マルクス『資本論』(の関連本)がよく読まれているという。小生も先月、筑摩書房のマルクス・コレクションで第1巻だけを通して読んで、懐かしかったし、昔は気づかなかったことがいくつかあった。内田樹さんも似たようなことを指摘していたが、「……論」という先入観から理屈ばかりだと思っていると、意外に同時代のイギリスの社会史的叙述が多い。まるで同志エンゲルスの『イギリスにおける労働者階級の状態』を読んでいるかのようだ。 それでも第1巻だけで1,000頁を超える大著である。活字離れが言われて久しい現在、一過性のブーム?だけで多くの人がこれを読み通せるものなのか。 酒井隆史さん(大阪府立大学教授)が『資本論』再…