるような状況でもない。
改正に向けた具体的な議論に直ちに入ることを、参院選有権者が認めたと考えるのは早計だ。
安倍政権内で、自民、公明両党間の憲法観の違いが鮮明になったのなら、なおさらである。
安倍政権はこれまでの国政選挙で、経済政策を争点に掲げながら選挙後には公約に明記されていなかった特定秘密保護法や、憲法違反と指摘される安全保障関連法の成立を強引に進めた経緯がある。
憲法は、国民が政治権力を律するためにある。どの部分をなぜ改正するのか、国民に事前に問い掛けることなく、参院選で「国民の信を得た」として改正に着手するような暴挙を許してはならない。
日本国憲法先の大戦への痛切な反省に基づく国際的な宣言だ。理念である国民主権や九条の平和主義、基本的人権の尊重は戦後日本の経済的繁栄と国際的信頼の礎となり、公布七十年を経て日本国民の血肉と化した。

◆改正より守る大切さ
安倍政権下での憲法をめぐる議論を通じて再確認されたのは、改正の必要性よりも、むしろ理念を守る大切さではなかったか。
参院選は終わった。しかし、有権者としての役割はこれで終わったわけではない。一人ひとりが政治の動きや政治家の言動に耳目を凝らし、間違った方向に進み出そうとしたら声を出し、次の国政選挙で審判を下す必要がある。一人ひとりの力は微力かもしれないが決して無力ではないはずだ。
私たちの新聞は引き続き、有権者にとっての判断材料を提供する役目を真摯(しんし)に果たしたい。覚醒した民意こそが、政治をより良くする原動力になると信じて。

参院選 改憲勢力3分の2 まず自民草案の破棄を - 毎日新聞(2016年7月11日)

http://mainichi.jp/articles/20160711/ddm/005/070/106000c
http://megalodon.jp/2016-0711-1010-08/mainichi.jp/articles/20160711/ddm/005/070/106000c

参院選で自民、公明両党は堅調に議席を伸ばしたのに対し、民進党など野党は総じて振るわなかった。
これで安倍晋三首相の率いる自民党は、政権に復帰した2012年衆院選、13年参院選、14年衆院選に続く、国政選挙4連勝となった。
さらに、今回の参院選は戦後政治史の転換点になる可能性がある。与党やおおさか維新の会など憲法改正に賛同する勢力が、非改選の分も合わせて3分の2に達したためだ。
すでに衆院では改憲勢力が3分の2を占めている。これにより、今後の展開次第では初めて国会が改憲案を発議する事態もあり得る。

静な議論の阻害要因
安倍首相は選挙期間中、改憲について沈黙を通した。しかし、現憲法について「占領軍の押し付け」と批判してきた首相である。改憲への執念が後退しているとは思えない。
首相はすでに秋の臨時国会から衆参の憲法審査会を動かす意向を示している。審査会では、憲法の中でどの条項を改正の対象にするかの議論に移っていくとみられる。
憲法は国民全体で共有する最重要の合意だ。したがってそのあり方を点検することに異論はない。
ただし、審査会の再開にあたっては条件がある。自民党が野党時代の12年にまとめた憲法改正草案を、まず破棄することだ。
自民党草案は、前文で日本の伝統を過度に賛美し、天皇国家元首化や、自衛隊の「国防軍」化、非常時の国家緊急権などを盛り込んでいる。さらに国民の権利を「公益及び公の秩序」の名の下に制限しようとする意図に貫かれている。明らかに近代民主主義の流れに逆行する。
野党が「安倍首相による改憲」を警戒する根本には、この草案がある。逆に自民党が草案を最終目標に掲げている限り、与野党による落ち着いた議論を阻害し続ける。政権党として冷静な憲法論議の環境を整えることが自民党の責務だろう。
衆参両院の改憲勢力が発議可能な3分の2に達したといっても、各党が重視している改正の対象条文はばらばらだ。現段階では、とても絞り込めるような状況ではない。
首相は「条文の改正を決めるのは国民投票だ」と語っている。確かに憲法の改正には国民投票過半数の賛成が必要だ。ただし、それは最後の確認と考えるべきだろう。英国のように国民投票が国民を分断するようでは、憲法が国民に根付かない。最低でも、与党と野党第1党が合意している必要がある。
今回、自民党は単独でも参院過半数をうかがう程度に勢力を回復させた。1989年参院選以降、自民は参院での過半数割れに苦しんできただけに、この意味は小さくない。公明党は従来以上に自民党に対するブレーキ役を果たす責任がある。
日本は内外ともに厳しい条件が課せられている。参院選を経て安倍政権は、近来にない強力な政治基盤を獲得した。その恵まれた力を、中長期的な改革にこそ生かすべきだ。
まず、消費増税の2年半先送りで崩壊寸前となった税と社会保障の一体改革の枠組みを、早急に立て直さなければならない。

中長期の政策に生かせ
25年には「団塊の世代」の全員が75歳以上の後期高齢者となり、社会保障に要する費用は急増する。国の財政はすでに深刻なレベルにある。安定した政権下でこそ、現実的なビジョンをまとめ、必要な負担への理解を国民に求める責任がある。
もう一つの柱は、大きく変わりつつある国際情勢への冷静な対応だ。
安倍政権は昨秋、中国の台頭に対抗するため、自衛隊の対米支援を大幅に拡大する安保関連法を強引に成立させた。しかし、前提である米国の東アジア政策そのものが大統領選の結果次第で変わる可能性がある。欧州に見られる通り、経済のグローバル化とともに各国の「自国第一主義」も強まっている。
平和主義が基軸の日本としては、10年、20年先をにらんだ骨太の外交・安全保障政策が求められる。沖縄の基地負担軽減を含めて、安倍政権の構想力が試されている。
一方、野党第1党の民進党は選挙結果を重く受け止める必要がある。
民進、共産など4野党は今回すべての1人区で候補を統一する選挙協力を進めた。ある程度の効果を発揮したとはいえ、全体として与党を脅かすまでには至らなかった。
野党は格差拡大などで争点化を図ったが、与党との差別化は成功しなかった。論戦は盛り上がりを欠き、投票率が物語るように有権者の関心が高まったとは言い難い。「熱なき選挙」で組織票に勝る与党が圧倒するパターンが繰り返された。
民進党など野党が復調するには政権を担い得る政党として信頼回復の努力が欠かせない。共産党との共闘戦略も見直しが必要だろう。
今回の参院選から「18歳選挙権」が実現し、全国の少なくない高校で模擬投票などの主権者教育が実施された。決して成果を急がず、若者たちの政治への関心を、じっくりと社会全体で育んでいきたい。

(余録) 有権者は選挙で議員や政党を選ぶだけではない… - 毎日新聞(2016年7月11日)

http://mainichi.jp/articles/20160711/ddm/001/070/193000c
http://megalodon.jp/2016-0711-2113-34/mainichi.jp/articles/20160711/ddm/001/070/193000c

有権者は選挙で議員や政党を選ぶだけではない。複数の政党が獲得議席数を競う現代の民主政治では、有権者の投票はそれら政党間の関係も選択することになる。2大政党制や1党優位、多党制といった「政党システム」がそこで選ばれる。
戦後10年を経て保守が合同した自民党と、左右統一した社会党の対立はその議席数の比率から「1と1/2政党制」といわれた。この政党システムは社会主義色の強い革新政権誕生を阻む一方で、保守政権には改憲に必要な3分の2以上の議席は与えないものだった。
保守に政権を委ねながら、戦前回帰の色を帯びる改憲は許さなかった当時の日本国民の「集合意思」である。今や保革の対立軸も過去のものとなり、その後の政権交代も経験した日本政治だ。なのにまたもや「3分の2」をめぐって緊張した政党システム選択である。
かねて改憲に意欲を見せながら、いざ発議できる議席数のかかった参院選では憲法を争点から外した安倍晋三(あべしんぞう)首相だ。投票の結果は安倍政権下の改憲を是とする勢力が3分の2を占めることになった。はて、それは首相のめざす改憲を支持する集合意思といえるのか。
すでに改憲自体を拒否する政党は少数派だった近年の日本である。そこに保革対立時代のような緊張がもたらされたのは、戦後体制からの脱却を説く首相が自民党結党当初の党是の改憲を説き、今どき人権条項に制約を加えるような党改憲案が用意されていたからだ。
連立与党の圧倒的優位は少子高齢社会の難所に臨む政権の貴重な政治的資源である。半世紀も前の政治対立をよみがえらせる逆噴射で消尽しないよう願う。

『沖縄、福島 政権ノー』『現職2閣僚敗北』東北の被災3県では『自民総崩れ』。山形ではTPP反対派が『自民新人を破る』鹿児島知事選も、原発反対の三反園さんが当選 - 東京新聞(2016年7月11日)


沖縄、福島は政権にノー 現職2閣僚が敗北

◆岩城さん「力不足」
「すべて私の力不足。ご期待に沿えず申し訳ない」。与野党の現職二人が激突した福島選挙区では、自民で法相の岩城光英さん(66)が民進増子輝彦さん(68)に敗れ、閣僚が落選した。岩城さんは、福島市内の事務所で陳謝を繰り返した。
午後十時二十分ごろ、テレビが増子さんの当選確実を報じると、事務所に集まった支持者らは静まりかえった。岩城さんは壇上で「ただただ申し訳ない気持ちでいっぱい」と目を赤くして語り、頭を下げた。
選挙戦で、東日本大震災東京電力福島第一原発事故からの復興を与党として進めてきたと強調し「私たちには復興を加速させる大きな課題がある。これからも与党主導で尽力いただきたい」と言葉を振り絞った。今後の政治活動については「全くの白紙」と述べるにとどまった。

 ◇ 
東日本大震災で大きな被害が出た岩手、宮城でも自民党候補が敗れた。震災から五年余り。復旧・復興策を含む政府、与党の取り組みに被災者らが厳しい審判を下した形だ。




◆島尻さん「痛切に残念」
「新基地を押し付けようとする安倍政権への怒りが広がった」。米軍属が起訴された女性暴行殺害事件を機に反基地感情が高まった沖縄選挙区。米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)移設に反対を掲げ、沖縄北方担当相で自民党現職の島尻安伊子(あいこ)さん(51)に圧勝した無所属新人の伊波洋一(いはよういち)さん(64)は真剣な表情で語った。
那覇市の選挙事務所で当選確実を知った伊波さんは、自身を支援する翁長雄志(おながたけし)知事とがっちり握手を交わした。
マイクを前に「辺野古断念を政府に求めていく」と力強く宣言。拍手と指笛が響く中、約百人の支持者らと沖縄伝統の手踊り「カチャーシー」を舞って、喜びを分かち合った。
伊波さんの勝利で、辺野古反対派が衆参両院の県内選挙区を独占し、容認派の自民は議席を失った。万歳の音頭を取った翁長知事も「沖縄の民意が示された。新辺野古基地は絶対に造らせない」と気勢を上げた。
一方、事務所で待機していた島尻さんは落胆した様子で唇をかみしめ、目を潤ませた。選挙戦では経済振興を中心に訴えた。約六十人の支援者を前に「お力添えに応えられなかった。痛切に残念だ」と深々と頭を下げた。
投票した有権者には沖縄が置かれた現状に複雑な思いが交錯した。うるま市の主婦幸地(こうち)明美さん(64)は女性暴行殺害事件に「いたたまれない。基地をなくしてほしい」。
一方、宜野湾市の専門学校生砂川健太さん(19)は「子どもの貧困など生活面に重点を置いてほしい」と話していた。

(筆洗) どっちの店も問題だが、一番の問題は客かも。 - 東京新聞(2016年7月11日)


この町には二軒の料理店がある。大きい方の店「J」の経営は風変わりで、できる料理はカレーライスとハンバーグのみ。どちらも大した味ではない。見るのも嫌という人もいる▼試しに住民に聞いてみた。アベノなんとかというカレーライスを六割の人がまずいといい、改憲ハンバーグは五割がひどいと答えた。二つのメニューのいずれも人気がない。それでも、町のレストラン選挙ではいつも、もう一店の「M」を引き離し、勝ってしまう▼おかしい。あの店においしい料理はないのに。結果を疑った「M」の店主は探偵に調査を依頼した。探偵は選挙後、町の住民に聞いて歩いた。「あのカレー? ひどいね」「あのハンバーグは絶対許せない」。悪評しか聞こえてこない▼やはり不正投票の可能性がある。探偵は事実を知らせようと「M」に飛び込んだ。「やはり不正…」と言いかけてやめた。この店の様子もおかしい▼メニューを見た。「あの店のカレーはまずい」「ハンバーグは絶対阻止」と書いてある。「おいしい料理を作りたい」「こうやっておいしくします」と決意やアイデアもある。しかし、今すぐ提供できる料理がメニューのどこにも見当たらない▼探偵は店を出た。向かいに「J」が見えた。おなかをすかせた客がカレーを食べている。喜んで食べている人もいる。疑いながら、泣きながらの客もいる。

(本音のコラム 宮子あずざ氏)政権交代 諦めずに - 東京新聞(2016年7月11日)


関連サイト)
"やっぱり自民党"の背後の"変われない日本"(茂木健一郎さん) - BLOGOS(2016年7月8日)
http://blogos.com/outline/182535/

政権交代」は、民主主義における「呼吸」のようなもので、政権交代がない民主主義は、呼吸を止めてしまっている。その意味では、日本は、戦後長い間、政治的には呼吸を止めてしまっていたのだと思う。

投票による民主主義が機能している国では、定期的に政権交代が起こる。なぜ、国民の意見がそのように割れるのかは、興味深い問題であるが、異なる意見の人がほぼ半々存在することが、社会の変化のダイナミズムにつながるのであろう。

同じ政治家さんたちが、交代して、与党の立場と、野党の立場を経験することで、違った風景が見える。政治家としての資質が向上する。それが、与党、あるいは野党という一つの立場ばかりにいると、だんだん政治的眼力が腐ってくる。

だから、ぼくは、常に、政権交代の可能性が最大になるように投票したいと思っている。特に、日本のようによどみやすい国では。政権交代自体に価値があり、それ以上の実現価値は存在しないとも思っている。今回の参議院選政権選択選挙ではないが、同じような考え方で投票する。

先日、ある場所で話していて、外国経験も長い方がいらした。みんなで、国際情勢や、文化の違い、その他のことを語り合っているうちに、その、外国が長い方が、「でも、やっぱり、自民党しかないんですよね」と言われた。ぼくは、その言葉のニュアンスに驚くとともに、内心ひどく落胆した。

自民党にはすぐれた側面があり、優秀な人材もたくさんいる。一方、今報道されている自民党憲法改正案は「トンデモ」だろう。要するに是々非々なのであって、「やっぱり、自民党しかない」という思考停止は、何ももたらさないと思う。しかし、そのような人が日本にはどうも多い。

安倍さんの政権運営の特徴は、日本の社会を変える構造改革規制緩和の動きがにぶいことだろう。だから、真の経済成長もしない。これは一つの矛盾だ。「やっぱり、自民党しかない」という意見が、変わらない日本、変われない日本を象徴しているように感じた。単に選挙結果だけのことではない。

「やっぱり、自民党しかない」という意見を聞いて、ぼくは、「ああ、ここに、新卒一括採用や、記者クラブや、偏差値入試を支える、変わらない、変われない日本のメンタリティがあるんだ」と思った。ぼくは、自民党というよりも、おそらくそんな日本に対してこそ違和感を持っている。

自民、単独過半数は届かず 改憲勢力が3分の2に【参院選2016】- jcast_news(2016年7月11日)

http://www.j-cast.com/2016/07/11272118.html

2016年7月10日に投開票された第24回参院選は、11日朝までにすべての議席が決まった。自民党追加公認を含めて56議席を獲得したが、27年ぶりの非改選議席を合わせた参院単独過半数には届かなかった。
一方、改選121議席のうち、自民・公明の与党に加えて改憲に前向きだとされる「おおさか維新の会」「日本のこころを大切にする党」を合わせたいわゆる「改憲4党」が、追加公認を含めて77議席を獲得し、各メディアは、非改選議席を含めて参院憲法改正の発議に必要な3分の2に至った、と報じている。
民進、改選47議席を32に、社民は吉田党首落選
憲法改正の進め方について安倍晋三首相は10日夜、テレビ各社とのインタビューで「どの条文をどういう風に変えていくかが大事」などと述べ、衆参両院の憲法審査会を通じて改正する具体的な条文について議論を進める考えを示した。
公明党は14議席を得た。安倍首相が勝敗ラインとして掲げていた「与党改選過半数」を悠々とクリアした。民進党は32議席にとどまり、改選議席の47議席から大きく減らした。おおさか維新は7、共産党は6議席を得た。社民党は比例で1議席を得たが、吉田忠智党首が落選した。 また、野党4党が統一候補を立てた32の1人区では。自民党が21勝、野党が11勝だった。

鹿児島知事に三反園氏 「原発いったん停止し再検査を」- 朝日新聞(2016年7月10日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ7B63QTJ7BTLTB00K.html
http://megalodon.jp/2016-0710-2125-24/www.asahi.com/articles/ASJ7B63QTJ7BTLTB00K.html

鹿児島県知事選は10日投開票され、無所属新顔で元テレビ朝日コメンテーターの三反園訓氏(58)が無所属現職の伊藤祐一郎氏(68)を破り、初当選を確実にした。三反園氏は伊藤氏の4選阻止を訴え、民進、社民両党県組織や保守系地方議員の一部の支援を得て草の根の選挙戦を展開した。
選挙事務所の内外に集まった支持者約200人の前に、三反園氏は午後8時24分に姿を見せた。「私は原発のない社会をつくろうと一貫して訴えている。熊本地震を受け、原発をいったん停止して再検査し、活断層の調査をすべきだ」と発言。安全性に問題が見つかった場合の対応を報道陣に尋ねられ、「安全性が確保されない原発は動かすわけにはいかない」と述べた。
鹿児島県で過去に4選した知事はおらず、伊藤氏の4選の是非が焦点の一つとなった。三反園氏は多選を批判するとともに、熊本地震の発生で九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の安全性に不安が広がると、反原発グループとも連携。「川内原発を停止し、点検するよう九電に申し入れる」との公約を掲げ、支持を広げた。一方で、選挙戦では反原発の主張を強調せず、保守層にも気を配った。
伊藤氏は自民、公明両党の支援を得て組織戦を展開したが、及ばなかった。

公約撤回に県民反発 落選の島尻担当相、伊波氏は県政与党の支援奏功 参院選沖縄選挙区 - 琉球新報(2016年7月11日)

http://ryukyushimpo.jp/news/entry-314478.html
http://megalodon.jp/2016-0711-0926-54/ryukyushimpo.jp/news/entry-314478.html

参院選沖縄選挙区での伊波洋一氏の初当選は、翁長雄志知事を支える「オール沖縄」を旗印に県政与党などが手厚い支援態勢を敷いたことに加え、自民現職の島尻安伊子氏が米軍普天間飛行場の県外移設を求める公約を覆したことに対する県民の反発が大きかったことが最大の要因だ。島尻氏と安倍政権に対する批判票の受け皿として伊波氏に票が集まった。
伊波氏は社民、共産、社大、生活の4党と県議会会派のおきなわ、那覇市議会会派の新風会、金秀グループ、かりゆしと組織協定を結び、労組や民進党県連の支援も受けた。翁長知事が誕生した県知事選のような一枚岩の選挙態勢を築いたことが功を奏した。
6月の県議選で27議席を獲得した県政与党の県議らとセット戦術を施し、全県で約30の支部を開設。県議選の勢いを保ったまま県議らが持つ支持基盤を強固にした。序盤は各支部で動きにばらつきがあったが、現職大臣との戦いを意識し危機感を持って取り組んだことで市町村議や市民グループも積極的に参加。終盤は全県で豊富な運動量を見せた。大票田の那覇だけでなく、他地域でも革新票を手堅くまとめ南部の保守地盤の切り崩しにも成功した。
13年前の宜野湾市長時代から一貫して主張してきた米軍普天間飛行場の閉鎖・撤去を公約に掲げ、「ぶれない政治」を前面に訴えたことも、無党派層の判断材料の一つになった。
一方、島尻氏は、普天間に関する公約撤回だけでなく、名護市辺野古移設に反対する市民らの抗議行動について「違法な妨害活動を阻止しなければならない。発生したら対処では遅い」(14年2月)と事前拘禁を認めるかのような発言などで物議を醸してきた。昨年10月に大臣に就任し、閣僚として辺野古移設を進める立場になったことで、より反発が増したとみられる。
選挙戦では菅義偉官房長官山本一太元沖縄担当相らが沖縄入りしたが、効果は一定程度にとどまった。米軍属女性暴行殺人事件など一向に減らない米軍関係事件・事故に対し、基地を容認する自民への批判も影響した。公明の比例候補者とのセット戦術、おおさか維新の会県総支部などの支援も奏功しなかった。
保守系首長の支援を受けた南部の保守地盤でも島尻氏は苦戦し、誤算も生じた。また中部のある総決起大会では思うように支持者が集まらなかった。大票田の那覇では企業回りや各地域、各応援団の集会を開いて勢いを見せたが、及ばなかった。

(筆洗) 七年の歳月と十四億円をかけて書き上げた全十二巻の報告書は、現代世界の「戦争と平和」だ。 - 東京新聞(2016年7月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016070802000139.html
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文豪トルストイの『戦争と平和』は、手元の古い岩波文庫版だと全四巻計二千三百ページ余の巨篇だ。英訳版では単語数がおよそ六十万というこの名作の四倍余の二百六十万語を費やし、イラク戦争を検証した報告書が、英国で公表された。
機密文書も閲覧できる強い権限を持つ独立調査委員会が、ブレア元首相ら百五十人以上から聞き取りを重ねた。七年の歳月と十四億円をかけて書き上げた全十二巻の報告書は、現代世界の「戦争と平和」だ。
そこには、やりきれぬ事実が並んでいる。戦争はイラクを内戦状態に陥れ、テロの脅威を高める危険があるとの警告も、ブレア首相には届いていた。しかし、米国は戦後にどう平和を構築するかという策も持たぬまま攻撃に突き進み、英国は追従した。
警告は、現実のものとなった。イラクは硝煙が漂い続ける混乱に陥り、「イスラム国」という魔物も生まれた。かの地の人々にとって、戦争は今も、過去形で語りうる物語ではない。
トルストイは『戦争と平和』で登場人物にこんな言葉を言わせた。「戦争はお愛想じゃなくて、人生における最大な醜悪事だ。われわれはこの点をよく理解して、戦争をもてあそばないようにしなきゃならん」
ブレア氏は報告書の公表を受け、「責任はすべて負う」と語ったが、戦争にもてあそばれ命を奪われた人々に、どう責任を取りうるというのか。