http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016071002000195.html
http://megalodon.jp/2016-0711-2106-23/www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016071002000195.html
混迷する時代を背景に、政治や社会にビシッと切り込む風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」が大人気だ。毎年夏と年末の定期公演はほぼ満席。十二日に開幕する今年の公演も前売り券は完売し、稽古も大詰めだ。ただ十日投開票の参院選の結果次第ではネタやオチを大幅に書き換えなければならず、団員や演出家は選挙の行方にピリピリ。リーダー渡部又兵衛さん(66)は「そうなんです。参院選で一票を投じれば、われわれのネタ作りに間接参加できます」と笑う。(立尾良二)
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創設以来、グループを率いてきた渡部さんに聞く。
−人気の秘密はどこにあるのでしょうか。
社会が劇場化して、思ってもいなかったことが次々に起きている。面白いネタがありすぎる時代だ。本来はネタをどう料理するかが勝負どころだが、今は素材そのものが面白すぎる。例えば、号泣する兵庫県議なんか、それをやるだけでおかしい。ニュースの谷間がないくらい事件が続いているからではないか。
−政治家ネタが大きな特徴ですね。
一九八八年、竹下政権からずっと政治家ネタをやっているが、その時の首相が主人公になる。お客の入りで首相の人気度も分かる。森(喜朗)さんの時が最も客が少なかった。今は自民党と野党の差がつきすぎて一党独裁のようだ。
−政治風刺で心掛けていることはありますか。
与党にも野党にもくみしない。どちらにも偏らない。庶民の目線、揺れ動く庶民の気持ちを大事にしている。だから与野党のどちらからも研修会などに招かれて公演するし、安倍(首相)さんや岡田(民進党代表)さんらが定期公演に来てくれる。志位(共産党委員長)さんの前で「何でも反対」と皮肉ったら、本人から「何でも反対ではありませんよ」と感想をいただいた。政治家から「俺のまねをもっとして」と頼まれる。われわれは批判するだけではない。愛がないと批判はできない。
−参院選、都知事選と選挙が続きます。
十八歳選挙権も、舛添(前都知事)さんのみみっちい政治資金問題もネタにする。投票率が上がらないのは、本当のことを新聞が書かないからでは。団員たちはネタの仕込みに興味を持って新聞、テレビ、ラジオ、ネット等あらゆるメディアを利用するが、最終的に読むのは新聞。そこに自分の意見を入れてネタにする。だから、新聞は事実だけを淡々と書いてほしい。
<ザ・ニュースペーパー> 1988年、昭和天皇の闘病による歌舞音曲の自粛ムードで仕事のなくなった三つのグループが集結し創設。政治から芸能、スポーツニュースまで幅広く風刺する。特に歴代総理の形態模写に定評。団員の出入りがあり現在は9人。東京での定期公演のほか、地方にも年間150回ほど巡回する。文化放送「吉田照美 飛べ!サルバドール」のコーナーの金曜レギュラー。