アラビア語で「絶対帰依」を意味する語で、紀元8世紀ごろアラビア半島に興ったマッカ(メッカ)の豪商クライシュ族のムハンマド(預言者ムハンマド、マホメット)を開祖とする社会秩序および思想・宗教を指す。
→イスラム、→イスラム教、→回教
(日本には西欧の文献などを通じ、イスラームの知識が最初にもたらされたため、各種の単語が原音より英語に近い発音で一般化されていることが多い。【例ムハンマドがマホメットに】その後、原音に近い表記に改める動きが徐々に進んでいる)
ムハンマドの言葉に「キリスト教徒たちをイスラーム教徒にするなんてことは考えるな、あの人たちはそのままですでにイスラームの精神をもっているのだ」という言葉があり、イスラームが他の宗教を認めないといった考えは誤解である。
イスラムとヨーロッパの関係では、 『中世の光と影(下)』(堀米 庸三):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部 pp40-45にサザーンという学者を引いている。 東京大学学術機関リポジトリ 「キリスト教-イスラーム関係史研究の動向と課題」では、サザーンも含めた現在までの研究史を整理。日本語で読める最新の研究として、 慶應義塾大学出版会 | 断絶と新生 | 神崎忠昭 を引く。 現代を考えるヒントになるかも。 以上です。
大学で中国哲学史や西アジア史を学ぶ人から聞いた、井筒俊彦に関する文献を紹介します。 井筒は老子とイスラームとその他いろいろな思想を総合的に考える人で、老子の研究でも有名。 翻訳した古勝隆一のブログ 『東洋哲学の構造―エラノス会議講演集 』 – 学退筆談 義疏学で有名な博士の方のブログ 井筒俊彦「儒教の形而上学におけるリアリティの時間的次元と非時間的次元」(1) - 達而録 イスラーム哲学の授業の参考文献に出ていた井筒の本 イスラーム哲学の原像 - 岩波書店 イスラーム哲学にも中国古典の人にも影響を残した井筒。 井筒の CiNii Books - イスラーム生誕 のムハンマド伝は、部族社会につい…
「イスラーム法とは何か?」 は、中田考さんが書いた本で、イスラーム法について詳しく説明しています。 イスラーム法とは何か? 作者:中田 考 作品社 Amazon 増補新版 イスラーム法とは何か? 作者:中田考 作品社 Amazon 「そもそもの法とはどういう概念か」という所から、 「イスラムにおける法の基本的な考え方」 そして 「今の社会でどう使われているか」 について書かれています。 イスラームのことをかなり詳しく知りたい人には、とても役立つ本ですが、初心者にはかなり難しいかなあ、という印象です。 この記事では、この本の内容と感想を紹介します。 書籍の基本情報 タイトル: イスラーム法とは何…
「予想に反して」文化人類学の本。 私は単に中国のムスリムについて知りたかった。 この本を読んでいて思い出したのは、レヴィ゠ストロースの「悲しき熱帯」であった。 それはこんな感じで始まる。 「私は旅や探検家が嫌いだ。それなのに、いま私はこうして自分の探検旅行のことを語ろうとしている」(中央公論社) 「中国人ムスリムの末裔たち」は、ミャンマー(ビルマ)へ行く過程が、語られている。その恵まれた(と私は思った)境遇や、立場、あるいは才能に対して、「何て私はこんなに不運なのか」と語られて、鼻白むが、それこそが魅力なのだ。 ミャンマーでの6ヵ月間の研究の間、3歳(滞在中に4歳になる)息子さんとの生活。 旦…
モスクワ劇場占拠事件(2002)をモチーフにした、劇場テロサスペンス。 再現ドキュメンタリー系なのかと思ったが、ヒューマンドラマ仕立てのフィクションと見るべきだろう。 (英文wikiにはかなり詳しく経過が載っているが、精細には追えてない) Moscow theater hostage crisis - Wikipedia というより、ロシアで、精密な再現ドキュメンタリーなど政治的に出来るはずはない。笑 トンチンカンな期待だったというものだ。笑 それでも、サスペンスとしても、ヒューマンドラマとしても非常によく出来ていて楽しめたし、考え感じることも多かった。快作と言っていい。 サスペンスとしての構…
伊東俊太郎氏の『十二世紀ルネサンス』を読みました。この書名を見て、疑問を覚える方もいるかもしれません。ルネサンスといえば14世紀から16世紀の文化運動じゃないの、ギリシアやローマの文化を復興しようということで、ダ・ヴィンチとかミケランジェロとかが活躍したイタリアはフィレンツェなどを中心とする「あれ」でしょうと。ルネサンスという言葉については、私もそういう雑駁な理解しかなかったのですが、先般中田考氏の『イスラームの論理』を読んでいたら、伊東俊太郎氏のこの『十二世紀ルネサンス』が引用されていて、そこにはこんな記述がありました。 我々は、西欧文明というと、ユークリッドやアルキメデスや、アリストテレス…
Ⅰ 一九九九年のNATOのユーゴ空爆は現代世界史の本質的転換点なのか? 『ブッシュの戦争——イラク侵略戦争の意味と世界制覇の野望』(二〇〇七年刊、『新世紀』二〇六号所収の論文を底本としている)という論文において、黒田が明らかにしている現代世界のとらえかたに私は疑問をもった。そのことを検討したい。二四頁から二五頁で黒田は次のように論じている。(以下ことわりなき場合は『ブッシュの戦争』の頁数を記す) 「国防相ラムズフェルドが口癖のように言う「同志連合」あるいは「友邦同盟」を基礎にして、しかもRMA(軍事技術革命)の粋を集めたハイテク爆弾を、いわゆる精密誘導爆弾を霰のように降らせ、もって「迅速性と効…
概要 構成 ポイント 3つのモチーフ、3つのジャンル 日本人を魅了してきたイスラームの美術 感想 概要 タイトル:すぐわかるイスラームの美術 著者 :桝屋友子 世界三大宗教であるイスラム教。 他の宗教が純粋な宗教美術を指すのと比較して、イスラム美術は世俗的な美術も含む幅広いものとなっています。 建築・写本芸術・工芸品を中心に美しいイスラム美術について、特徴だけでなく歴史も交えて解説しています。 美術史学において、「イスラーム美術」という言葉は包括的な意味で使われる。つまり、ある美術作品があって、それを注文した人物、それを制作(製作)した人物、それを受け入れた人物のいずれかがムスリムであれば、そ…
ランキング参加中図書室 最近買った2冊、井筒さん本は1981年の講演がベース、密教本は1986年のシンポジウムのまとめ、と図らずも2冊ともライブ感のある話し言葉が元である本でした。 私父方神道、母親キリスト教、父方祖父は宗教嫌いとなかなか複雑な宗教環境にありましたが、そういう意味では仏教は身近にないが故に自由で、仏像巡りや龍樹、原始仏教や禅、密教マンダラあたりを楽しくかじって来ました。 そして東西神秘思想の邂逅や類似点と違いなども面白いのですが、例えばユングのマンダラへのアプローチ(始めは理解されないと危惧し人には言わず自らの治癒のため描いた絵(red bookかな?)が、東洋ではマンダラと言…
あらすじ・概要 海外旅行をしていた著者は、それがきっかけでイスラム教徒の男性と結婚することになる。神を信じる男と信じない女、文化の違いは大きくて……。コミカルな描写ながらもイスラーム文化と日本文化を比較するコミックエッセイ。 私たちと違った倫理で生きる人たちの話 描写される文化は日本人の感覚からするとかなり倫理のないものもあります。婚前交渉すると村八分のようになったり、男尊女卑だったり。 しかし著者の夫やその家族は、当たり前のようにその文化を受け入れており、(不信心な方である著者の夫さえも)神の存在を疑いません。 神を信じるゆえに、喜捨の行動もためらいなく取ります。貧しい人に食べ物を上げたりお…
最近1週間以内にブックマークした話題の中から特に気になるものをまとめた、週刊まとめ記事「ぐるぐるマガジン」のコーナーです。 記事末尾ではKindleストアのセール情報も一部掲載しておりますので、よかったら参考にどうぞ! ではではいってみよー!
2024年12月08日号(通巻829号) 表紙:藤野知明さんとお父さん・お母さん・お姉さん 12月7日(土)公開『どうすればよかったか?』 https://dosureba.com/
五時四十分起床。少し体が冷えている感じ。昨夜のランニングでの疲労が原因か、それとも気温が下がっているのか。 今日から十二月、と考えると気持ちが急いてくるが、まあ毎年こんなもんだよな、と思いつつ、今日から個展が始まる妻を見送ってから仕事。某案件の資料。大学との共同研究の論文。ひたすら長いので、ざっと目を通しつつ、重要そうなところだけを読み込んでいく。 namake.catkick.co 昼食はうどん。 午後は休みに。荻窪に向かい、ユニクロで靴下など購入してから、天沼の住宅街をくねくねと歩き、西荻まで移動。生協などで買い物をしてから帰宅。6kmくらい歩いたかな。 牛すね肉を買って帰ろうと思っていた…
今回から、2022年8月7日にアップした記事"斥候よ夜はなお長きや"の最後で予告した『1980年代以降、日本社会に何が起こったのか、そしてこれから何が起ころうとしているかについての与太話』を披露したいと思います。 タイトルは"Once Upon a Time in Monsoon Asia"。高度成長期が始まる直前の1954年、東北地方南部に位置する寒村で生まれ、高度成長期を経て安定成長期、バブル期、そしてバブル崩壊とそれに続く長期停滞期を目撃してきた人間の眼を通して、われわれの社会に何が起こったのか、そして何が起ころうとしているのかについて、論述したいと考えています。 「細部に神は宿る」とい…
2024年シルクロード新彊の旅3日目(2024-09-13)の記録です。 この日は1日ハミの街を観光します。 行く前はあまり大きな街ではないしそんなに見るものはないかなーと思っていたのですが、博物館の展示が存外に良く、特に翼竜の化石が興味深かったです。 朝 哈密市博物馆 自然科学系の展示 歴史系の展示 秦以前 漢代 魏晋南北朝以後 哈密市非物质文化遗产保护中心 昼食 哈密回王墓 哈密回王府 散策 本屋 夕飯 今回の旅全体のまとめページはこちら amber-hist-lang-travel.hatenablog.com 前日の旅行記はこちら amber-hist-lang-travel.hate…
ムレイハ 古代アラビア海洋キャラバン王国 シャールジャの遺宝 MIHO MUSEUM 滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300 イスラーム以前の古代オリエントの展示が多分常設?めっちゃうれしかった。 触れる距離でガラスなしの展示品がちょいちょいある。 施設が綺麗で広い。山の中。遠い。 フード類が美味い!モンブランめちゃうま。
大川玲子『イスラーム化する世界』を再読。 イスラーム化する世界: グローバリゼーション時代の宗教 (平凡社新書) 作者:大川玲子 発売日: 2013/05/15 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 パレスチナ・イスラエル紛争から9・11まで、連綿と続く暴力の歴史がもたらしたのは「狂信的なテロリスト集団」など、理解を拒む宗教としてのイメージであった。しかしいま、コーランの新解釈から世界規模で新たな対話を求める動きが活発化しつつある。これまでの宗教観を刷新し、同時代を生きるイスラームを知るための入門書。 という内容。 イスラームに対する固定観念を覆してくれる良書である。 以下、特に面白かったと…
猫背だからか胸骨痛いです、圧迫されて背中も肩も悪影響だから直さねば。 ・トルコ 中学生ぐらいからずっと行きたいと言ってる 旧オスマン帝国でモスク等建造物も残ってて世界遺産も多い イスタンブールとカッパドキア行ってみたい ・スウェーデン ご飯美味しそうだし福利厚生も治安も良くて住みやすそう、物価高くて寒いけど 見た感じ家が過ごしやすそうで内装もすごいおしゃれ ・フィンランド 幸福度ランキングずっと世界1位 理由はスウェーデンとほぼ同じ、海外に移住するならスウェーデンとの2択🙆♀️ ・フランス カロス地方のモチーフ トルコと同じく世界遺産多い&ご飯美味しそうだし景観綺麗 エッフェル塔とベルサイユ…
11月の読書メーター読んだ本の数:12読んだページ数:3901ナイス数:28リンパのふしぎ ――未病の仕組みを解き明かす (ちくま新書)の感想リンパの基本事項から最新の研究まで、著者の趣味にやや寄っているのを加味しても充実した内容。実験や観察の方法まで併せて載っていて、ちょっとして推論の訓練にもなる。しかし、周辺知識や高校生物レベルの内容への言及がリンパに関する内容とごちゃ混ぜに挿し込まれているのと、膨大な箇条書きをまとめたせいか因果関係に関する助詞や接続詞があやしい箇所も散見されて非常に読みづらい。基礎知識は注釈やコラムで補完して、情報の取捨選択を吟味して欲しかった。内容への興味は十分にある…
2024/11 11/5 福田和也『奇妙な廃墟――フランスにおける反近代主義の系譜とコラボラトゥール』(ちくま学芸文庫) 11/6 宮西建礼『銀河風帆走』(創元日本 SF 叢書) 11/7 赤月黎『魔女狩り探偵春夏秋冬セツナ』(スーパーダッシュ文庫) 11/10 ルシア・ベルリン『楽園の夕べ』(講談社) 11/11 待鳥聡史『〈代表〉と〈統治〉のアメリカ政治』(講談社選書メチエ) 11/12 皆藤黒助『環司先生の謎とき辞典 チカと文字禍とラブレター』(ポプラ文庫ピュアフル) 11/13 青木健『アーリア人』(講談社選書メチエ) 11/13 トニー・ウォルター『近代世界における死』(叢書ウニベル…
かつて、マラズギルトの戦いで帝国を裏切り、その歴史的大敗のきっかけを作ったとされたタルカネイオテス家。 その末裔たるミカエルは、家名の復権を成し遂げるべく、存命の子なく崩御したマヌエル1世コムネノスの後継にコントステファノス家のアレクシオスが就くことを支援し、その影響力を高めていく。 しかし1187年、そのアレクシオスおよび弟のアンドロニコスが次々と亡くなり、遺されたのはわずか6歳の皇子ステファノスと未成年の子どもたちばかりに。 皇帝摂政の座を巡り熾烈な政治的主導権争いが繰り広げられる中、1193年にドゥーカス家の英雄《隻眼のセバスティアノス》が、コムネノス家のアレクシオスを推戴する形で兵を挙…
ロシア革命がはらむ西欧中心主義の限界をいち早く見抜いていたタタール人革命家スルタンガリエフ(一八九二‐一九四〇).彼は旧ロシア帝国のムスリム地域の脱植民地化を図ったが非業の死に斃れた.本書はイスラム世界の風土と歴史を背景にその「ムスリム民族共産主義」を詳説し,激動の現代中央アジアを理解するための礎石を提示する――. 中央アジアやイスラーム世界の民族運動とその思想史を通じ,ミールサイト・スルタンガリエフ(Мирсәет Хәйдәргали улы Солтангалиев)の生涯を軸に,ロシア革命が持つ「西欧中心主義」「植民地主義」の交錯する激動の時代を浮かび上がらせている.スルタンガリエフは…
クルド人は難民ではないと政府が言っているから難民じゃない! と言う馬鹿が多くて困る。 おまえらさあ、クルド人問題を知らないでしょ? それに、出稼ぎか?難民か?で、なんで0か1なんだろう。 頭悪いやつほど01思考だ。 出稼ぎのやつもいるだろうし、難民もいるだろう。どっちもいると考えるのが自然だ。 言ってしまえば、ウクライナ人だって全員が難民だろうか? 日本に出稼ぎ目的のやつもいるだろう。ウクライナ戦争以前に日本に来ていたウクライナ人は間違いなくそうであろう。 そもそも何が正しいかどうかは難しい。なにせ、各国の政府見解が全て一致することは絶対にない。 たとえば、台湾は国ではない(このことを知らない…
イスラーマ・バード(イスラームの町) アボッタ・バード(アボットの町)と言う風にバードとは町の意味だ。昨日は積み上げられたコンテナが満載の首都が、海外からもコンテナ・スタン(国)と失笑を浴びているらしいニュースに触れたが、きょうはコンテナ・バード(町)だとの名称も耳にした。4日間もかけてバローチスタン州から来たと言う車列も首都に到着したというし、凡そ5万人が集まる抗議行動になって、携帯電話は4日間停止のままだし、ネットの回線も遅い。正義党RTIによる抗議行動(前首相のイムラーン・カーンや主な指導者の釈放を求めて)は、先頭集団の一部が3重に積み上げられたコンテナを突破、ついに大統領官邸前の広場、…
☆🐟☆🐟☆ 二十一世紀の宗教が目指すもの ☆🐟☆🐟☆ 🌹二十世紀は激動の世紀でした。♦過去二千年間に起きたことよりも、もっと多くのことがこの百年の間に起きました。♦二十世紀は二度の世界大戦を経験し、共産主義が勢いよく広がった後に消えていった世紀です。また神を捨てて物質に埋没した世紀でした。そうだとすれば、二十一世紀はどうでしょうか。♦科学が発達し、もうこれ以上宗教は必要なくなったという人達もいますが、♦人間の精神世界が無くならない限り、宗教の役割は決して終わらないでしょう。 🌹宗教の目的は何でしょうか。それは神様の理想世界を成し遂げることです。より多くの人を宗教の世界に伝道しようと努力する理由…