HANNAH ARENDT
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Hannah Arendt 政治思想家、政治哲学者。 1906年、生まれ。1975年、死去。 ドイツ生まれのユダヤ人。マールブルク大学でハイデガーに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに師事、哲学を学ぶ。1933年、ナチスの迫害を逃れてフランスへ、41年にはアメリカ合衆国へ亡命。20世紀の全体主義を生み出した大衆社会を考察した。
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読んだ本 戸谷洋志/百木漠『漂白のアーレント 戦場のヨナス』慶應義塾大学出版会 (2020) 小室直樹『日本人のためのイスラム原論 新装版』集英社インターナショナル (2023) 小田原のどか『モニュメント原論』青土社 (2023) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 引き続き昨日のつづきを読み進めた。 ・『漂白のアーレント 戦場のヨナス』 ・『日本人のためのイスラム原論 新装版』 (読書日記1286に収録) nainaiteiyan.hatenablog.com ・・・ 『漂白のアーレント 戦場のヨナス』 アーレントとヨナスの生涯が描かれる。…
『新版 エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』/ハンナ・アーレント/大久保和郎訳/みすず書房 学生の頃、ある講義の課題として以下のテーマが与えられた。 「第二次世界大戦における極限状況下で、表現者たちは表現し得たか」 学生の立場としては、イエスかノーかを答えて、その根拠を挙げる形で規定字数(たしか2000字)のレポートを書かなければならない。頭ではそう理解していても、私はその答えを自分の中に見つけられなかった。「何を表現したか」ではなく「表現し得たか否か」が問われていることの意味を考えながらも、イエスかノーかの二択の前でどうにも足が竦んだ。 講義ではブレヒトやツェランといった亡命作…
ケン・クリムスティーン『ハンナ・アーレント、三つの逃亡』みすず書房 (2023) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 「生きるというのは考えるということ」 アーレントと池田晶子がほぼ同じことを言い残している点がとても印書的であった。 ハンナ・アーレントはアイヒマンを凡庸な役人と同等と見なすことによって、悪の発生源が万人の内部に潜んでいると示唆した。(『エルサレムのアイヒマン』) メモ "アイヒマンを悪魔的な怪物にしてしまうと、私たちは彼の罪を免責してしまうことになる。さらに私たち誰もが、潜在的に抱えている罪、「物事を考え抜かない」という罪までを…
都内のミニシアターの中で、まだ行けていなかった下高井戸シネマ 三軒茶屋から路面電車(世田谷線)に揺られて、終点の下高井戸まで 駅から徒歩2,3分で、普通のマンションっぽい建物の2階にあった 以前観た「ハンナ・アーレント」や、最近読んだ「アイヒマンと日本人」の影響で鑑賞 数百万人のユダヤ人をアウシュビッツに移送する指揮を執ったナチスドイツの親衛隊中佐・アドルフ・アイヒマンは、大戦後に偽名を使い、難民を装って西ドイツからイタリアに入り、そこから船でアルゼンチンに逃れる その後、家族も呼び寄せ、ブエノスアイレス近郊に約10年暮らすも、1960年に、イスラエル諜報特務庁(モサド)により身柄を拘束され、…
昨日にネットを見ていましたら、「本日14日はハンナ・アレント」の誕生日 とありました これを目にして、図書館から借りている「ハンナ・アーレント、三つの逃亡」 を読まなくてはと思いましたです。とはいっても、これは「ハンナ・アーレント」 の人生をコミックにしたものでありまして、彼女の著作ではないことであります。 ということで、うんと昔に購入した「暗い時代の人々」を引っ張り出してくる ことにです。このタイトルは、最近にでた森まゆみさんの文庫本のタイトルにも なりまして、ハンナさんから借用したとありましたです。 「暗い時代の人々」の翻訳元版がでましたのは1972年でありまして、半生記前 のことになりま…
今日から仕事再開。ボスたちはお盆のあいだお休みなので、ひとり開店。 メールが溜まっていることったら。 それらを片づけていくのに半日以上、そこに待ってましたとばかりに問い合わせがつづいて(ついでに夏休みどうだった? の雑談チャットが割り込んでくる)、ホッと一息ついたのは夕方前。 気がつけば高校野球2回戦で地元の高校はサヨナラ負けを喫していた。仕事が落ち着いた頃に、SNSでハンナ・アーレントの『人間の条件』を読む会に誘われ、ふと一昨年に受けた夜間スクーリング「原書講読」での、ジュディス・バトラーのハンナ・アーレント批判論文(英文)のことを思い出した。 アーレントの原文もクセがあるが、ジュディス・バ…
人間はとても想像力が豊です。想像力があるからこそ誰かのことを思いやることができるし、文化芸術も楽しむことができます。 その想像力が極端に悪い方に行ってしまうのが全体主義と呼ばれるものではないでしょうか。閉塞感がある時代に、その原因は明確な誰かにあり、それを排除しようとします。分断・対立を煽り、谷を深く切り裂きます。 社会的分断は明確にそこにあるわけではありません。 そして誰にでも陥ってしまう(加担してしまう)可能性があります。 ハンナ・アーレントさんはナチスドイツによる迫害を体験します。その時の社会情勢、政治体制、人間の心理から全体主義とは何か、なぜそれが発生してしまったのかを考えます。 アイ…
読んだ本 福田和也『本を読む、乱世を生きる:福田和也コレクション1』KKベストセラーズ (2021) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 最近は何のために本を読むのか、何ために高い本を買うのか、そもそも自分は自由なのか分からなくなってしまう時もあったが、だからといって自分を無意味な娯楽でごまかすようなことはしたくないと思った。 今日はこの本を夢中になって読み続け200ページほど読み進めた。 ・・・ 教養について聞くとうんざりする人が多いかもしれないが、福田和也は他者への理解に繋がらなければ教養の意味はないと語る。 "「教養」のドイツ語は、BILD…
読んだ本 向井透史『早稲田古本劇場』本の雑誌社 (2022) 五十嵐沙千子『この明るい場所ーポストモダンにおける公共性の問題』ひつじ書房 (2018) 勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない:メンタルブロック解除で潜在能力が目覚める』プレジデント社 (2022) 高橋和久『別の地図:英文学的小旅行のために』松柏社 (2023) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 通勤時間に最適な本はエッセイだと感じた。 小説はある程度作品の世界に没入する必要があるので、次の停車駅で降りるのかどうか気にしていたら読書が進まない。 エッセイであれば断片的に話が語…
読んだ本 エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ『ハッピークラシー:「幸せ」願望に支配される日常』みすず書房 (2022) ハンナ・アーレント『責任と判断』ちくま学芸文庫 (2016) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 アーレントは世界大戦によって初めて、戦争犯罪人を裁く国際裁判が誕生したことによって、議論が停滞していた道徳に対する問題が再び加熱したと語る。 また、アイヒマン実験(=ミルグラム実験)では、良心を持った普通の人間でさえも特定の状況に追い込まれることによって犯罪に荷担する可能性が示された。 アーレントが『エルサレムのアイヒマン』を刊行…
・ 野生の哲学 : 野口晴哉の生命宇宙 永沢哲 著 青土社 ¥1,300 2003年 第3刷 ・ 過渡期の哲学 梅本克己 著 こぶし書房 ¥1,300 2000年 初版 ・ 完訳カント政治哲学講義録 ハンナ・アーレント 明月堂書店 ¥2,500 書込 2009年 初版 ・ 魂について アリストテレス [著] ; 中畑正志 訳 京都大学学術出版会 ¥2,200 書込 2001年 初版 ・ スピノザに倣いて アラン 著 ; 神谷幹夫 訳 平凡社 ¥1,000 書込 1998年 第4刷 ・ イタリア版「マルクス主義の危機」論争 上村忠男 監修 未来社 ¥2,000 書込 2013年 初版 ・ レーヴ…
帝国の構造 を読んで面白かったのは、帝国の復活を柄谷行人が期待していたところ。 左翼最後の希望という感じなのか、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いということなのか、アメリカの帝国主義を破壊する勢力に最大限期待している感が伝わってくる。 帝国主義と帝国を分けているところが目新しくてよかった。 ここでいうところの帝国というのは旧帝国とも言われる、ロシア・トルコ・清帝国でもあり、その前身のモンゴル帝国でもあり、さらにはローマ帝国以前の帝国の起源たるペルシア帝国でもある。帝国の原理を備えた旧帝国は、国民国家をベースにしていないので、民族浄化的な思想がない(と整理されている)。 国民国家と帝国主義よりも、旧帝国を…
吉田朋子、坂本信弘「追悼・志水紀代子先生」https://hakutakusha.hatenablog.com/entry/2024/04/15/182351 哲学者の志水紀代子さん*1が他界したという。但し、新聞などのメディアの報道等は確認していない。 上掲のエントリーでも言及されているように、志水さんは1980年代からハンナ・アレントの研究を遂行してきた。東西冷戦が終結した1990年代の後半以降、アレントはポピュラーな思想家となり、21世紀の現在では〈誰もが読んでいる(筈)〉の思想家になっていると言えるだろう。しかし、1980年代においては、哲学や政治学といったディシプリンの中でもアレント…
慣れずに理性を働かせ、ガザ情勢を考え続けることが必要だ:北海道新聞デジタル (hokkaido-np.co.jp) 慣れずに理性を働かせ、ガザ情勢を考え続けることが必要だ:北海道新聞デジタル (hokkaido-np.co.jp) 黙認の継続は了承だ。 学び考え続ける大切さを、パレスチナ人とその子供たちへの無差別皆殺しを黙認し続ける為の自己弁護に使うな! 「世界最大の悪は、ごく平凡な人間が行う悪です。そんな人には動機もなく、信念も邪心も悪魔的な意図もない。人間であることを拒絶した者なのです。そして、この現象を、私は”悪の凡庸さ”と名付けました」。ハンナ・アーレント magnitude99.ha…
『文藝』2024年夏季号(河出書房新社)に連載「文芸的事象クロニクル 2023.12-2024.02」を書きました。 これは過去3カ月に世界のあちこちで生じた「文芸的事象」を選んでクロニクルとして構成するものです。 できるだけ日本や欧米に偏らないように、あちこち見てみるようにしています。 といっても、山本が読める言語や手の届く範囲の情報に基づいているため、たいへん限られた内容になっております。 今回は、オセアノス・ポルトガル語文学賞、ハンナ・アーレント政治思想賞授与を巡る混乱、レフ・ルビンシテイン死去、ヒューゴー賞の審査過程、書店からLGBT関連書を撤去(ロシア)ほかに触れています。 そのうち…
今日はエイプリルフールですから嘘(ウソ)にまつわる話題を一つ。 哲学者カントといえぱ、晩年の「嘘論文」(「人間愛から嘘をつく権利という、誤った考えについて」)で、いかなる場合でも嘘はいけないと主張した人ですが、そのカントが嘘をついていたかもしれない逸話をハンナ・アーレントが挙げています。 (前略)カントは毎日まったく同じ時間にケーニヒスベルクの街路を散歩したのは有名ですが、散歩の途中にであった乞食に施しをする習慣があったことはあまり知られていないでしょう。そのためにカントは、真新しい硬貨をいつも用意していました。使い古しのみすぼらしい硬貨を与えたのでは、乞食を侮辱することになると考えたからです…
特段、参考にしている思想家や哲学者というのは、いないですね。 あまり詳しくもないです。学問としての思想や哲学に関心があまりないので、学問として体系的に勉強もしてません。 自分で物を考える際の助けとするべく、手段として他者の思想や哲学を虫食い的に参照することもある程度です。 という前置きはさせていただいた上で、西部邁からは影響を受けてます。西部邁からしたら僕は個人主義者な戦後日本人でありジャップだと思われますが、そんな僕でも西部邁の話を聞いていると魂が揺さぶられる時があります。 あと最近の人だと、浜崎洋介氏もYouTubeで話を聞いたり本を読んだりしてますね。西部邁の弟子だった人で、西部邁からの…
おはようございます☀ 先週末はレンタカーで横浜方面にお出かけ🚗「こどもの国」に初めて行きました! 広すぎて全部見きれなかった・・楽しい場所でした! 20日(祝)は近くでのんびり過ごしました。三男のやる気スイッチが入り、バランスバイク練習中!私は花粉症でムズムズするので外出時はマスク!です😷 今週は3冊です📚 「進化するキャリアオーナーシップ」富士通ラーニングメディア(著) 富士通のキャリア支援の取り組みや、年齢も立場も経歴も違う方のクロストーク(皆さん共通しているのはキャリアオーナーシップがあること)も、興味深く読みました。 余談ですがクロストークの一つで登場していた大竹悠介さん、以前お会いし…
読んだ本 フィリップ・ラクー=ラバルト『文学的絶対:ドイツ・ロマン主義の文学理論』法政大学出版局 (2023) 宮台真司『14歳からの社会学:これからの社会を生きる君に』ちくま文庫 (2013) 高島鈴『布団の中から蜂起せよーアナーカ・フェミニズムのための断章』人文書院 (2022) 仲正昌樹『人はなぜ「自由」から逃走するのか:エーリヒ・フロムとともに考える』KKベストセラーズ (2020) D.パーフィット『理由と人格:非人格性の倫理へ』勁草書房 (1998) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『文学的絶対:ドイツ・ロマン主義の文学理論』 …
週1冊程度は読んできたけど紹介するほど良かった本が10冊なかった。しかし1と2はいきなり殿堂入りするくらい良かったので、今更だけど紹介。今回紹介するのは5冊です。*1 *1:アイキャッチ画像はAI生成: https://chat.openai.com/g/g-05Df7Ag8o-samunegaru
今回は泉谷閑示さんという精神科医の「仕事なんて生きがいにするな ー 生きる意味を再び考える ー」という本の感想になります。 私は中国での仕事で心が折れたのを機に、自己理解にのめりこみ、自分が本当にやりたいことが何かを考え、それに向けて歩みを進めているが、周りからは「目の前の仕事をとりあえず続けることも大事」とか「石の上にも三年」とか「お金を稼げる仕事が大事」というような声が多く、あまり「やりたいことで生きる」という考え方が肯定されていない世の中だと思う。この本は、「やりたいことで生きる」というような生き方を肯定し、さらにどう生きるべきかのヒントを与えてくれる一冊です。 ハングリーモチベーション…
日本経済新聞2024年3月16日(土) www.nikkei.com (読んだメモ) ・好奇心は欲望?(それはそうかも) ・自分について考えることについて ハンナ・アーレント『アウグスティヌスの愛の概念』 https://msz.co.jp/book/detail/09022/ 「好奇心」は、世界への従属が言わば習慣化した状態を表わすと同時に、他方「自己自身から」分離して生き、自己自身を回避して生きようとする人間的なものに固有の不確かさと虚(むな)しさを示すものにほかならない。〔中略〕自己自身の前でのこのような逃避に対してアウグスティヌスは『自己探求』se quaerereを対峙させた。 モー…
尺貫法 - Wikipedia 尺貫法 - Wikipedia 支援食料品集めで連携模索 江別のフードバンクNPOが他団体と:北海道新聞デジタル (hokkaido-np.co.jp) 支援食料品集めで連携模索 江別のフードバンクNPOが他団体と:北海道新聞デジタル (hokkaido-np.co.jp) 「ども食堂運営団体などが連携する「フードサポートネットワークえべつ」(仮称)の設立を目指している」 金正恩総書記の本意はどこに?米インテリジェンスも四苦八苦…重要性増す「偵察衛星」 【ワシントン報告(14)北朝鮮情報の収集】:北海道新聞デジタル (hokkaido-np.co.jp) 金正恩…
Oscars 2024: Jonathan Glazer calls out Israel's attacks on Gaza (youtube.com) Oscars 2024: Jonathan Glazer calls out Israel's attacks on Gaza (youtube.com) アカデミー賞2024:ジョナサン・グレイザーがイスラエルのガザ攻撃を非難(youtube.com) Texas organizers estimate that 50,000 people took part in a statewide action for Palestine (yo…
監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ バルバラ・スコヴァ、ユッタ・ランプ、ルドガー・フォークラー 今回は配信で見たやつだが、面白かったので記録。 ニュージャーマンシネマといえばヴェンダース、ファスビンダー、ヘルツォークしか知らないというレベルの人間なので、フォン・トロッタ監督など存在も知らなかった。ハンナ・アーレントを撮った人なのか。 過激左翼の姉と、穏健左翼で雑誌編集や街頭で中絶の権利を訴えるなどの活動をする妹を主役に据えたドラマ。爆弾テロ容疑で捕まった姉との接見シーンが作品の中盤で何度も反復され、その一つひとつが大変充実している。接見室とか、取り調べ室とか、狭い空間での緊張感ある対峙を描い…